ヒューベリオン Hyperion

全長911m 全幅70m 全高284m 乗員915名 ナンバー144M 同盟軍第3辺境星区警備艦隊/同盟軍第13艦隊/同盟軍ヤン艦隊/エル・ファシル革命予備軍/イゼルローン共和政府軍
ゲーム特典版はカラーリング解釈がわずかに異なる。 1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang))さま
同盟軍でもっとも有名な艦である。ヤン・ウェンリー、後にはメルカッツの乗艦として数々の戦いに参加し、多くの勝利をもぎ取ってきた。その伝説は味方に1人の犠牲者も出さなかった、鮮やかなイゼルローン攻略にはじまる。
本来1301でなければいけないナンバー144Mは、アニメ制作現場が使用していたヒューベリオン用のカラーナンバーに由る。設定上は番号を変える間もなく出撃となり、イゼルローン要塞奪取という稀に見る大手柄を立てたため、宣伝効果を考えて作戦後も塗り替えずにそのままにしたという話になっている。 ヒューベリオンは長らく新型艦と旧式艦の2つの解説がなされていたが、フリコレの解説で最終的に古い艦であると確定した。パトロクロスをはじめとする1159メートルクラス超大型戦艦群の一世代前には、ヒューベリオンやマサソイトなど、900m台の若干小振りな艦が艦隊旗艦として活躍する時代があった。
制式艦隊の規模が1万隻以上と膨らみ、伴って指揮能力のキャパシティが大きいアイアース級(アキレウス級・パトロクロス級)が就航するに従い、数千隻を統括するのがやっとの古い旗艦群は制式艦隊旗艦の座から退いていった。ヒューベリオンも例に漏れず、第13艦隊旗艦になる前は第3辺境星区の警備艦隊旗艦だった。 ヒューベリオンのアンテナは並のアイアース級よりもはるかに多い。半個艦隊とはいえ制式艦隊である第13艦隊の旗艦に就役する際、指揮性能をあげるため急場で増設した。仕様上の問題かアイアース級ほどの巨大アンテナは装備できないようで、工事にも関わらず1万数千隻余の単艦指揮はなお無理であった。
半個艦隊時代はそれで間に合ったが、後に一個艦隊に再編された折はヒューベリオン単艦による第13艦隊全体の統括指揮は不可能となり、分艦隊機能を強化するこれまでにない方法が採られている。
ヤン艦隊は数千隻単位の半独立部隊のゆるやかな集合体といえる。多くの場合こういった烏合はマイナスに働くところだが、不敗の名将ヤン個人に対する絶対的な信頼がプラスに作用し、2万隻以上の規模になっても破綻なくヤンの指示に全体が連動できた。それを支えていたのは無論フィッシャーの名人芸であった。 年代物だけあってヒューベリオンのスペックは多くがアイアース級に劣っているようだ。
たとえば主砲の数は32門で、アイアース級標準の40門より2割も少ない。いずれも口径は25cmなので、ヒューベリオンの主砲斉射は単純換算でアイアース級の80%ていどの威力しかないといえる。艦橋は中央の目立つ一段高いところに設置されており、なんの遮蔽物もないので正面からの直撃に脆弱である。アイアース級では戦訓を元にしているのだろうか、埋没型艦橋が採用され、情報機能が艦橋直上にごちゃごちゃと集められており物理障壁を成している。
ヒューベリオン艦橋すぐ下の正面傾斜部にはミサイルポッドが整然と並んでおり、前方へ睨みを利かせている。対するアイアース級では正面から隠れる箇所にミサイルを置いていることが多く、ヒューベリオンは速さと引き替えに安全を犠牲とし、アイアース級は逆に安全を取った形となっている。 艦橋側面は宇宙空間に漂う水素を取り込むバサード・ラム・ジェットの開口部であると思われるが、その面積がアイアース級標準よりも広く、横への張り出しも目立っており、攻撃に対して弱いと考えられる。このインテークは電磁ネットで星間物質を吸引しており、後のアイアース級は集塵技術の進歩で、より小さな間口で必要な水素を確保できるようだ。
両舷の赤いライン前部より発艦するスパルタニアンは24機を数え、搭載能力が同等なので、近接対空性能は十分だと考えられる。赤ラインの終わるスタビライザー部はアイアース級と比べ簡素な造りで、噴射偏向の性能は限定的だろう。
見えないところではアンテナをアイアース級以上に増やしても1万数千隻を統括指揮できない事実から、エレクトロニクス面も年代物のようだ。 ヒューベリオンと同時代の大型戦艦は、作中に登場している範囲ではマサソイトしかいない。多くが撃沈されたかすでに引退して、現役の仲間は数えるほどしか残っていなかっただろう。両艦は外見的に似ているわけではなく、もちろん姉妹艦の間柄でもないが、前方側面の露出構造・艦橋・インテーク・推進安定鈑などの特徴的類似から、ヒューベリオンらが建造された時期の息吹を感じさせる。20~30年を遡ればヒューベリオンもマサソイトも確かに、一個艦隊を任せられるような期待の新鋭戦艦であったのだ。
帝国軍で新型艦が順風に活躍した例が多く、有用なデータが蓄積されていったのと対照的に、同盟軍では今後の成長がありえないおじいさん艦が老骨に鞭打つ、お世辞にも生産的とはいえない場面が目立つ。新造艦は技術的検証の裏付けが取れる以前にほとんどが途中で脱落しており、それだけ同盟の苦しい展開が見える。 本伝開始時では帝国・同盟間の総合的なハードウェア差はさほどなかったが、最後のほうでは帝国軍は次世代標準型戦艦の雛形を戦列に登場させており、それらが量産された暁には攻撃防御双方が格段に進歩した「ぷちブリュンヒルト、ぷちパーツィバル」が大挙して押し寄せるわけであるから、バラートの和約などで新機軸を封殺され衰弱した同盟が奇跡的に命長らえたところで、ヤンが何人いてもどうしようもない決定打となっていたのは明確であろう。
こういった技術格差の拡大は日米の太平洋戦争を思わせる。 バーミリオンの死闘を最後にヤンがヒューベリオンを離れたあと、本艦は数奇な運命を経てウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツの乗艦となった。ヤン亡き後も民主共和制の守護艦として転戦したが、最後はシヴァでビッテンフェルトの猛攻を受け、メルカッツの命を道連れとして撃沈された。状況的にそれは必然の犠牲ではなく、犬死との評価も可能な最期であったが、戦乱の終焉において死に場を求めていたであろうメルカッツ当人にとってはまた別の思いもあっただろう。老朽艦の天命をぎりぎりのところでまっとうできなかったヒューベリオン自身においては、もし意志があればその感想はどうだったのであろう…… 艦名はギリシャ神話のヒュペリオンから。巨人族ティターンの1人で、太陽神である。土星の衛星にハイペリオンがある。
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