ミサイル艦 Kosmische Raketenzerstörer
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang))さま
多くのミサイルを集中運用する目的で開発された。駆逐艦クラスの小型艦で、原作ではミサイル「艇」と表記されていることもある。
専用艦だけあってスペックは並大抵でない。艦首に39連装ミサイルポッドを4基設置し、156発ものミサイルを連続射出できる。同盟軍のミサイル艦が94門なので、ポッドやミサイルの性能が同等なら、1.5倍以上の火力を叩き込める計算だ。
作中で帝国軍ミサイル艦がミサイルを放ったシーンは残念ながら存在しないが、同盟軍ミサイル艦の描写を見る限り、1門から発射できるミサイルは複数である。 機関推進部は特異にもねじれ構造となっている。エンジンの推進力そのものは正確に真後ろへ発生するが、恒常的な偏向制御をしないと、スペースコロニーのように回転してしまう。捻っている理由は設定未公開なので分からないが、ここではミサイル瞬間大量運用時への対処という仮説を唱えておく。というのも艦首ポッド群の穴の並びが、下の写真で分かるように、どうも90度ずつ寝かせてるように見えるからだ。
斉射は伝統的にポッド内の横列単位で順番に行われるが、なにしろ前例のない156連発である、横転させたポッド配置での連続射出により回転力が掛かるので、推進軸を捻って打ち消していると考えられる。通常航行時はすでに述べたように常に偏向制御を掛けているのだろう。艦内移動式の巨大ジャイロを用いれば、ほとんどエネルギーを使用することなく回転を抑制できる。
ただしミサイル運用時は艦にかかる振動や負荷も大きくなるので、射撃管制に神経を集中したい。それゆえ通常航行のほうに負担を回したとは考えられないだろうか。ポッドを互いに寝かせているのは弾幕内でミサイル列同士が接近しすぎ、弾頭の誘導センサーが干渉するのを嫌ってのことだと思われる。 視点を後ろに向ければ、推測を塗り重ねた仮説を立てるまでもなく、確実に分かることがある。それは動力源の興味深い配置だ。ねじれの終わる箇所に光る銀色の円盤は、エンジン毎に独立した反応炉の存在を示している。それもかなり小型のものだ。
駆逐艦レベルの大きさで炉を4基も持つ理由は、おそらくひとつしかない。誘爆撃沈の回避、ダメージコントロールだろう。エンジンぎりぎりまで炉を寄せることで、艦首のミサイルから最大限、距離を取ることが出来る。炉同士も物理的に宇宙空間で遮断してるのは、少しでも安全を確保しようという試みではないだろうか。
ミサイルといえば誘爆の元凶となる武器の代表だから、こういう面白い設計になったのだろう。この設計は炉からやられた際、余波がミサイルに及びにくくもなっており、一石二鳥だ。問題は整備性の悪さと、それに伴う運用コストの上昇が考えられる。 艦橋とおぼしき構造はこれも誘爆を考慮してかキノコのように首を伸ばし、艦体から10mは離れた部位に設置されている。下側にもバランスを取るためだろうか、同様の張り出し構造が見られる。
これらの安全面への配慮と考えられるものは、同盟軍ミサイル艦には見られない。巡航艦を流用した関係で、ミサイルポッドは分散配置されていて防弾ならぬ暴発チョッキを着込んでいるようなものだし、そのひとつは核融合炉から30mと離れてないごく至近にある。帝国軍ミサイル艦はこれが余裕で100mには達する。
以上のように攻守共に同盟軍の同種艦に圧倒するポテンシャルを確保したと思われるミサイル艦であったが、残念なことにアニメでは第6次イゼルローン攻防戦時、ミューゼル分艦隊麾下にテスト運用で配備されていた以外見ないことから、生産数はごく少数に留まったようだ。 ミサイルが場所を取る関係で攻撃時はあっというまに全弾撃ち尽くしてしまい、補給を受けない限り無用の長物となる辺りが、軍上層の印象を悪くしたのだろうか。それにミサイルは普通の艦も一定数搭載している。分艦隊レベルで斉射すれば、ミサイル艦の出番はなくなってしまうのだろう。おなじ理屈は宇宙空母にも一見当てはまりそうだが、通常艦種にはワルキューレを収納できても、効率的に整備・補修するスペースはまるでないし、パイロットを母艦にまとめておくと、前線での陣中訓練もずっと容易なはずだ。
帝国軍・同盟軍とも日々、ミサイル艦のように試行錯誤を繰り返しているのは間違いない。そういった中から高速戦艦のような成功例も誕生している。制式配備へ至らなかったとはいえ、ミサイル艦の努力は無駄ではない。遠回りをしながら時節に合ったものを探し求め、形にするのが、開発というものの本質だからだ。成功よりはるかに多い失敗は、最初から織り込み済みなのである。
多くのミサイルを集中運用する目的で開発された。駆逐艦クラスの小型艦で、原作ではミサイル「艇」と表記されていることもある。
専用艦だけあってスペックは並大抵でない。艦首に39連装ミサイルポッドを4基設置し、156発ものミサイルを連続射出できる。同盟軍のミサイル艦が94門なので、ポッドやミサイルの性能が同等なら、1.5倍以上の火力を叩き込める計算だ。
作中で帝国軍ミサイル艦がミサイルを放ったシーンは残念ながら存在しないが、同盟軍ミサイル艦の描写を見る限り、1門から発射できるミサイルは複数である。 機関推進部は特異にもねじれ構造となっている。エンジンの推進力そのものは正確に真後ろへ発生するが、恒常的な偏向制御をしないと、スペースコロニーのように回転してしまう。捻っている理由は設定未公開なので分からないが、ここではミサイル瞬間大量運用時への対処という仮説を唱えておく。というのも艦首ポッド群の穴の並びが、下の写真で分かるように、どうも90度ずつ寝かせてるように見えるからだ。
斉射は伝統的にポッド内の横列単位で順番に行われるが、なにしろ前例のない156連発である、横転させたポッド配置での連続射出により回転力が掛かるので、推進軸を捻って打ち消していると考えられる。通常航行時はすでに述べたように常に偏向制御を掛けているのだろう。艦内移動式の巨大ジャイロを用いれば、ほとんどエネルギーを使用することなく回転を抑制できる。
ただしミサイル運用時は艦にかかる振動や負荷も大きくなるので、射撃管制に神経を集中したい。それゆえ通常航行のほうに負担を回したとは考えられないだろうか。ポッドを互いに寝かせているのは弾幕内でミサイル列同士が接近しすぎ、弾頭の誘導センサーが干渉するのを嫌ってのことだと思われる。 視点を後ろに向ければ、推測を塗り重ねた仮説を立てるまでもなく、確実に分かることがある。それは動力源の興味深い配置だ。ねじれの終わる箇所に光る銀色の円盤は、エンジン毎に独立した反応炉の存在を示している。それもかなり小型のものだ。
駆逐艦レベルの大きさで炉を4基も持つ理由は、おそらくひとつしかない。誘爆撃沈の回避、ダメージコントロールだろう。エンジンぎりぎりまで炉を寄せることで、艦首のミサイルから最大限、距離を取ることが出来る。炉同士も物理的に宇宙空間で遮断してるのは、少しでも安全を確保しようという試みではないだろうか。
ミサイルといえば誘爆の元凶となる武器の代表だから、こういう面白い設計になったのだろう。この設計は炉からやられた際、余波がミサイルに及びにくくもなっており、一石二鳥だ。問題は整備性の悪さと、それに伴う運用コストの上昇が考えられる。 艦橋とおぼしき構造はこれも誘爆を考慮してかキノコのように首を伸ばし、艦体から10mは離れた部位に設置されている。下側にもバランスを取るためだろうか、同様の張り出し構造が見られる。
これらの安全面への配慮と考えられるものは、同盟軍ミサイル艦には見られない。巡航艦を流用した関係で、ミサイルポッドは分散配置されていて防弾ならぬ暴発チョッキを着込んでいるようなものだし、そのひとつは核融合炉から30mと離れてないごく至近にある。帝国軍ミサイル艦はこれが余裕で100mには達する。
以上のように攻守共に同盟軍の同種艦に圧倒するポテンシャルを確保したと思われるミサイル艦であったが、残念なことにアニメでは第6次イゼルローン攻防戦時、ミューゼル分艦隊麾下にテスト運用で配備されていた以外見ないことから、生産数はごく少数に留まったようだ。 ミサイルが場所を取る関係で攻撃時はあっというまに全弾撃ち尽くしてしまい、補給を受けない限り無用の長物となる辺りが、軍上層の印象を悪くしたのだろうか。それにミサイルは普通の艦も一定数搭載している。分艦隊レベルで斉射すれば、ミサイル艦の出番はなくなってしまうのだろう。おなじ理屈は宇宙空母にも一見当てはまりそうだが、通常艦種にはワルキューレを収納できても、効率的に整備・補修するスペースはまるでないし、パイロットを母艦にまとめておくと、前線での陣中訓練もずっと容易なはずだ。
帝国軍・同盟軍とも日々、ミサイル艦のように試行錯誤を繰り返しているのは間違いない。そういった中から高速戦艦のような成功例も誕生している。制式配備へ至らなかったとはいえ、ミサイル艦の努力は無駄ではない。遠回りをしながら時節に合ったものを探し求め、形にするのが、開発というものの本質だからだ。成功よりはるかに多い失敗は、最初から織り込み済みなのである。