ケーニヒス・ティーゲル(王虎)Königstiger(Z:Königs tieger/Königs tiegel)
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang)さま)
原型リマスター版
比較用高速戦艦 フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトの座乗艦として就役し、黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレイター)艦隊の旗艦として数多の戦場を駆けた名艦である。漢字表記の王虎はドイツ語のそのままの意味だ。
高速戦艦を旗艦用に再設計したものだが、おなじ量産艦からの再設計であるヴィルヘルミナ級やクヴァシルと異なり、基本フレームをそのまま流用しており、建艦思想的にはネルトリンゲンに近い。したがって高速戦艦のバリエーション艦といえる。 全長こそ815mと旗艦級戦艦としては小型の部類に入るが、諸性能は大型戦艦に見劣りするものではない。とくに通常空間での航行速度は旗艦クラス最速に達している。
再設計でドーピングされたのは指揮能力・攻撃能力・加速能力の3点である。防御に関しては見たところ逆に下がってるようにすら見受けられるのは、さすがビッテンフェルトといったところか。 艦橋ブロック後部上方より2本のアンテナが突き出ているが、これは旗艦用として増設されたFTLアンテナだと思われる。標準型戦艦であれば上下にFTLアンテナを寝かせる構造が走るように設けられており、外見の違いを生じさせずに旗艦仕様への改装が可能となっている。高速戦艦は分艦隊ていどまでならノーマルでも対応できるようだが、一個艦隊レベルではかように増設せざるを得なかったようで、設計上のゆとりはさほど見られないようである。 艦首の主砲は16門。量産艦とさほど変わらない容積ながら、平均的な帝国軍旗艦級大型戦艦に負けない数を実現している。高速戦艦が元々砲撃戦に特化した構造を持っていたおかげで、旗艦としてふさわしい破壊力を確保した。その特徴的な艦首部は猛将ビッテンフェルトの精神を具現させたかのような、堂々たる姿だ。 だが搭載に際し無理をしたようで、ケーニヒス・ティーゲルの艦首側面はノーマルな高速戦艦よりも部分的に装甲が薄くなっているようだ。
そのへこみ部分を中心として独特の直線的な模様が艦首側面には生じており、まるで猛獣の顔に見える。バンダイナムコのPCゲームでは下のキャプチャに見られるように、目に当たる小バルジ部分の中心に瞳を連想させる点を付ける凝りようであった。この瞳はリマスター版模型にも採用されている。 艦首と中央部の中間にあたる上部にちいさな盛り上がりが見られる。これはベイオウルフの資料から推定して、射撃管制用の3次元センサーだと思われる。ケーニヒス・ティーゲルおよびビッテンフェルトの主眼は攻撃というよりは撃破であるから、グエンのように撃てば当たるでは困るのである。撃つなら必中が望ましい。配下の高速戦艦もみな、おなじ装置を持っていると考えられる。
エンジンは中型以上6基で構成され、艦体の軽さも相まって銀河帝国最速の旗艦となっている。最速といっても通常の宇宙空間、すなわち戦場での速度であって、空間跳躍を伴う数千光年単位の巡航速度ではない。 加速性能を得た反面、燃費は最悪のレベルになってしまっていると思われる。旗艦級でありながら航続距離は標準型戦艦よりも短く、下手をすれば高速戦艦にさえ及ばないかもしれない。
こういった量産用艦艇の再設計で個人旗艦を作る方法は、ブリュンヒルトが登場するまで帝国軍が普通に行っていたお家芸であり、ヴィルヘルミナ級やクヴァシル、ネルトリンゲンなど、他の例がいくらでも見受けられる。 ケーニヒス・ティーゲルは当初黒色ではなく、ビッテンフェルトに下賜されて黒く塗装されたようである。従来であればこういった個人パフォーマンスは私費を投じるものらしいが、ビッテンフェルトは平民出身だし、どう解釈しても公費を使っている。さらには艦隊全体まで黒く染めた始末だ。
この特別扱いには黒色槍騎兵艦隊の特殊性があると考えられる。ビッテンフェルト艦隊はその構成艦艇のほとんどが高速戦艦なのである。ビッテンフェルト当人の希望もあっただろうが、ラインハルトの意向もあり、必勝を期する投入戦力として早期より位置づけられていたことが伺える。 艦中央部よりエンジン部にかけて、左右にフィン状の長い構造が張り出している。これの正体は不明だが、リマスター版ガレージキットのフィン末端近くにはFTLアンテナのような細く短い棒が生えており、少なくともなんらかの情報的機能を持っていると見られる。高速戦艦の解説で私は放熱用途説を唱えているが、もちろん根拠はなく公式設定の補完を望むものである。
ビッテンフェルトはラインハルト麾下の提督ではもっとも多くの戦闘に参加して武勲も比類ないが、損害まで比類ない。黒色槍騎兵の累積損失は推定で2万隻にも及ぼうかという膨大なものである。最後になると高速戦艦の補充が追いつかず、黒い標準型戦艦が登場するようになる。その中で旗艦のケーニヒス・ティーゲルは、最後まで一度として被弾しなかった幸運艦であった。 第2次ランテマリオ会戦ではロイエンタール軍を相手に被弾寸前まで追いつめられたが、豪雨のように襲いかかる直撃コースの命中弾をことごとく防御力場で弾いており、王虎の王者たる魂まで感じさせた。もし被弾していたら旗艦クラスといっても通常の高速戦艦ていどの防御力しか持たない以上、ただでは済まなかっただろう。電磁力場エネルギーの供給源たる、動力炉のパワーが退けたのだ。
ビッテンフェルトは性格を考えたらいろんな意味において上司に恵まれ愛された運の良い人であり、その強運ぶりは戦闘にも発揮されていたわけで、作者をして「殺し損ねた」と言わしめたほどだった。もはや殺すのがもったいないほどの人物に成長してしまったのだろう。 宇宙最強の名に恥じず、ビッテンフェルトはウランフ・アップルトン・フィッシャー・メルカッツといった名だたる敵将を倒している。艦隊レベルでの敗北は2度経験しており、相手はいずれも魔術師ヤン・ウェンリーである。ただし一局面での負けに留めており、会戦全体の帰趨を勝敗レベルで左右する致命的なミスには至っていないところが、ビッテンフェルトの処罰を免れてきた。
罠があっても食い破ろうと正面より突進をつづけたビッテンフェルト。王虎の戦いは名前とは異なりイノシシに喩えられるようなものであったが、彼の率いる艦隊が持つ、衝撃と破壊と、殺戮のパワーは、類を見ない本物であった。ヤンにしても計略や奇襲を使わないと勝てない強者だったのである。 艦名の由来は第2次世界大戦時のドイツ陸軍重戦車VI号戦車ティーガーIIことケーニヒッス・ティーガー(キングタイガー)の別発音。強力無比の戦車キラーとして悪名を轟かせた。 ティーガーIIより小型のティーガーIでさえ、1台を仕留めるのに連合軍は主力戦車シャーマン数台の犠牲を必要とした。それより強いケーニヒス・ティーゲルともなると無敵に等しく、連合軍戦車乗りには恐怖の対象でしかなかった。ティーガーIIの乗員は5名、シャーマンもおなじ5名。連合軍の対キングタイガー戦は戦死者数におおきな開きが出るのが普通だったようで、連合軍兵士たちにとって王虎との遭遇は割に合わない悪夢の貧乏くじだった。
原型リマスター版
比較用高速戦艦 フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトの座乗艦として就役し、黒色槍騎兵(シュワルツ・ランツェンレイター)艦隊の旗艦として数多の戦場を駆けた名艦である。漢字表記の王虎はドイツ語のそのままの意味だ。
高速戦艦を旗艦用に再設計したものだが、おなじ量産艦からの再設計であるヴィルヘルミナ級やクヴァシルと異なり、基本フレームをそのまま流用しており、建艦思想的にはネルトリンゲンに近い。したがって高速戦艦のバリエーション艦といえる。 全長こそ815mと旗艦級戦艦としては小型の部類に入るが、諸性能は大型戦艦に見劣りするものではない。とくに通常空間での航行速度は旗艦クラス最速に達している。
再設計でドーピングされたのは指揮能力・攻撃能力・加速能力の3点である。防御に関しては見たところ逆に下がってるようにすら見受けられるのは、さすがビッテンフェルトといったところか。 艦橋ブロック後部上方より2本のアンテナが突き出ているが、これは旗艦用として増設されたFTLアンテナだと思われる。標準型戦艦であれば上下にFTLアンテナを寝かせる構造が走るように設けられており、外見の違いを生じさせずに旗艦仕様への改装が可能となっている。高速戦艦は分艦隊ていどまでならノーマルでも対応できるようだが、一個艦隊レベルではかように増設せざるを得なかったようで、設計上のゆとりはさほど見られないようである。 艦首の主砲は16門。量産艦とさほど変わらない容積ながら、平均的な帝国軍旗艦級大型戦艦に負けない数を実現している。高速戦艦が元々砲撃戦に特化した構造を持っていたおかげで、旗艦としてふさわしい破壊力を確保した。その特徴的な艦首部は猛将ビッテンフェルトの精神を具現させたかのような、堂々たる姿だ。 だが搭載に際し無理をしたようで、ケーニヒス・ティーゲルの艦首側面はノーマルな高速戦艦よりも部分的に装甲が薄くなっているようだ。
そのへこみ部分を中心として独特の直線的な模様が艦首側面には生じており、まるで猛獣の顔に見える。バンダイナムコのPCゲームでは下のキャプチャに見られるように、目に当たる小バルジ部分の中心に瞳を連想させる点を付ける凝りようであった。この瞳はリマスター版模型にも採用されている。 艦首と中央部の中間にあたる上部にちいさな盛り上がりが見られる。これはベイオウルフの資料から推定して、射撃管制用の3次元センサーだと思われる。ケーニヒス・ティーゲルおよびビッテンフェルトの主眼は攻撃というよりは撃破であるから、グエンのように撃てば当たるでは困るのである。撃つなら必中が望ましい。配下の高速戦艦もみな、おなじ装置を持っていると考えられる。
エンジンは中型以上6基で構成され、艦体の軽さも相まって銀河帝国最速の旗艦となっている。最速といっても通常の宇宙空間、すなわち戦場での速度であって、空間跳躍を伴う数千光年単位の巡航速度ではない。 加速性能を得た反面、燃費は最悪のレベルになってしまっていると思われる。旗艦級でありながら航続距離は標準型戦艦よりも短く、下手をすれば高速戦艦にさえ及ばないかもしれない。
こういった量産用艦艇の再設計で個人旗艦を作る方法は、ブリュンヒルトが登場するまで帝国軍が普通に行っていたお家芸であり、ヴィルヘルミナ級やクヴァシル、ネルトリンゲンなど、他の例がいくらでも見受けられる。 ケーニヒス・ティーゲルは当初黒色ではなく、ビッテンフェルトに下賜されて黒く塗装されたようである。従来であればこういった個人パフォーマンスは私費を投じるものらしいが、ビッテンフェルトは平民出身だし、どう解釈しても公費を使っている。さらには艦隊全体まで黒く染めた始末だ。
この特別扱いには黒色槍騎兵艦隊の特殊性があると考えられる。ビッテンフェルト艦隊はその構成艦艇のほとんどが高速戦艦なのである。ビッテンフェルト当人の希望もあっただろうが、ラインハルトの意向もあり、必勝を期する投入戦力として早期より位置づけられていたことが伺える。 艦中央部よりエンジン部にかけて、左右にフィン状の長い構造が張り出している。これの正体は不明だが、リマスター版ガレージキットのフィン末端近くにはFTLアンテナのような細く短い棒が生えており、少なくともなんらかの情報的機能を持っていると見られる。高速戦艦の解説で私は放熱用途説を唱えているが、もちろん根拠はなく公式設定の補完を望むものである。
ビッテンフェルトはラインハルト麾下の提督ではもっとも多くの戦闘に参加して武勲も比類ないが、損害まで比類ない。黒色槍騎兵の累積損失は推定で2万隻にも及ぼうかという膨大なものである。最後になると高速戦艦の補充が追いつかず、黒い標準型戦艦が登場するようになる。その中で旗艦のケーニヒス・ティーゲルは、最後まで一度として被弾しなかった幸運艦であった。 第2次ランテマリオ会戦ではロイエンタール軍を相手に被弾寸前まで追いつめられたが、豪雨のように襲いかかる直撃コースの命中弾をことごとく防御力場で弾いており、王虎の王者たる魂まで感じさせた。もし被弾していたら旗艦クラスといっても通常の高速戦艦ていどの防御力しか持たない以上、ただでは済まなかっただろう。電磁力場エネルギーの供給源たる、動力炉のパワーが退けたのだ。
ビッテンフェルトは性格を考えたらいろんな意味において上司に恵まれ愛された運の良い人であり、その強運ぶりは戦闘にも発揮されていたわけで、作者をして「殺し損ねた」と言わしめたほどだった。もはや殺すのがもったいないほどの人物に成長してしまったのだろう。 宇宙最強の名に恥じず、ビッテンフェルトはウランフ・アップルトン・フィッシャー・メルカッツといった名だたる敵将を倒している。艦隊レベルでの敗北は2度経験しており、相手はいずれも魔術師ヤン・ウェンリーである。ただし一局面での負けに留めており、会戦全体の帰趨を勝敗レベルで左右する致命的なミスには至っていないところが、ビッテンフェルトの処罰を免れてきた。
罠があっても食い破ろうと正面より突進をつづけたビッテンフェルト。王虎の戦いは名前とは異なりイノシシに喩えられるようなものであったが、彼の率いる艦隊が持つ、衝撃と破壊と、殺戮のパワーは、類を見ない本物であった。ヤンにしても計略や奇襲を使わないと勝てない強者だったのである。 艦名の由来は第2次世界大戦時のドイツ陸軍重戦車VI号戦車ティーガーIIことケーニヒッス・ティーガー(キングタイガー)の別発音。強力無比の戦車キラーとして悪名を轟かせた。 ティーガーIIより小型のティーガーIでさえ、1台を仕留めるのに連合軍は主力戦車シャーマン数台の犠牲を必要とした。それより強いケーニヒス・ティーゲルともなると無敵に等しく、連合軍戦車乗りには恐怖の対象でしかなかった。ティーガーIIの乗員は5名、シャーマンもおなじ5名。連合軍の対キングタイガー戦は戦死者数におおきな開きが出るのが普通だったようで、連合軍兵士たちにとって王虎との遭遇は割に合わない悪夢の貧乏くじだった。