銀河英雄伝説スペシャルパック

銀河英雄伝説フリート・ファイル・コレクション
2008/10:バンダイナムコ 原型:大塚敏博
2008年10月16日、バンダイナムコよりWindows用リアルタイムシミュレーションゲーム銀河英雄伝説が発売された。限定版はフリコレのブリュンヒルトとヒューベリオンが同梱しており、通常版との価格差は2000円。
ラインアップ 全2種
ブリュンヒルト黄金樹
ヒューベリオン
パッケージは省スペースで、収納に優しい。 通常フリコレとの差はおもにエンジンの色。アルバ版の青、通常版の赤とも違う、オレンジ色。ほかにカラーリングがわずかに異なり、台座の艦名表記がアルファベットになっている。 ゲームはどちらかというとアクションに近く、アニメを追体験するキャンペーンシナリオはバーミリオンの死闘までを帝国・同盟いずれかの陣営を選択して戦い抜く。
※以降ネタバレ注意 シナリオの戦闘シーンを幾つかムービーにしてみた。2倍速。私のPCは動作スペックぎりぎりなのであちこちカクカクしてるのはご容赦を。
第4次ティアマト会戦
アムリッツァ星域会戦
ランテマリオ会戦
シナリオがアニメ第2期までしかプレイできなかったので、第3期の名会戦を対comフリー対戦のシングルモードで、展開も含め大雑把に再現してみた。
回廊の戦い前哨戦
リアルタイム戦闘なのでアクションが苦手な人にシナリオ攻略は、とくに戦力的に不利な同盟軍は辛いかもしれないが、上の適当再現ムービーにあった、戦場や編成を自在に設定できるシングルゲームでレベルをあげてゆけば、そのうちクリアできるバランスとなっている。 動画だと綺麗なキャプチャが得られないので、ここから先はスナップショットで。
まずはトールハンマー炸裂シーン。逃げ惑うフレーゲル艦隊の約2割、推定2000隻以上が瞬時にして消し飛んだ。 提督の中にはなぜかカストロプのような変態イロモノも混じっている。ステージごとのプレイ時間は10~20分ていどと、スピーディーだ。 ケーニヒス・ティーゲルの艦首部は猛獣の目や口を連想させ、虎の頭を摸しているかのようだ。 黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレイター)はちゃんと黒くなる。 帝国同盟通じて唯一のレッドカラーリング、バルバロッサ。 提督は個別に特技を持っており、状況に応じて戦いを有利に導く――までとはいかない。戦いの帰趨は位置取りや先制の猛攻、戦力集中など基本的な部分で決する要素が大きく、特技の効能はご飯にかけるふりかけ程度だ。 特技モーション中にはグエン・バン・ヒューのように楽しいものもある。虎縞マウリアは何度見ても飽きない。 登場する全旗艦で最多砲門数のクリシュナ。正面・側面合わせて238門。 大勢に影響を与えうる唯一の特技と目されるファーレンハイトの通称「波動砲」。貫通力があり、旗艦ユニットに当たって運が良ければ即撃沈。崩壊寸前からの逆転が可能だ。 条件を充たせばバーミリオンで登場するパーツィバル。 キャンペーンシナリオではプレイ次第でいくつかの「もしも」を見られる。たとえばジャン・ロベール・ラップの生存。アスターテより生還すればバーミリオンまで付き合ってくれ、成長させるとヤンと肩を並べる名将になる。 帝国側ではなんといってもこのシーンだろう。 ジークフリード・キルヒアイスの死は、ヤン・ウェンリー暗殺に匹敵する悲劇だった。 選択を誤らなければ2周目以降キルヒアイスは生存し、ラインハルトの傍らに居続けてくれる。 エンディングまでひと味違ったものとなる。戴冠の席に、いてほしかった2人の姿が、たしかにあった。 キャンペーンやシングルを遊び倒しても、オンライン対戦で問答無用の果てしない艦隊戦に臨める。 下は対人戦に特化した編成のひとつ。参謀にミュラーを据え守りの不安を払拭したビッテンフェルト艦隊で突撃し、駆逐艦のレールガンで至近よりガシガシ削る。疾風ウォルフは偵察・遊撃担当で、トゥルナイゼンは特技の「挑発」が敵の士気を下げ、戦闘不能へと追い込む助けになる。 同盟軍の例はミサイル艦3部隊の一発屋仕様。タイガーストライプ猛将グエンを大将とし、万能参謀ヤンがフォローする下克上。分艦隊機能はアッテンボローへ集中させ、ルグランジュは挑発要員。陣形が少ないが、対戦で紡錘・方陣以外はほとんど使用しない。 とある対戦を参加者方の許可を戴いてレポートしてみる。私の編成は至近仕様ビッテン。ランダムで総司令官に任命された。黒色槍騎兵が撃破されたらどんなにリードしていても敗北となる。 左下の広域円表示を見れば分かるように、皆で歩調を合わせ、横一列でほぼ同時に正面より会敵するのが普通となっている。これ以外の方法はほとんどがセオリーに対して弱いが、数少ない有効な戦術として、全員が協調して主戦場と目される区域の側面へ集結し、横並びな敵の1個艦隊に猛攻を加える奇襲作戦がある。 互いの相手を見定め、局地戦へと移行してゆく。ここで周囲を見ずに誤ればたちまち包囲撃破されるから怖い。 挟撃を受けていたミッターマイヤー艦隊の援護に入ったつもりが、自分が本陣になっていたのを忘れていた。逆に3方(2個艦隊)より集中攻撃の的となり大打撃を受ける。わずか30秒足らずで戦力は半減した。ミュラーを参謀にしてなかったら全滅していたかも。 味方の来援とタイミングを合わせ敵陣を正面突破し、キルヒアイス艦隊のほうへ転進。背後の同盟3個艦隊のうち1~2個艦隊が追ってくると思ったが、それを味方の2個艦隊が引き留めた。2対3となると普通なら勝てないが、この時点で同盟軍全体のダメージは帝国を上回っており、余裕に乏しい同盟はビッテンを追い切れなかった。 逃げた先で態勢を整えすぐ戦列へと復帰、キルヒアイスの援護に入る。2対1で帝国が有利なはずだったが、2個艦隊とも消耗しておりほぼ互角。どれほど摩耗していても、牽制でもなんでもいいからとにかく戦闘に参加し相手の注意を引きつけないと、やがてトータルで負けるシビアな世界だ。 私が去った2対3の主戦場。同盟軍のロボス司令艦隊がかなり撃ち減らされ、ロボス元帥の援護に入ったウランフ艦隊が横撃を仕掛けている。あくまで結果論だが、ここは損害を承知でロボスとミッターマイヤーの間に割り入ったほうが良かったのかも知れない。 ビッテンのいる戦場は互いにミサイルも艦載機も使い果たし、両者の残存戦力はほぼ互角で、完全に膠着している。 主戦場ではミッターマイヤーの快足がロボスを捉えて離さない。同盟軍の救援はオフレッサーがブロックしている。 ビッテンのほうはもう千日手状態だが、満身創痍の2個艦隊がまだ元気なシュナイダー艦隊を引きとどめたことで、全体の戦局にわずかなりにも貢献できた。 ミッターマイヤーがついにロボス司令を撃破した。帝国の勝利で戦闘終了。 勝ったには勝ったが、戦果から見る私の活躍度は酷い有様だった。生き延びただけで良しとしておくか……。
対人は長くても10分くらいで終わるが、それゆえなにげない瞬間のミスが壊滅に繋がるといった感じで、まるで格闘ゲームだ。条件反射しか出来ぬ鶏頭のcomと異なり、人間同士のチーム戦は全体を見通せるリード役がいないとなかなか勝てない。今回は――別に誰もなにも。 ああすれば簡単に勝てるじゃないかが実際には容易には出来ぬ机上論の自覚。横一列の駆け引きから接近・乱戦へと移りゆき、一カ所の瓦解が全体の勝敗へ通じる場面の目撃。自分可愛さの消極が総司令を窮地に立たせ、最終的な敗戦へ繋がる判断ミス。あるいは陽動に引っかかった敵を料理する愉悦の時間と、敵の自滅を容赦なくえぐる戦場の掟―― ゲームの出来はともかく、銀英伝のアレやコレやがどれもそれなりに説得力があった事実を存分に体感できる。みんなミスターレンネン!
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