
高速戦艦 Schnelles Schlachtschiff(Z:Schmell schlacht schiff)


戦艦というだけあって高速戦艦部隊以外でも旗艦となる例があり、ジークフリート・キルヒアイスやアーダルベルト・フォン・ファーレンハイトが一時乗艦とした。

高速戦艦の主砲門は標準型戦艦に倍する12門。同盟軍標準型戦艦の8門よりもはるかに多く、提督たちが乗っている個人旗艦にはさすがに及ばないものの、量産艦艇最高の長中距離正面火力を有するに至る。具体的には上側の6門が長距離砲、下部の6門が中距離砲である。

危険な真っ向から突撃を仕掛ける手前、前半分の防御装甲は標準型戦艦より厚く守りも上である。一転して推進部の装甲は薄く、非装甲で構造が露出している部位さえある。重量軽減や排熱処理などの理由からだと思われるが、守勢に回った際の戦艦とは思えぬ脆さはここから来ているため、全体の防御性能は標準型戦艦を下回っていると判断できる。

高速戦艦で戦闘機動時に発生する熱量はほかの艦種とは比べものにならないほど大きいはずで、その熱をどうするかは常に課題となっているだろう。中央下部から伸びる二枚の長いサイドフィンは主動力部の近くから生えているので、排熱の役割を担っている可能性があるが、詳細は不明である。

正面砲撃戦と高速機動に特化した結果、エンジン下部構造体に搭載しているワルキューレはわずかに6機である。対空火砲も削られており、短距離での総合戦闘能力が低いぶん、敵陣に突入して分断してもすぐに離脱する戦法を必定とする。
エンジン下部正面の露出部は大気圏航行時に空気を取り入れるエア・インテークとなっている。弱点であるが傾斜部に設置されており、正面の艦首側から見ると露出面積が半分ていどに抑えられる。


1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang)さま)

原型リマスター版


ビッテンフェルト提督の個人旗艦にしてシュワルツ・ランツェンレイターの総旗艦。高速戦艦を再設計したバリエーション艦。

原型リマスター版



あああ

キルヒアイスは高速戦艦テューリンゲンを旗艦とし、幕僚にベルゲングリューン、ビューローを伴い出動する。その数、わずか2000隻。それは先にカストロプ鎮圧に失敗し全滅したシュムーデ艦隊よりも、1000隻も少ない規模であった。
量産艦艇最高の砲撃戦力を持つ高速戦艦であるが、テューリンゲンは結果としてその破壊力を叛乱勢力に誇示することはなかった。ゼッフル粒子を本格投入したキルヒアイスの奇策により、キルヒアイス艦隊もカストロプ陣営も、一人の例外を除いて誰も血を流さずに済んだからだ。すなわち敵総大将マクシミリアン・フォン・カストロプの血と命で、すべては清算された。
わずか2日間、しかも無血占領――誰にでも瞭然の派手な武勲により中将へと昇進したキルヒアイスは、元帥府内でラインハルトにつぐナンバー2としての地歩を築いた。これが乱に乗じたラインハルトの思惑であったことはロイエンタールやミッターマイヤーのすでに見抜いていたところであったが、特別扱いを受けるキルヒアイスが嫉妬や反感を買うようなことはなかった。戦力比で見れば、敵は当て馬というには強すぎる千仞の崖である。その難問を満点で解いたキルヒアイスは、才幹に足る地位へ駒を進めたにすぎない。
一般的な高速戦艦と比べ外見上の違いはないが、テューリンゲンは旗艦用に内部が部分換装されていると思われ、そのぶん定員は通常より若干多いと考えられる。艦名はドイツ連邦州のひとつで、ドイツ中部にあるテューリンゲン(チューリンゲン)自由州から。16世紀、宗教改革でマルティン・ルターらが活躍した。