パトロクロス Patroclus(F:same/Patoroklos)

全長1159m 全幅72m 全高358m 乗員1226名 ナンバー02 同盟軍第2艦隊/同盟軍第1艦隊
我が征くは星の大海バージョンはCG加工による再現。 パエッタ中将の第2艦隊旗艦にしてヤンがはじめて艦隊戦を指揮したパトロクロスは、設定上もデザイン上も同盟軍最大級の戦艦群の代表格である。全長1159mは帝国軍だと滅多にない巨大サイズに見えるが、後部のテールフィンが長いためであって、そのぶんをカットすれば900m台となる。900m台は帝国軍の大型戦艦では普通の水準だ。同盟軍艦艇の特徴であるテールフィンは多くの艦種で可動式となっており、同盟軍の総じて帝国軍に優る高い運動性能を支えている。 主砲である艦首中性子ビームは40門もあるが、口径は25cmに留まっている。帝国軍の大型戦艦ではこれが通常30cmに達する。数値上の差はわずか5cmであるが、消費エネルギーや威力には格段の差が生じてくる。出力の問題から一度に運用できる主砲門数にはおのずと限界があり、帝国軍は一撃の威力と引き替えに手数を減らし、同盟軍は逆に数を選んだ形だ。
副砲群はほとんどが艦側面に集中しており、正面以外の敵に対する防御を担当する。とくに艦尾側面上方に並ぶ計40門の荷電粒子ビーム砲群は集束口径が12cmと比較的大きく、固まった5門でひとつの目標を狙うなど、対空防御に特化している。
艦首くびれ部の上下にはミサイルランチャー12基を持ち、盤古やロスタムの戦闘描写から斉射・乱射が可能なようである。隠れた部位にランチャーを置くのは直撃弾をあるていど防止する意図があると思われるが、盤古はランチャーへの被弾から撃沈されており、射撃態勢時は巨大戦艦といえども弱点となるようだ。
ほかに光子レーザー砲多数・レールガン2門・熱戦砲6門・機雷射出機8基・スパルタニアン24機以上など各種武装を持っており、遠近自在の万能戦艦といえるだろう。 以上のように細部に渡っての武装が記された資料が存在する旗艦級戦艦は、同盟軍ではパトロクロスぐらいである。その理由はアニメ化に際し同盟軍艦艇で最初にデザインされたからで、その関係でパトロクロスはアイアース級(パトロクロス級・アキレウス級)大型戦艦の基本デザインとなっている。
同盟軍艦艇は用途別のブロック群を合わせるモジュール式工法を採用しており、その応用によってアイアース級はわずか一種のデザインから帝国軍の旗艦とは比較にならない多彩なバリエーションを得ている。
形状にばらつきのあるバリエーション艦が多く作られた背景には、防御の実態があると思われる。銀英伝の防御システムは多くを防御力場(防御スクリーン)に頼っており、もっぱら力場で弾くか逸らしている。力場の薄い部分を突破されるか負荷に耐えきれないと被弾してしまうが、一撃の威力が大きく破壊が激しいため、艦形の重要度は相対的に下がる。したがってレースカーのように示し合わせたような似たり寄ったりとはならない――というのが私の考えた屁理屈である。 同盟軍艦の艦橋は多くの艦種で艦体に埋没しており、被弾に割合強くて安全である。艦橋というよりは指揮所ないし指揮室であるが、慣例的に艦橋と呼ばれている。パトロクロスの主砲群のすぐ後ろ上に見られる、一見艦橋のように見える特徴的な部分は艦橋直上構造物であり、役割はもっぱら情報収集や通信となっている。
艦橋は設定構造図を見る限り上部表層から少なくとも10m以上の深さに位置しており、正面からの直撃を受けても艦首の主砲が盾となって防いでくれる。その加護も真正面だけで、レオニダスや2代目アキレウスは斜め前からの直撃弾が艦橋に達し、撃沈前に司令部が全滅している。アイアース級の横幅は最高でも72mしかなく、側面が弱点となっている。 艦橋ブロック側面の赤い段状構造は星間物質取り込み口であり、推進剤を節約している。アイアース級だけでなく、ヒューベリオンやマサソイトなど、一世代前の旗艦群にもおなじ構造が見られる。次世代旗艦と目されたトリグラフでは廃止され、純水タンクが大幅に増設された。旗艦級にのみこのような特別な配慮がなされているのは、非常時の生還確率をあげるためと考えられる。
末端下部の100m以上にも達する2本の白い棒状構造は超光速通信用の特大FTLアンテナである。これほど長くなると大幅に減衰した微耗な超光速波でも難なく補足できると思われる。物理的制約からほかの戦艦では装備できない。
あらゆる機能が特別仕様であるからには空戦能力も十分に備えており、下部ないし側面からスパルタニアンが24~36機出撃できる。完全収納式なので格納庫を狙われたからといって誘爆即撃沈という悲劇とは無縁である。艦尾上部にはシャトル等の格納庫があり、内火艇4~8隻を収納する。これら艦載機群の配備数はアイアース級標準となっている。 アスターテ会戦で被弾し中破したパトロクロスは、パトロクロス級の設定ではその後廃棄されたことになっている。アイアース級およびアキレウス級だと修理後にパエッタと共に第1艦隊へ栄転となった。数年の雌伏を経てランテマリオに出撃し、艦隊が四散するも無事に帰還して戦後引退したと思われる。パエッタさんのほうはラグプール事件で横死した。
艦名はギリシャ神話のトロイア戦争に登場する武将でアキレウスの部下。アキレウスの身代わりとしてヘクトルに倒れた。
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