
サラマンドル(火竜)Salamander


サラマンドル最大の特徴は局地制圧用として強襲揚陸機能を備えたカギ爪構造を持つことで、艦名の由来ともなっている。このアンカーフックは地球教征伐で使用され、有効に運用された。


不気味な赤き蓋は地獄への扉なのだが、サラマンドルは幸か不幸か、「波動砲」を放たずに済んだ。この手の攻撃を物語のサブキャラが行うのは死亡フラグの一種だろう。

メイン・サブ一体型の旗艦によくある構造として、艦体後部より飛び出した四本のアンテナが見られる。帝国軍艦では張り出し構造の前面に情報機能を配置する傾向があるが、サラマンドルのような一体型では実装しづらい。そのための代替機能と考えられる。同型でもブリュンヒルトやバルバロッサのような正面露出面積の比較的大きな艦には四本アンテナは見られないが、センサーやアンテナ埋設に余裕があるのだろう。

ローエングラム陣営初期の旗艦で多かった傾向に漏れず、サラマンドルは設計思想と相反して被弾に弱い。第2次ランテマリオ会戦で被弾を許した際、艦内の誘爆はあっさり安全なはずの艦橋にまで届き、衝撃でワーレンは負傷し義手まで吹き飛んだ。提督が豪毅にも構わず指揮を執ったため幸い艦隊は秩序を保ったが、ヴィルヘルミナ級やブリュンヒルトの系譜に連なる艦であれば心配すらなかったであろう。
旧式から新式へ――過渡期における試行錯誤の宿命であろう。旧でも洗練されれば強い。新でも完成していなければ脆い。だが洗練されれば旧より良くなる。機械の類にはこの法則が本当に厳粛に作用する。
あまり目立たない割に並の旗艦よりも多く危険に身をさらし、創痍を得つつもくぐり抜けてきたサラマンドル。戦乱の終結と共に「獅子の泉の七元帥」に名を連ねた、ワーレン元帥の栄えある勲章艦として、血塗られた火竜の爪を収めた。
