ベイオウルフ(人狼)Beowulf(Z:Beiowolf)

全長988m 全幅242m 全高248m 帝国軍ミッターマイヤー艦隊
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ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」第4楽章アムリッツァ前哨戦
ニールセン交響曲第4番「不滅」第4楽章アムリッツァ星域会戦
ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」第3楽章アムリッツァ星域会戦終盤包囲陣
ワーグナー交響曲第3楽章よりアルテナ星域会戦
マーラー交響曲第6番「悲劇的」第3楽章よりレンテンベルク要塞攻防戦
マーラー交響曲第6番「悲劇的」第3楽章よりガイエスブルク要塞攻防戦釣野伏
マーラー交響曲第5番第2楽章よりオーディン制圧作戦
マーラー交響曲第3番第1楽章よりフェザーン占領
マーラー交響曲第1番「巨人」第4楽章よりランテマリオ会戦同盟軍狂乱から帝国双頭の蛇動く
マーラー交響曲第9番第3楽章よりランテマリオ会戦膠着
マーラー交響曲第1番「巨人」第4楽章よりランテマリオ会戦全面攻勢に移る
チャイコフスキー交響曲第4番第4楽章 マル・アデッタ星域会戦序盤
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第3楽章よりマル・アデッタ星域会戦終盤
ワーグナー交響曲第1楽章よりマル・アデッタ星域会戦敵将に告ぐ
ショスタコーヴィチ交響曲第8番第3楽章より回廊の戦いミッターマイヤーの戦術
マーラー交響曲第5番第2楽章より第2次ランテマリオ会戦ファイエル!
マーラー交響曲第2番「復活」第1楽章より第2次ランテマリオ会戦膠着
ショスタコーヴィチ交響曲第6番第3楽章より第2次ランテマリオ会戦ロイエンタール軍の撤退
ショスタコーヴィチ交響曲第8番第3楽章よりシヴァ星域会戦序盤
ショスタコーヴィチ交響曲第5番第4楽章シヴァ星域会戦戦うのをやめよ
帝国軍の双璧にして疾風ウォルフことウォルフガング・ミッターマイヤーの艦。姉妹艦にロイエンタール提督のトリスタンがある。トリスタンが女性的なフォルムを持つのと対照的に、ベイオウルフは実直なミッターマイヤーの性格を投影したように男性的・直線的なデザインを取っている。
ベイオウルフは疾風ウォルフと共に数多くの戦闘や作戦に参加し、その回数は姉妹艦トリスタンよりも多く、ケーニヒス・ティーゲルにつぐ。それだけ重用されていた戦場の人ミッターマイヤーであり、危険に身を投じる機会が多いぶん、被弾も幾度か受けている。その中のひとつは戦死との誤報を帝国軍に流すほど際どいものだった。 主砲を下部の一部に押し込めすぼませた艦首形状はブリュンヒルトの技術を借りた局所的な傾斜装甲で、正面防御力は従来より高くなっている。ブリュンヒルトのコンセプトは本体下部に突き出た複合センサー群構造にも見られる。本体から離すほど観測ノイズを抑制し、効率的かつ確実な情報能力を得られる。突出部の形状は細部まで含め前から見ても後ろから見てもブリュンヒルトのものによく似ている。ここに格納するワルキューレの搭載機数は最大36である。ブリュンヒルト開発で培われた先進技術をコストを抑えてどう活かすのか、という実験的な艦の初期型――それがベイオウルフという船だ。
コスト抑制とはすなわち既存技術との融合、掛け合わせが手っ取り早い。ベイオウルフの背中を走る稜線構造は標準型戦艦の系譜に見られる埋設アンテナ用の盛り上がりである。傾斜装甲の途中まで引っ張っているため傾斜装甲の効果はそのぶん下がると思われる。艦首砲門群も傾斜装甲の一部に割り込んでいることから、中途半端の印象を拭えない。 だが次世代艦艇開発の流れは最終的に、初期型であったベイオウルフの機能配置を選択した。標準型戦艦、という形で。新しい標準型戦艦の開発競争で最後に勝ち残ったバレンダウンの前半分は、ベイオウルフの艦首で先ほど説明した利点と欠点をすべて備えているのである。旗艦用機能には提案に留まったベイオウルフであるが、バトンは一般兵士たちを守る量産艦艇が受け取ったのである。
横におおきく張り出したサブエンジンは242m。ヴィルヘルミナの241mとほぼ同じであるが、ヴィルヘルミナの半分近くの排水量しかない小振りのベイオウルフに、これほどの横幅は本来不要のはずであった。後部に横方向のアームまで架けて従来より延長させたサブエンジン配置は、旋回等の機動性能を高め、被弾時の誘爆を未然に防ぐダメージコントロールを期待したものである。しかし当然ながら被弾確率は上昇してしまう。
安全と危険のバランスを天秤にかけ、後者が有利であろうと判断した試みの一環であった。こういうことには反証が伴う。同時期の旗艦群ではサブエンジンを艦本体と一体化するスリム化の試みが、ブリュンヒルト型やアンテナを4本生やしてる旗艦群を中心に行われた。将来の個人旗艦では最終的に、ベイオウルフやトリスタンの伸長タイプが標準使用される見込みとなっている。 初歩段階とはいえさまざまな新技術の実装により、ベイオウルフおよびトリスタンは生存性の高い艦として仕上がった。旧型技術のコンパクトな洗練を目指した古い旗艦群が想定に反して簡単に沈んだのに対し、ベイオウルフは確認されている2度の被弾とも敢然と耐え、ミッターマイヤーにかすり傷ひとつ付けさせなかった。じつに見事な盾ぶりであり、名誉の負傷とはこのことであろう。
ベイオウルフ開発の意識は攻撃能力になく、防御性能と指揮性能の向上を、より安く実現させることに集約されていた。いずれもブリュンヒルトで転換された旗艦開発の流れであり、大艦巨砲からの脱却である。
集団戦にあるべき旗艦とは、正確な情報を集められ、素早く部下に伝達し、危険に晒されても提督を生還させうる艦であろう。大貴族の自尊心を満足させ、無駄に巨大で威圧的な艦では決してない。脱大艦巨砲の起点となったブリュンヒルトは天文学的な費用のかかった特別製であり、白き美姫で得られたノウハウをいかに安く実現するか、またその欠点と利点をどう融合させるのかが、のちのより廉価な通常の個人旗艦群でさまざまに試され、ベイオウルフは幸運にも成功した側に立った。 前部の上側に銀色の半球ドーム構造がある。これはメンテナンス用大型ハッチではなく、高性能の三次元センサーで、戦闘時に射撃管制用として活躍する。精密な艦砲が可能となるので、砲撃重視型の旗艦ではけっこうな割合で見られる。姉妹艦のトリスタンをはじめ、ケーニヒス・ティーゲル、ヴィルヘルミナ級、ガルガ・ファルムル、ニュルンベルグ、バルバロッサ、フォンケルなどである。量産艦艇でも正面火力に特化した高速戦艦でそれらしき構造が見られる。
中央エンジン直下に見られる2枚の円は冷却機構である。ほかの艦ではほとんど見られないので、試験的に採用された装置だと考えられる。 姉妹のベイオウルフとトリスタン。そして双璧のミッターマイヤーとロイエンタール――皇帝の両翼は共にずっと揃っていると思われたが、地球教の詰まらぬ罠とロイエンタールの矜持が不幸な癒着を起こし、ヘテロクロミアの輝きを永遠に失わせることとなった。
ロイエンタールに後を託されたミッターマイヤーは親友の遺言を守り、最後まで生き延びた。双璧の片翼が欠け、もはや帝国の至宝となった彼の両肩には、今後も命より重い重責がかかってくる。そうなると宇宙を馳せる疾風の姿はほとんど見られなくなり、同時にベイオウルフも漆黒の空を飛ぶ機会は減ってしまっただろう。
それで良い。ベイオウルフは大量の戦艦を指揮し、結局は死をまき散らすための特殊艦であるからだ。
艦名は古英詩ベーオウルフの主人公。怪物や竜と激しい戦いを繰り広げ、最後は大怪我が元で死ぬ。だが宇宙の人狼はしぶとく生き延びて見せた。
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