Canon TS-E90mm F2.8L マクロ + Fringer 電子マウントアダプター FR-NZ1

機材
購入:2020/01 分類:ティルトシフトレンズ/マウントアダプター

ティルト&シフトでピント面を操る中望遠マクロレンズだぜ。たとえばこんな逆アオリ写真を画像処理なしで得られる。最大のティルト角&シフト幅ともにニコンを上回る。考えうる最新のあらゆる機能を実装しているガチ業務用。ティルトシフトレンズは所有者のプロ率がもっとも高いといわれる。業界用語でアオリレンズ。箱書きでLのみ赤字になってるのは上級レンズの主張。ニコンでいえばナノクリ、ソニーのGとか。ワンフェスへ行けないことが確定し、遠征予算としてプールしてた冬ボーナスで特殊レンズを衝動買い。メイドインジャパンだぞ。ニコンZへマウントアダプターで装着する。機能の完全動作を確認しレビュー記事を書いた。35mmフォーマット最大の口径と最短のフランジをもつニコンZマウントは、ほぼすべてのレンズをアダプター経由で装着可能。Fマウントと真逆だ。Fringer 電子マウントアダプター FR-NZ1キヤノンEFマウント用のレンズをニコンZで電子制御し、さらに取り外しできる三脚座(アルカスイス対応)まである。レビュー時点でEF-Z用アダプターとして電子制御機能あり・三脚座つき・Z50にも対応・総金属製・内面反射防止処理・アップデートありと頭ひとつ抜けたから買った。そのぶん高価だが、サードパーティーのアダプターには問題のあるモデルが多いというかむしろ平常運転なので、安心を金で買う感じ。マニュアルレンズ&三脚運用なので心配は少ない。露出や絞り値が正確に伝達されればいいぜ。三脚座つきにしたのは TS-E90mm F2.8L マクロ が重くバランスを取るため。900gを超えており、Z6ボディの1.5倍近い。トップヘビー。ティルトシフトの中望遠マクロレンズはニコン純正に PC-Eマイクロ85mm があるが、キヤノンを購入したのには理由がある。まずは発売年。キヤノン2017年12月、ニコン2008年8月。実売価格もキヤノンのほうが安い。なおレビュー時点で購入したもっとも高額なレンズとなっている。設計が10年新しいぶん、光学性能もキヤノンが上だ。絞り開放から解像する。コーティングなどもキヤノンが有利。さらにこれが重要だが――キヤノンのティルトシフトレンズは2カ所が回る。ニコンのティルトシフトレンズは最近のモデルを除き1カ所しか回らない。2カ所回れば、ティルト方向とシフト方向を自由自在に組み合わせられる。下は直交型。ティルトとシフトが90度で交差している。ニコンのデフォルト。下はおなじ方向に動く平行型の状態だぜ。フィギュア撮影だと並行型のほうが便利だ。ニコンで並行型にするには有料サービスによる工作が必要。直交と平行で固定したおなじレンズ2本を所有し現場で使い分けるプロもいるとか。ただでさえ高価なのに、2本!前玉。とってもプロ用レンズらしい。フッ素コーティングされた前玉周辺には映り込みの元となる表記一切なし。マクロレンズは被写体に近づくゆえ。ハーフマクロ。太めで壮観な姿。外装はローレットとフードを除き総金属でひんやり気持ちいいぜ。もっとも伸ばしたところ。フォーカスは全群繰り出し式で、画質レベルで同額帯ならインナーフォーカスやズームより高画質を維持できる。そのかわりホコリが入り込みやすい。蓋はいつものようにニコン純正へ交換だ。以前使用してたレンズとフィルター径が合い、予備で置いていた古いものを復活。ティルト
中望遠以上のティルトシフトレンズでは、エレメントを傾ける「ティルト」が運用のメインとなる。ちなみにキヤノンのティルト最大角度はニコン対抗機種より上だぜ。これも地味に購入理由のひとつ。キヤノン公式サイトから概要を。レンズを軸として、カメラ側と被写体側の双方のピント面が斜めになっている。これはライズという。単純に上に向ける行為。自然風景や町並みなど、平面シチュエーションの多くでピント面が薄くなる。逆アオリともいう。ピント面が上を向く。写真表現として確立されているミニチュア風写真はおもにこれ。見下ろし構図のフィギュア立像を薄いピントで頭から足まで解像できるのはライズ。絞りが浅いとブレにくいし解像感も高まる。ちなみに通常F32〜45は必要な場面がF7.1〜11くらいで済む。絞りを開放近くにしておくと、下向き顔面だけピント合わせて周辺ぼかすのも可能。ティルト機能は普通のレンズで写した全体解像のデータへ、後補正でぼかしたいところだけぼかす処理でも得られるが、本物で写せばボケの「立体感」が違うぜ。こちらはフォール。下へ向けるだけ。ピント面が下を向くわけだが、平面の全体が解像しやすくなる。これがアオリレンズ本来の使い方だぜ。上を向く被写体でもフォールで奥まで解像しやすくなる。通常の風景相手のティルトはフォールで全体解像が多く、ライズで薄ピントが多いが、フィギュアはライズもフォールもそれなりに多く、使い分けの判断は体で覚えるべし。つづけてシフト。上下左右にずらす行為だぜ。この動作範囲もニコン対抗機種よりキヤノンのほうが上。これも概要を載せておく。一般的には建物の見え方を変えるなど遠近感コントロールで知られてるが、現代デジカメだとデジタル補正すれば普通のレンズでも出来てしまう。おもに広角〜標準画角で行われる手法。90mmのような中望遠になると見かけの変化そのものがとても小さい。それでも中望遠アオリにシフト機能がある理由は、ティルトで変化した構図のリカバリーなどで活躍できるからだ。リカバリーは「並行型」じゃないと無理だぜ。デフォが直交型のニコンはこれも不利だ。またシフトは「浅いティルト」の代用にもなる。たとえば下の写真は、撮影スペースの都合から箱をわざと斜め上より写しているが、カメラは斜め下に向けてない。カメラを平行のまま、シフトダウンで写した。通常なら縦方向に長い被写体へカメラを斜めに向けると、わずかな角度でも上から下まで解像させるには絞りを多めに撮る必要があるが、絞りF4だ。こちらはシフトアップ機能で。通常なら頭から足先まで解像させるには多めに絞る必要のある見上げ角度。だがティルトないしシフトにより、浅めの絞りのまま頭から足まで解像させられる。効果として、背景が大きくボケたままで済む。普通のレンズでおなじ結果を得るには、撮影後に画像ソフトで背景のみをマスクしぼかし処理を後補正で行うが、絞り値が大きくなるほど解像してるフィギュアの解像感は回折現象で落ちてくる。ティルトシフトレンズの利用により、「解像力のピーク」を保ちつつ同じ結果を出力できるぜ。マクロレンズ4本体制が復活したが、新導入したTS-E90mmが想像以上に高画質で驚いている。そりゃ解像力のもっとも美味しいレベルを保ちつつフィギュアの背景をボケさせられるんだから、おのずと高画質な写真ばかりになる。マクロプラナー立つ瀬ねえかも。フィギュア撮影に使うレンズで、等距離から露出固定の状態で、無限遠から最短撮影距離までフォーカスした比較写真を載せてみる。左2本は社外製、右2本はニコン純正だぜ。まったく結果が違うな。右端はマイクロ60mmではなく、ニコンZの標準ズームだ。マクロレンズと異なる特徴を示すためおまけで載せた。ボケ味を除けば優秀な良い子。高額レンズを使って撮影編集時間が伸びてた理由の少なからずは、露出の変動だ。マクロレンズは露出倍数(長くなるので略)で、要はカメラメーカー純正レンズか、正式にライセンス契約してるレンズメーカーのものでないと、露出固定が仕様どおり正常に働かない。もっとも今回導入したレンズは露出変動がツァイスより小さいぶん楽かな。エレメントの繰り出し量が少ないほど露出変動も小さくなる。右端の標準ズームのみ無限遠から最短まで被写体サイズが変化してないのは、フォーカスブリージング(浮き上がり)の抑制効果。おもに動画撮影を想定したものだが、物理的なレンズ移動量が大きいマクロレンズでブリージングを抑制すると、サイズもお値段も凄まじいことになる。なんとキヤノンは自社製マクロレンズの具体的な露出倍数を取説で公開していたぜ(しかも全機種!)。最近のモデルだとレンズ側に具体的な指標が付いている。TS-E90L では、距離目盛にオレンジの撮影倍率表示があって、そこが無限遠より露出+1/3段、+2/3段、+1段の目安となっている(レンズごとに異なる)。キヤノン製レンズがマウンドアダプター経由により他社製カメラで使用される頻度は業界トップだ。マクロ域の露出変動の公開で、非EOS機でも適正露出を容易に得られる。なお露出倍数の手動補正はマニュアル撮影および露出固定撮影のときのみ必要となる操作で、一般的なオート露出だと非純正だろうが関係なくカメラが適正と判断した露出になる。それを逆手に取って、カメラと被写体の距離が大きく変わるたび露出固定を解除し、グレーカードをターゲットとしたスポット測光で再設定する方法もある。むしろこれがなにも考えずに済んで楽かな。明らかにファインダーや液晶の明度が変わるぜ。そもそもグレーカード元来の役割は適正露出の決定にあった。これで露出の問題はあらかた解決だろう。どれを売ってどれを残すかは、今後の運用実態で決まってくるかな。さすがに20万円とかする「使わない」レンズを維持しておく余裕はない。あるいはTS-E90Lがメインレンズとなった場合、キヤノン機導入の可能性もある。露出含めて完全となるし。なんにせよ流動的だ。

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