パトロクロス Patroclus(F:same/Patoroklos)



副砲群はほとんどが艦側面に集中しており、正面以外の敵に対する防御を担当する。とくに艦尾側面上方に並ぶ計40門の荷電粒子ビーム砲群は集束口径が12cmと比較的大きく、固まった5門でひとつの目標を狙うなど、対空防御に特化している。
艦首くびれ部の上下にはミサイルランチャー12基を持ち、盤古やロスタムの戦闘描写から斉射・乱射が可能なようである。隠れた部位にランチャーを置くのは直撃弾をあるていど防止する意図があると思われるが、盤古はランチャーへの被弾から撃沈されており、射撃態勢時は巨大戦艦といえども弱点となるようだ。
ほかに光子レーザー砲多数・レールガン2門・熱戦砲6門・機雷射出機8基・スパルタニアン24機以上など各種武装を持っており、遠近自在の万能戦艦といえるだろう。

同盟軍艦艇は用途別のブロック群を合わせるモジュール式工法を採用しており、その応用によってアイアース級はわずか一種のデザインから帝国軍の旗艦とは比較にならない多彩なバリエーションを得ている。
形状にばらつきのあるバリエーション艦が多く作られた背景には、防御の実態があると思われる。銀英伝の防御システムは多くを防御力場(防御スクリーン)に頼っており、もっぱら力場で弾くか逸らしている。力場の薄い部分を突破されるか負荷に耐えきれないと被弾してしまうが、一撃の威力が大きく破壊が激しいため、艦形の重要度は相対的に下がる。したがってレースカーのように示し合わせたような似たり寄ったりとはならない――というのが私の考えた屁理屈である。

艦橋は設定構造図を見る限り上部表層から少なくとも10m以上の深さに位置しており、正面からの直撃を受けても艦首の主砲が盾となって防いでくれる。その加護も真正面だけで、レオニダスや2代目アキレウスは斜め前からの直撃弾が艦橋に達し、撃沈前に司令部が全滅している。アイアース級の横幅は最高でも72mしかなく、側面が弱点となっている。

末端下部の100m以上にも達する2本の白い棒状構造は超光速通信用の特大FTLアンテナである。これほど長くなると大幅に減衰した微耗な超光速波でも難なく補足できると思われる。物理的制約からほかの戦艦では装備できない。
あらゆる機能が特別仕様であるからには空戦能力も十分に備えており、下部ないし側面からスパルタニアンが24~36機出撃できる。完全収納式なので格納庫を狙われたからといって誘爆即撃沈という悲劇とは無縁である。艦尾上部にはシャトル等の格納庫があり、内火艇4~8隻を収納する。これら艦載機群の配備数はアイアース級標準となっている。

艦名はギリシャ神話のトロイア戦争に登場する武将でアキレウスの部下。アキレウスの身代わりとしてヘクトルに倒れた。
