マルドゥーク Marduk

全長630m 全幅65m 全高137m 乗員675名 ナンバー813C 同盟軍バラート星域警備艦隊
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang)さま)
サンドル・アラルコン少将の艦。アラルコン提督の部隊は同盟首都星ハイネセン軌道上を駐留場所とし、バラート星系および周辺宙域の警備を任されていた。制式艦隊でないとはいえ、栄えある首都圏防衛の仕事は、やり甲斐のある任務だっただろう。
マルドゥークは部隊旗艦用途に開発された標準型戦艦のバリエーションである。情報機能および指揮機能が向上しており、ハードウェア面では艦首上部のドーム構造や特徴的な艦橋などがその改装に該当すると思われる。 艦首ドーム状の盛り上がりは超光速通信機能を補強するアレイアンテナを格納している。同盟軍艦でアンテナを内蔵するのは珍しいが、なにしろ設置場所が艦首ということもあり、都合でこうなったと考えられる。
艦橋は通常の戦艦と異なって露出式になっており、安全面を犠牲としているが、情報収集機能が艦橋構造と一体化しており、つまり物理的に直結しているぶん指揮性能は着実に上昇していると考えられる。ロボットの頭部を連想させる艦橋はレダIIのものと似ている。艦種の垣根を乗り越えて採用されているこのデザインラインは、開放型艦橋として一定の評価を得ているのだろう。 [4枚目以降はバトルシップコレクションの写真を使用予定]

マルドゥークの艦隊制御能力はノーマルな標準型戦艦よりも上で、数千隻に達するようだ。警備艦隊の編成艦数がおよそ1000隻から2000隻ていどであることを考えれば、これは完全なオーバースペックであるが、おそらくは制式艦隊の分艦隊旗艦としても働くことを想定しての設計だと思われる。
もっともユリシーズのように普通の標準型戦艦であっても、分艦隊連合という形で一個艦隊以上の部隊を操ることもフィッシャーのような名人さえいればいちおうは可能であり、ハードの差は創意工夫で挽回できる面もあった。

本艦には姉妹艦といえる類似艦がけっこう存在しており、おもに警備艦隊や防衛艦隊の旗艦に就役していた。制式艦隊の分艦隊旗艦にはアイアース級(アキレウス級・パトロクロス級)をできるだけ充てようという動きがあり、マルドゥーク型の戦艦はあくまで小戦隊用の艦だったのである。

アムリッツァの歴史的大敗で同盟軍が疲弊すると、分艦隊旗艦に標準型戦艦を、という声があがった。しかし従来型のマルドゥークやその仲間から、分艦隊旗艦へ栄転したものはおそらくはほとんど皆無だった。
分艦隊の指揮が可能だといっても、マルドゥーク型には機能面で色々と満足いかない部分があったようである。なにしろ制式艦隊といえば大規模会戦が仕事の本分である。日常的な小競り合いなど相手ではない。求められるものがいろいろと変わってくるはずだ。こうして新たに分艦隊旗艦級戦艦として開発されたムフウエセやアバイ・ゲセルなど新造戦艦が、マルドゥークらが指を咥えて見送るのを横目に、制式艦隊へ続々と配属されていった。

歴史にこのまま埋もれるかと思われたマルドゥークが活躍する機会はしかし、ふいに訪れた。ヤン・ウェンリー大将の留守中にイゼルローン要塞へガイエスブルク要塞ごと、帝国軍が来襲したのである。マルドゥークとその部隊はまるごと、臨時に編成されたヤンの増援艦隊へと編入された。アラルコン少将の立場を考えると、おそらくは臨時艦隊の基幹部隊になったと思われる。

奇跡のヤンが織りなす用兵の妙技で、帝国軍の撃退にはほとんど損害を出さずに成功する。しかしここでアラルコンは死神に魅入られた。さらなる戦果を貪欲に求めた少将は、グエン・バン・ヒュー少将と競ってイゼルローン回廊を帝国側へと突出し、敗走する帝国軍残存艦隊を追撃した。
だが帝国の領域で追いついたのは帝国軍残存部隊ではなく、待ちかまえていた双璧たる、ミッターマイヤーとロイエンタールの両艦隊だったのである。天才ヤンの手綱から放れた猛犬ごときが、誇り高い獅子と対抗できるはずもなかった。マルドゥークに戦没以外の未来はなく、その確定した死神の鎌はまもなく下ろされたのである。

マルドゥークはファンタジーやSF系の作品によく登場する名で、バビロニア神話最強の神である。ティアマトと争い打ち勝って、その体より天地を創造した。
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