マサソイト Massasoit(F:Masasoite)
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang)さま)
バーラトの和約で解体処分されたトリグラフに代わり、ダスティ・アッテンボロー中将の乗艦となった旗艦級戦艦。大型戦艦の区分に入るが全長は1000mに届かず、統率許容艦艇数も分艦隊規模に留まっており、アイアース級(パトロクロス級・アキレウス級)と比べかなり劣る年代物である。
アッテンボロー分艦隊は同盟と袂を分けたヤン一党において、全戦力のおよそ1/4を任せられていた。ほぼ同数の艦艇を麾下に配していたと思われるメルカッツ分艦隊と並び、ヤン艦隊の両翼を支える役割を担い、その重責を完璧に果たした。 乗り込む艦が最新鋭から旧式へと大幅にランクダウンしたわけだが、年金と国籍を返上し、伊達と酔狂で自称革命家になってしまったアッテンボローには、原作やアニメを見る限り、マサソイトに対する感情的なものはとくになかったようである。
ヤンからして強運だからという理由で旗艦をユリシーズへ移し、ヒューベリオンをメルカッツへ譲っている。ハードウェアに対する割り切った対応は、「使う人が肝心なのだ」というヤンの思想を反映しているかのようだ。 使う人が肝心。まさにその通りであることをアッテンボローは示した。役者が違うともいうが、20代で将官になった乱世の奇才にとって、旗艦のスペックなど最低限のレベルであれば問題ではないのであろう。
回廊の戦い前哨戦では黒色槍騎兵艦隊をおびき寄せるエサとなり、ファーレンハイト艦隊を完璧に半包囲する入り口を用意した。本戦では500万個の機雷を敷設し、バイエルラインを手玉に取る端緒を開き、シュタインメッツ艦隊を壊滅させる攻撃に加わり、終盤に行われた黒色槍騎兵艦隊の前進を断念させた。
第11次イゼルローン攻防戦ではアッテンボローがユリシーズに乗り込んでいたため本艦に出番はなかったが、シヴァ星域会戦では圧倒的な数で迫る帝国軍を長時間に渡り押しとどめ、最後はヒューベリオンが撃沈されるほどの総崩れにあって被弾を免れ、無傷で生還した。 当艦はアイアース級が登場する前に一般的だった旗艦専用艦の一隻であり、現役の生き残りである。同時代の仲間としてヒューベリオンがいる。これらの艦はヤンとラインハルトが戦った時代では一個艦隊を率いる情報通信能力を持っておらず、警備艦隊旗艦や分艦隊旗艦へとシフトダウンしていた。
マサソイトの機器システムが劣化したわけではない。戦闘規模の増大に伴い、一個艦隊の編成が拡大したことが、マサソイトらが制式艦隊の旗艦を退いた背景にある。その数的インフレーションに応えるべく開発されたのがアイアース級であり、顕著な特徴は大量の通信アンテナであろう。とくに推進部下部で横に生えるアンテナは100m以上にもなる長大なものだ。
ひるがえってマサソイトを見てみると、フィンアンテナの数が少ないことに気付くだろう。わずか6枚は標準型戦艦2隻ぶんにすぎず、それだけ機能レベルは低い。ヒューベリオンでは第13艦隊創設のおり急場の工事でアンテナを増設しまくったが、それでも基本スペックの低さはいかんともしがたいものであった。1個艦隊1万数千隻を単艦まるごとで率いる能力はついに持てず、分艦隊群の連合という独自の体勢を構築していった。
フィッシャーの名人芸もあったが、副産物としてヤン艦隊は個々の分艦隊が本隊を離れても有機的に機動できるようになり、それがドーリア星域会戦をはじめ後々の戦闘で顕著に活かされたといえるだろう。
艦中央にあるマサソイトの艦橋は一段飛び出ており、正面から見て直接露出している。露出型の艦橋は情報戦面すなわち戦術レベルで有利になる可能性があり、一概に不利で不合理だとは決めつけられない。旗艦というのは陣形の前列にあまり出てくるものではないから、そもそも被弾する危険が低いのである。防御を取るか、攻撃を取るか、その時折の志向が反映されている。
この艦橋ブロック配置はヒューベリオンも同等であり、建艦コンセプトはかなり近い。ほかに前部側面にある非装甲部の形状、アイアース級よりも無骨な星間物質取り入れ口(インテーク)とその場所、おなじくアイアース級よりも単純な構造のテールフィン群などが、ヒューベリオンとの共通項であろう。
両艦は姉妹艦というような近しい関係ではないようだが、その特徴を合わせれば、宇宙暦790年代より遡ること10年から20年前に流行っていた、同盟軍旗艦級戦艦群の基本構造を伺い知ることができる。少なくともインテーク部とテールフィン部は前世代の設計であることが一目で分かる。
インテークは間口が広くて被弾に弱そうだし、横への盛り上がりも大きすぎ、推進補助装置としては大げさだと評価されても仕方がないだろう。対しアイアース級ではずっとコンパクトで、横方向への張り出しもほとんどなく控えめだ。さらにインテーク部からエンジン室への経路も3倍近くは長く、取り込んだ粒子を圧縮・加速するに十分な余裕があると思われる。
テールフィンは構成枚数も少なく、偏向に使用できそうな可動式フィンは左右のわずかな数でその面積もごく狭い。遮光性能は申し分なかったが、噴射安定すなわちスタビライザー機能は巡航艦のように限定されていたと考えられる。
マサソイトは米国ネイティブアメリカン・ワンパノアグ族の酋長で、欧州より来た入植当初のイギリス人を救い、世話した人物である。マサソイトと入植者たちとの信頼関係は本物で、マサソイト存命中は40年以上に渡って平和が守られた。
かのオリビエ・ポプランをして平時に乱を起こすと評されたダスティ・アッテンボロー。その人物像とは正反対ともいえる賢君が艦の由来であるが、かえってある意味、似合いの戦艦かもしれない。
バーラトの和約で解体処分されたトリグラフに代わり、ダスティ・アッテンボロー中将の乗艦となった旗艦級戦艦。大型戦艦の区分に入るが全長は1000mに届かず、統率許容艦艇数も分艦隊規模に留まっており、アイアース級(パトロクロス級・アキレウス級)と比べかなり劣る年代物である。
アッテンボロー分艦隊は同盟と袂を分けたヤン一党において、全戦力のおよそ1/4を任せられていた。ほぼ同数の艦艇を麾下に配していたと思われるメルカッツ分艦隊と並び、ヤン艦隊の両翼を支える役割を担い、その重責を完璧に果たした。 乗り込む艦が最新鋭から旧式へと大幅にランクダウンしたわけだが、年金と国籍を返上し、伊達と酔狂で自称革命家になってしまったアッテンボローには、原作やアニメを見る限り、マサソイトに対する感情的なものはとくになかったようである。
ヤンからして強運だからという理由で旗艦をユリシーズへ移し、ヒューベリオンをメルカッツへ譲っている。ハードウェアに対する割り切った対応は、「使う人が肝心なのだ」というヤンの思想を反映しているかのようだ。 使う人が肝心。まさにその通りであることをアッテンボローは示した。役者が違うともいうが、20代で将官になった乱世の奇才にとって、旗艦のスペックなど最低限のレベルであれば問題ではないのであろう。
回廊の戦い前哨戦では黒色槍騎兵艦隊をおびき寄せるエサとなり、ファーレンハイト艦隊を完璧に半包囲する入り口を用意した。本戦では500万個の機雷を敷設し、バイエルラインを手玉に取る端緒を開き、シュタインメッツ艦隊を壊滅させる攻撃に加わり、終盤に行われた黒色槍騎兵艦隊の前進を断念させた。
第11次イゼルローン攻防戦ではアッテンボローがユリシーズに乗り込んでいたため本艦に出番はなかったが、シヴァ星域会戦では圧倒的な数で迫る帝国軍を長時間に渡り押しとどめ、最後はヒューベリオンが撃沈されるほどの総崩れにあって被弾を免れ、無傷で生還した。 当艦はアイアース級が登場する前に一般的だった旗艦専用艦の一隻であり、現役の生き残りである。同時代の仲間としてヒューベリオンがいる。これらの艦はヤンとラインハルトが戦った時代では一個艦隊を率いる情報通信能力を持っておらず、警備艦隊旗艦や分艦隊旗艦へとシフトダウンしていた。
マサソイトの機器システムが劣化したわけではない。戦闘規模の増大に伴い、一個艦隊の編成が拡大したことが、マサソイトらが制式艦隊の旗艦を退いた背景にある。その数的インフレーションに応えるべく開発されたのがアイアース級であり、顕著な特徴は大量の通信アンテナであろう。とくに推進部下部で横に生えるアンテナは100m以上にもなる長大なものだ。
ひるがえってマサソイトを見てみると、フィンアンテナの数が少ないことに気付くだろう。わずか6枚は標準型戦艦2隻ぶんにすぎず、それだけ機能レベルは低い。ヒューベリオンでは第13艦隊創設のおり急場の工事でアンテナを増設しまくったが、それでも基本スペックの低さはいかんともしがたいものであった。1個艦隊1万数千隻を単艦まるごとで率いる能力はついに持てず、分艦隊群の連合という独自の体勢を構築していった。
フィッシャーの名人芸もあったが、副産物としてヤン艦隊は個々の分艦隊が本隊を離れても有機的に機動できるようになり、それがドーリア星域会戦をはじめ後々の戦闘で顕著に活かされたといえるだろう。
艦中央にあるマサソイトの艦橋は一段飛び出ており、正面から見て直接露出している。露出型の艦橋は情報戦面すなわち戦術レベルで有利になる可能性があり、一概に不利で不合理だとは決めつけられない。旗艦というのは陣形の前列にあまり出てくるものではないから、そもそも被弾する危険が低いのである。防御を取るか、攻撃を取るか、その時折の志向が反映されている。
この艦橋ブロック配置はヒューベリオンも同等であり、建艦コンセプトはかなり近い。ほかに前部側面にある非装甲部の形状、アイアース級よりも無骨な星間物質取り入れ口(インテーク)とその場所、おなじくアイアース級よりも単純な構造のテールフィン群などが、ヒューベリオンとの共通項であろう。
両艦は姉妹艦というような近しい関係ではないようだが、その特徴を合わせれば、宇宙暦790年代より遡ること10年から20年前に流行っていた、同盟軍旗艦級戦艦群の基本構造を伺い知ることができる。少なくともインテーク部とテールフィン部は前世代の設計であることが一目で分かる。
インテークは間口が広くて被弾に弱そうだし、横への盛り上がりも大きすぎ、推進補助装置としては大げさだと評価されても仕方がないだろう。対しアイアース級ではずっとコンパクトで、横方向への張り出しもほとんどなく控えめだ。さらにインテーク部からエンジン室への経路も3倍近くは長く、取り込んだ粒子を圧縮・加速するに十分な余裕があると思われる。
テールフィンは構成枚数も少なく、偏向に使用できそうな可動式フィンは左右のわずかな数でその面積もごく狭い。遮光性能は申し分なかったが、噴射安定すなわちスタビライザー機能は巡航艦のように限定されていたと考えられる。
マサソイトは米国ネイティブアメリカン・ワンパノアグ族の酋長で、欧州より来た入植当初のイギリス人を救い、世話した人物である。マサソイトと入植者たちとの信頼関係は本物で、マサソイト存命中は40年以上に渡って平和が守られた。
かのオリビエ・ポプランをして平時に乱を起こすと評されたダスティ・アッテンボロー。その人物像とは正反対ともいえる賢君が艦の由来であるが、かえってある意味、似合いの戦艦かもしれない。