駆逐艦 Kosmische Zerstörer(Z:Kosmish zerstöner)
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang))さま
設定ではなぜか乗員16名となっているが、16はおそらくそれぞれ百の位・十の位であって、一桁台をうっかり書き忘れたものと思われる。原作アニメ双方の描写を見るかぎり、また同盟軍駆逐艦の乗組員が164人いることからも、帝国軍駆逐艦の乗員がわずか16人というのはありえない。そこで暫定値として160名前後と記している。
帝国の広大な宇宙空間をあまねく巡るのが巡航艦の役目なら、駆逐艦は要所要所を定期的に探る哨戒や臨検がおもな任務といえる。駆逐艦の航続距離はさほど長くない。広く浅くが巡航戦隊、狭く深くが駆逐戦隊の役割だろう。 [3枚目以降はバトルシップコレクションの写真を使用予定]
駆逐艦が華々しい大規模会戦で活躍する場面はあまりない。戦闘機能は近接戦に集約され、中遠距離攻撃兵装をミサイル以外に備えておらず、防御も薄く、常に消耗戦力の筆頭となる可能性を含んでいるからである。それゆえ制式艦隊とそのほかの部隊との編成比で見ると、駆逐艦の割合は後者がずっと高いと考えられる。
主武装はレールガン52門である。駆逐艦のエネルギー生成量では、レーザーやビームより、電磁砲のほうが運用しやすいようだ。これの乱射を至近よりクリーンヒットさせれば雷撃艇の例を見るように戦艦でも撃沈できるが、残念ながらレールガンの射程は短く、まず接近するという試練が立ちはだかっている。おまけに対抗艦種となる同盟軍の駆逐艦は中距離砲を標準搭載しており有効射程がずっと長い。同盟軍に近寄るまで、駆逐艦の出番はない。
だがひとたび乱戦となれば、駆逐艦の機動力と小ささは強い武器となるだろう。被弾しにくい小ささで、戦艦を沈める火力を有しているのである。さらに重心がおおきく前方に寄っており、わずかな力で素早く旋回できる構造的アドバンテージを持つ。ほとんどの艦種は重心がエンジン寄りで、その安定感が中長距離砲戦では役立つものの、めまぐるしく位置関係が変化する短距離戦闘では立場が逆転し、戦闘艇の格好の的と化してしまうのは今更いうまでもない事実だ。
乱戦での駆逐艦の優位は他にもある。艦橋が前に突き出ており、センサー群とも直結していることから、状況把握を短時間で行えるはずなのだ。
艦首にブリッジを置くのは商船や長距離戦闘を想定していない艦艇に見られる共通の特徴だが、船内の情報機能において高い利便があるからだと思われる。もちろん長距離砲戦ではこれが一転して生存面で不利に働くため、主力戦闘艦種では艦橋はずっと後方に退いてゆく。
駆逐艦の強力な副武装として、ミサイルが挙げられる。ちいさな艦であるから、たいした量は積めない。ただしミサイル射出口の数だけは多く準備されている。正面にはレールガンに挟まれる形で6門×2の12門、側面四隅に少なくとも3門ずつ12門、合計24門が確認されている。24発ものミサイルを、敵へ向けて瞬時に放てるわけである。もちろん気を付けないとあっというまに弾頭切れとなるが、少ないチャンスを確実に物にしようという、駆逐艦の運用思想が見て取れる。あるいはこのコンセプトを進めてみたのがミサイル艦かも知れない。
下部にはワルキューレを2機、半収納状態でむりやり格納しており、攻撃に防御に偵察にと使用できる。帝国軍は軍艦を多機能実装の万能型に作ろうとする傾向があり、それは駆逐艦にもさすがに限定的ながら当てはまっているようだ。
コストの低さを見込まれた便利な駆逐艦は、巡航艦よりも多数建造されている可能性が高い。というのも、艦名にナンバーを振られた艦が目立つからだ。あまりにも数が多すぎるため、使い回しをしないと持たないと考えられる。
ナンバーには同時代におなじ艦名で複数存在しているパターンと、名前を継承する際に番号を増やすパターンの2種類があるが、銀英伝では同時代複数の例が一般的だと思われる。顕著な実例はもっぱら同盟軍に偏っているが、同時期存在でレオニダスとレオニダスII、レダとレダIIがあり、同名継承でアキレウスがいる。すなわち同じ名はそのまま後の同種艦へと引き継がれるのだ。これは帝国でも同じだと思われる。というのももっぱらドイツ語のため、命名の幅が同盟軍より狭いからである。
設定ではなぜか乗員16名となっているが、16はおそらくそれぞれ百の位・十の位であって、一桁台をうっかり書き忘れたものと思われる。原作アニメ双方の描写を見るかぎり、また同盟軍駆逐艦の乗組員が164人いることからも、帝国軍駆逐艦の乗員がわずか16人というのはありえない。そこで暫定値として160名前後と記している。
帝国の広大な宇宙空間をあまねく巡るのが巡航艦の役目なら、駆逐艦は要所要所を定期的に探る哨戒や臨検がおもな任務といえる。駆逐艦の航続距離はさほど長くない。広く浅くが巡航戦隊、狭く深くが駆逐戦隊の役割だろう。 [3枚目以降はバトルシップコレクションの写真を使用予定]
駆逐艦が華々しい大規模会戦で活躍する場面はあまりない。戦闘機能は近接戦に集約され、中遠距離攻撃兵装をミサイル以外に備えておらず、防御も薄く、常に消耗戦力の筆頭となる可能性を含んでいるからである。それゆえ制式艦隊とそのほかの部隊との編成比で見ると、駆逐艦の割合は後者がずっと高いと考えられる。
主武装はレールガン52門である。駆逐艦のエネルギー生成量では、レーザーやビームより、電磁砲のほうが運用しやすいようだ。これの乱射を至近よりクリーンヒットさせれば雷撃艇の例を見るように戦艦でも撃沈できるが、残念ながらレールガンの射程は短く、まず接近するという試練が立ちはだかっている。おまけに対抗艦種となる同盟軍の駆逐艦は中距離砲を標準搭載しており有効射程がずっと長い。同盟軍に近寄るまで、駆逐艦の出番はない。
だがひとたび乱戦となれば、駆逐艦の機動力と小ささは強い武器となるだろう。被弾しにくい小ささで、戦艦を沈める火力を有しているのである。さらに重心がおおきく前方に寄っており、わずかな力で素早く旋回できる構造的アドバンテージを持つ。ほとんどの艦種は重心がエンジン寄りで、その安定感が中長距離砲戦では役立つものの、めまぐるしく位置関係が変化する短距離戦闘では立場が逆転し、戦闘艇の格好の的と化してしまうのは今更いうまでもない事実だ。
乱戦での駆逐艦の優位は他にもある。艦橋が前に突き出ており、センサー群とも直結していることから、状況把握を短時間で行えるはずなのだ。
艦首にブリッジを置くのは商船や長距離戦闘を想定していない艦艇に見られる共通の特徴だが、船内の情報機能において高い利便があるからだと思われる。もちろん長距離砲戦ではこれが一転して生存面で不利に働くため、主力戦闘艦種では艦橋はずっと後方に退いてゆく。
駆逐艦の強力な副武装として、ミサイルが挙げられる。ちいさな艦であるから、たいした量は積めない。ただしミサイル射出口の数だけは多く準備されている。正面にはレールガンに挟まれる形で6門×2の12門、側面四隅に少なくとも3門ずつ12門、合計24門が確認されている。24発ものミサイルを、敵へ向けて瞬時に放てるわけである。もちろん気を付けないとあっというまに弾頭切れとなるが、少ないチャンスを確実に物にしようという、駆逐艦の運用思想が見て取れる。あるいはこのコンセプトを進めてみたのがミサイル艦かも知れない。
下部にはワルキューレを2機、半収納状態でむりやり格納しており、攻撃に防御に偵察にと使用できる。帝国軍は軍艦を多機能実装の万能型に作ろうとする傾向があり、それは駆逐艦にもさすがに限定的ながら当てはまっているようだ。
コストの低さを見込まれた便利な駆逐艦は、巡航艦よりも多数建造されている可能性が高い。というのも、艦名にナンバーを振られた艦が目立つからだ。あまりにも数が多すぎるため、使い回しをしないと持たないと考えられる。
ナンバーには同時代におなじ艦名で複数存在しているパターンと、名前を継承する際に番号を増やすパターンの2種類があるが、銀英伝では同時代複数の例が一般的だと思われる。顕著な実例はもっぱら同盟軍に偏っているが、同時期存在でレオニダスとレオニダスII、レダとレダIIがあり、同名継承でアキレウスがいる。すなわち同じ名はそのまま後の同種艦へと引き継がれるのだ。これは帝国でも同じだと思われる。というのももっぱらドイツ語のため、命名の幅が同盟軍より狭いからである。
第5次イゼルローン攻防戦時、ラインハルト・フォン・ミューゼル少佐が艦長を務めていた駆逐艦。副長はキルヒアイス中尉である。
エルムラントIIの乗員たちは当初若すぎる2人にやる気を失っていたが、この2人が姉アンネローゼの悪口をいった士官に喧嘩をしかけたうえ、多勢を相手にしながら5人も病院送りにしたことを知って評価を180度変え、乾杯した。
いつものように言動で部下の信頼を勝ち取ったラインハルトであったが、いざ会戦本番というときになって、クルムバッハ少佐なるオカマ士官が乗り込んできた。この耽美野郎の正体は、シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ侯爵夫人の息が掛かった暗殺者であった。
少佐は嫌みと文句ばかり言ってきたが、ラインハルトはまともに相手にせず、機雷戦で同盟軍巡航艦を撃破するなど一定の戦果を出すと、無理をせず要塞に引き返した。
あとは自尊心を傷つけられたクルムバッハ少佐との死闘となるが、それは別の物語である。ともかくもエルムラントIIは五度目の大攻勢を生き延びた。この後ラインハルトは中佐へ昇進し、巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンの艦長に就任した。
艦名は統一ドイツの前身であるプロイセン王国時代、領有していたポーランド北部の呼び名。
エルムラントIIの乗員たちは当初若すぎる2人にやる気を失っていたが、この2人が姉アンネローゼの悪口をいった士官に喧嘩をしかけたうえ、多勢を相手にしながら5人も病院送りにしたことを知って評価を180度変え、乾杯した。
いつものように言動で部下の信頼を勝ち取ったラインハルトであったが、いざ会戦本番というときになって、クルムバッハ少佐なるオカマ士官が乗り込んできた。この耽美野郎の正体は、シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ侯爵夫人の息が掛かった暗殺者であった。
少佐は嫌みと文句ばかり言ってきたが、ラインハルトはまともに相手にせず、機雷戦で同盟軍巡航艦を撃破するなど一定の戦果を出すと、無理をせず要塞に引き返した。
あとは自尊心を傷つけられたクルムバッハ少佐との死闘となるが、それは別の物語である。ともかくもエルムラントIIは五度目の大攻勢を生き延びた。この後ラインハルトは中佐へ昇進し、巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンの艦長に就任した。
艦名は統一ドイツの前身であるプロイセン王国時代、領有していたポーランド北部の呼び名。
第237駆逐隊の旗艦。哨戒任務中アルトミュール恒星系で同盟軍の奇襲を受け、罠と知らず広い空間に転進し、伏兵によって撃沈された。このとき麾下の4隻のうち3隻が後を付け、一緒に巻き添えとしてしまった。
艦名はドイツのバイエルン自由州にある都市名バート・キッシンゲンから。温泉湧きたつ保養地で、かつては王侯貴族のリゾート地だった。いまでは音楽祭も開かれている、文化と観光の行楽地である。
艦名はドイツのバイエルン自由州にある都市名バート・キッシンゲンから。温泉湧きたつ保養地で、かつては王侯貴族のリゾート地だった。いまでは音楽祭も開かれている、文化と観光の行楽地である。
中尉時代のラインハルトが所属していた第237駆逐隊の一隻。アルトミュール恒星系で同盟軍に撃沈された。
艦名はドイツ中部にある学園都市でギーセン大学が有名。人口に占める学生の割合がドイツで一番高い。ハーメルンIIの僚艦はハーメルンも合わせてすべてドイツの地方都市名なので、発音された「ジーセン」ないし「ジンセン」で数百の都市名を調べた結果、綴りと読みと一定の知名度で残るのはギーセン位しかなかった。
艦名はドイツ中部にある学園都市でギーセン大学が有名。人口に占める学生の割合がドイツで一番高い。ハーメルンIIの僚艦はハーメルンも合わせてすべてドイツの地方都市名なので、発音された「ジーセン」ないし「ジンセン」で数百の都市名を調べた結果、綴りと読みと一定の知名度で残るのはギーセン位しかなかった。
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang))さま
ラインハルトが活躍した駆逐艦。 古い技術と新しい技術の融合。 精意執筆中
DVD付属資料に乗員25名とあったが、過去の資料16名を元に設定されたと考えられる。アニメでは艦内放送のシーンだけでも25名を簡単に上回っていたし、他艦種とのバランス上、現実的な数値ではないため無視した。おなじ資料にはほかに全長201mともあるが、全高との比率が3:1以下となり、外見バランスが崩壊してしまう論外な数値である。この例のようにDVD由来の資料は整合面の不備が散見されるため、当サイトでは軽視している。
恒星系の質量が邪魔をしてワープ不可能 必ず恒星系の外縁から内側に向かう。 [4枚目以降はバトルシップコレクションの写真を使用予定]
前半部は通常の駆逐艦だが、後部が特徴的なデザインをしている。730年マフィアが活躍していた時期の駆逐艦用エンジンだ。つまり前半部が現行、後半部が旧式。過渡期に建造されたミッシング・リンク駆逐艦である。新旧ハイブリッド。
不釣り合いに巨大な機関&推進部をもつが、数十年を経た老朽艦ゆえその船足は新型駆逐艦より遅い。それどころかたとえ新造でも並ぶのがやっと。理由は単純な効率と技術の問題で、同盟軍との戦いで要求される水準の空間機動力を確保するには、第二次ティアマト会戦時代は不釣り合いに巨大なエンジンを採用するほかなかったようなのだ。
総出力そのものはサイズゆえ新型駆逐艦より高いとみられるが、いかんせん効率が悪く機関出力構造が肥大化してしまい、自身のウエイトを支えるためさらに大型な装置が必要という悪循環の様相だった。性能のわりに大きすぎる艦体は被弾の確率も高く、とくにエンジンへの直撃は轟沈待ったなし。なのに横から見たら大半の艦艇で危険ゾーンが半分以上を占めている始末。この時代、戦闘での死亡率はどれほど高かったのであろうか。
帝国軍も同盟軍も兵力の損耗をすこしでも抑えるべく推進機関の小型化に励み、ラインハルトとヤンが戦う時代にはダゴン会戦期までの縮小に成功、見慣れたスリムでシンプルな後部デザインに仕上がっている。推進部が小型化すれば艦が軽くなり、そのぶん必要な機関出力も抑えられ、発動装置の融合炉は従来より小型のもので済む。技術革新というプラスの連鎖が行き着いた先がハーメルンIIの1~2割くらいの体積にまで圧倒的にダウンサウジングされたスリムなエンジンだ。
ダゴン会戦期とラインハルト&ヤンの時代では艦のデザインこそ似てる部分もあるが、機関出力や艦速、すなわち通常空間での機動力では雲泥の差があるはずだ。戦闘の激化に伴い、より高い出力が求められ次第にエンジンが巨大化、技術進歩によって後追いで小型化していくというのが、ハーメルンIIより読み取れる艦形変化の流れだ。
古いドクトリンで建造されており、主砲の数は少ない。通常の駆逐艦はレールガン52門を装備するが、ハーメルンIIはどうも普通のエネルギー兵器のようだ。有効射程こそ巡航艦並にあるだろうが、至近距離で戦艦を撃沈できるほどの瞬間火力は発揮できない。おしなべて下位互換、器用貧乏にすらなってない。会戦ではもはや員数合わせだ。
艦首部艦底のワルキューレはない。近接戦闘用の対空火器も不足し、小型戦闘艇の接近を許せばオーディンに祈るしかない。ハーメルンIIと同タイプの駆逐艦が何千何万隻も散り、無数の犠牲を経て、ようやく対空戦闘能力が充実していった負の歴史すら伺える。
だからといって現行の駆逐艦や未来の駆逐艦がより安全であるという保証もない。戦闘の形態はつねに移ろい、先に間に合わせの実装があり、技術の発展が後から追いつく。これは現実の製品でもよく見られる現象だ。
大ヒット商品だから時間が経っても名品のままというわけではない。たまたまその時期に卓越した、流行やニーズに相好した――という側面も多い。かつて大ヒットした機種やモデルだから大丈夫と思って中古購入しても、現行のあまり売れてない製品よりかなり使いづらい、細かいところに不満が出る……という幻滅を経験された人も多いだろう。むろん合理化という名の手抜きによって相対的に古いものが高性能になってしまう逆転も起こりうる。ゆえに購入は計画的に、賢い消費者でありたいものだ。
なぜこんな変な話をしたのかというと、役割を終えた古い艦艇の一部は民間へ払い下げられ、さらに一部が武装商船や海賊船に身をやつしているからだ。ゲームでも海賊船が旧デザイン艦だったりする。そして単純に弱い。命そのものを遣り取りする軍艦というジャンルだから、新しいものは純粋に古いものより高性能。いくら第二次ティアマト期の艦船が巨大で勇壮なエンジンを積んでいようとも、旋回性能ひとつみても現行生産モデルには並び立つどころかまるで及ばず、それはほぼ全艦種に当てはまるとみられる。
ラインハルトが活躍した駆逐艦。 古い技術と新しい技術の融合。 精意執筆中
DVD付属資料に乗員25名とあったが、過去の資料16名を元に設定されたと考えられる。アニメでは艦内放送のシーンだけでも25名を簡単に上回っていたし、他艦種とのバランス上、現実的な数値ではないため無視した。おなじ資料にはほかに全長201mともあるが、全高との比率が3:1以下となり、外見バランスが崩壊してしまう論外な数値である。この例のようにDVD由来の資料は整合面の不備が散見されるため、当サイトでは軽視している。
恒星系の質量が邪魔をしてワープ不可能 必ず恒星系の外縁から内側に向かう。 [4枚目以降はバトルシップコレクションの写真を使用予定]
前半部は通常の駆逐艦だが、後部が特徴的なデザインをしている。730年マフィアが活躍していた時期の駆逐艦用エンジンだ。つまり前半部が現行、後半部が旧式。過渡期に建造されたミッシング・リンク駆逐艦である。新旧ハイブリッド。
不釣り合いに巨大な機関&推進部をもつが、数十年を経た老朽艦ゆえその船足は新型駆逐艦より遅い。それどころかたとえ新造でも並ぶのがやっと。理由は単純な効率と技術の問題で、同盟軍との戦いで要求される水準の空間機動力を確保するには、第二次ティアマト会戦時代は不釣り合いに巨大なエンジンを採用するほかなかったようなのだ。
総出力そのものはサイズゆえ新型駆逐艦より高いとみられるが、いかんせん効率が悪く機関出力構造が肥大化してしまい、自身のウエイトを支えるためさらに大型な装置が必要という悪循環の様相だった。性能のわりに大きすぎる艦体は被弾の確率も高く、とくにエンジンへの直撃は轟沈待ったなし。なのに横から見たら大半の艦艇で危険ゾーンが半分以上を占めている始末。この時代、戦闘での死亡率はどれほど高かったのであろうか。
帝国軍も同盟軍も兵力の損耗をすこしでも抑えるべく推進機関の小型化に励み、ラインハルトとヤンが戦う時代にはダゴン会戦期までの縮小に成功、見慣れたスリムでシンプルな後部デザインに仕上がっている。推進部が小型化すれば艦が軽くなり、そのぶん必要な機関出力も抑えられ、発動装置の融合炉は従来より小型のもので済む。技術革新というプラスの連鎖が行き着いた先がハーメルンIIの1~2割くらいの体積にまで圧倒的にダウンサウジングされたスリムなエンジンだ。
ダゴン会戦期とラインハルト&ヤンの時代では艦のデザインこそ似てる部分もあるが、機関出力や艦速、すなわち通常空間での機動力では雲泥の差があるはずだ。戦闘の激化に伴い、より高い出力が求められ次第にエンジンが巨大化、技術進歩によって後追いで小型化していくというのが、ハーメルンIIより読み取れる艦形変化の流れだ。
古いドクトリンで建造されており、主砲の数は少ない。通常の駆逐艦はレールガン52門を装備するが、ハーメルンIIはどうも普通のエネルギー兵器のようだ。有効射程こそ巡航艦並にあるだろうが、至近距離で戦艦を撃沈できるほどの瞬間火力は発揮できない。おしなべて下位互換、器用貧乏にすらなってない。会戦ではもはや員数合わせだ。
艦首部艦底のワルキューレはない。近接戦闘用の対空火器も不足し、小型戦闘艇の接近を許せばオーディンに祈るしかない。ハーメルンIIと同タイプの駆逐艦が何千何万隻も散り、無数の犠牲を経て、ようやく対空戦闘能力が充実していった負の歴史すら伺える。
だからといって現行の駆逐艦や未来の駆逐艦がより安全であるという保証もない。戦闘の形態はつねに移ろい、先に間に合わせの実装があり、技術の発展が後から追いつく。これは現実の製品でもよく見られる現象だ。
大ヒット商品だから時間が経っても名品のままというわけではない。たまたまその時期に卓越した、流行やニーズに相好した――という側面も多い。かつて大ヒットした機種やモデルだから大丈夫と思って中古購入しても、現行のあまり売れてない製品よりかなり使いづらい、細かいところに不満が出る……という幻滅を経験された人も多いだろう。むろん合理化という名の手抜きによって相対的に古いものが高性能になってしまう逆転も起こりうる。ゆえに購入は計画的に、賢い消費者でありたいものだ。
なぜこんな変な話をしたのかというと、役割を終えた古い艦艇の一部は民間へ払い下げられ、さらに一部が武装商船や海賊船に身をやつしているからだ。ゲームでも海賊船が旧デザイン艦だったりする。そして単純に弱い。命そのものを遣り取りする軍艦というジャンルだから、新しいものは純粋に古いものより高性能。いくら第二次ティアマト期の艦船が巨大で勇壮なエンジンを積んでいようとも、旋回性能ひとつみても現行生産モデルには並び立つどころかまるで及ばず、それはほぼ全艦種に当てはまるとみられる。
フェザーンを占領した帝国軍はすぐに哨戒部隊を組織した。目的はフェザーン回廊からの脱出を試みる敵勢分子の検挙拘束である。ほぼ無血占領に近かったことが利に聡いフェザーン人の功名心をくすぐったのだろう、少なからぬ現地協力者すなわち地の利を得た哨戒網は、同盟軍首席駐在武官ヴィオラ大佐を捕らえるなど、優秀な捕縛力を発揮していた。
その哨戒部隊の一隻であったハーメルンIVが、通常航路を外れた怪しい商船を発見した。発する通信はひとつである。
――停船せよ、しからざれば攻撃す。
ところが返信は意外なものだった。
――密航していた同盟軍の下士官に脅されていた。さきほど捕まえたので、ぜひ逮捕をお願いする。
ヒゲもじゃの艦長はフェザーン協力者の首肯ひとつで、すぐさま自らによる臨検を決めた。僚艦らがすでに30隻も拿捕しており、はやる手柄をその目で確認したかったのだろう。
商船に乗り移った艦長は当該の士官を間近で見るや、内心の興奮を抑えられず、油断して笑ってしまった。なにしろ同盟軍下士官といっても、亜麻色の髪にダークブラウンの瞳を持つ、甘いマスクをした子供といえる十代後半の少年だったからだ。
それが運の尽きだった。
同盟軍士官ユリアン・ミンツ少尉の手錠がふいに外れた。ローゼンリッターのルイ・マシュンゴ准尉もいる。艦長らはたちまち制圧され、人質としてハーメルンIVに戻ってきた。
ハーメルンIVの軍艦としての最後の活動は、不名誉にも逃亡者の偽装であった。その砲撃で怪しい商船ベリョースカ号を破壊し、囮としてしばらくの時間稼ぎを演出する。ユリアンらは当然ハーメルンIVの新たな主となっていた。
ひげもじゃの艦長らクルーを適当なところでシャトルで解放すると、情報を集めたハーメルンIVは次の目的地を定めた。それはランテマリオの戦場であった。
必ずヤン・ウェンリー提督がやってくると判断したユリアン・ミンツの読みは当たる。フィッシャー艦隊との連絡に成功し、帰るべき仲間のところへ、ユリアンは無事に戻ってきた。
ハーメルンIVのその後は、当初はベリョースカ号の代替候補であった。武装を外せば十分なペイロードを確保でき、快足商船としての活用が見込めたからである。しかしヤンの口利きで同盟が新造船を補償してくれることとなり、ハーメルンIVの用途は宙に浮いた。その後はとくに語られていないが、三ヶ月後に同盟が帝国に降伏するまで放置されていたなら、帝国軍へ無事復帰したと思われる。
ヒゲもじゃ艦長は別に捕虜になったわけではないから解放後まもなく帝国軍に救われたと思われるが、もし彼がユリアンの罠を見抜き、逆にベリョースカ号を拿捕していたならば、その勲功は哨戒部隊随一となっていたであろうことは疑いない。なにしろベリョースカ号には同盟高等弁務官ヘンスローが乗船していたからだ。
ハーメルンといえば作中でもっとも有名な駆逐艦ハーメルンIIを浮かべるが、直接的な関係性はまったくないと考えられる。
その哨戒部隊の一隻であったハーメルンIVが、通常航路を外れた怪しい商船を発見した。発する通信はひとつである。
――停船せよ、しからざれば攻撃す。
ところが返信は意外なものだった。
――密航していた同盟軍の下士官に脅されていた。さきほど捕まえたので、ぜひ逮捕をお願いする。
ヒゲもじゃの艦長はフェザーン協力者の首肯ひとつで、すぐさま自らによる臨検を決めた。僚艦らがすでに30隻も拿捕しており、はやる手柄をその目で確認したかったのだろう。
商船に乗り移った艦長は当該の士官を間近で見るや、内心の興奮を抑えられず、油断して笑ってしまった。なにしろ同盟軍下士官といっても、亜麻色の髪にダークブラウンの瞳を持つ、甘いマスクをした子供といえる十代後半の少年だったからだ。
それが運の尽きだった。
同盟軍士官ユリアン・ミンツ少尉の手錠がふいに外れた。ローゼンリッターのルイ・マシュンゴ准尉もいる。艦長らはたちまち制圧され、人質としてハーメルンIVに戻ってきた。
ハーメルンIVの軍艦としての最後の活動は、不名誉にも逃亡者の偽装であった。その砲撃で怪しい商船ベリョースカ号を破壊し、囮としてしばらくの時間稼ぎを演出する。ユリアンらは当然ハーメルンIVの新たな主となっていた。
ひげもじゃの艦長らクルーを適当なところでシャトルで解放すると、情報を集めたハーメルンIVは次の目的地を定めた。それはランテマリオの戦場であった。
必ずヤン・ウェンリー提督がやってくると判断したユリアン・ミンツの読みは当たる。フィッシャー艦隊との連絡に成功し、帰るべき仲間のところへ、ユリアンは無事に戻ってきた。
ハーメルンIVのその後は、当初はベリョースカ号の代替候補であった。武装を外せば十分なペイロードを確保でき、快足商船としての活用が見込めたからである。しかしヤンの口利きで同盟が新造船を補償してくれることとなり、ハーメルンIVの用途は宙に浮いた。その後はとくに語られていないが、三ヶ月後に同盟が帝国に降伏するまで放置されていたなら、帝国軍へ無事復帰したと思われる。
ヒゲもじゃ艦長は別に捕虜になったわけではないから解放後まもなく帝国軍に救われたと思われるが、もし彼がユリアンの罠を見抜き、逆にベリョースカ号を拿捕していたならば、その勲功は哨戒部隊随一となっていたであろうことは疑いない。なにしろベリョースカ号には同盟高等弁務官ヘンスローが乗船していたからだ。
ハーメルンといえば作中でもっとも有名な駆逐艦ハーメルンIIを浮かべるが、直接的な関係性はまったくないと考えられる。