クリシュナ Krishna(F:Kulishuna)

全長1159m 全幅72m 全高365m 乗員1298名 ナンバー0801 同盟軍第8艦隊
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ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」第4楽章 アムリッツァ前哨戦
ニールセン交響曲第4番「不滅」第4楽章 アムリッツァ星域会戦
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang)さま)
アップルトン中将率いる同盟軍第8艦隊の旗艦である。
第10艦隊旗艦バン・グゥ(盤古)とは姉妹艦に当たる。両艦ともかなり多くの増設を施した結果、上下におおきく膨らむこととなり、アイアース級(アキレウス級・パトロクロス級)でも比較的見分けやすい特徴的な艦容をしている。
ずんぐりな見た目とは裏腹に、クリシュナの戦闘力は艦名に負けぬ高さを誇る。艦首主砲60門はアイアース級ではシヴァに次ぎ、側面砲門も160門以上が確認できる。合計して240門以上はアイアース級最大の砲口数である。
特注の重力波センサーによって、遠距離の敵を先んじて狙い撃ちできる。60門もの斉射を一方的に受ければ、量産艦レベルの戦艦など一撃で昇天してしまうことだろう。
これらのエネルギー兵器を運用するに当たっては動力の問題がある。主砲40門を前提とするアイアース級の限界から逃れることができないのだ。通常型より高出力にチューンナップしているだろうが、アイアース級の横幅が整備上等の理由により基本72mの制限を受けている以上、横幅210mのトリグラフが採用しているような大型高出力炉は絶対に積めない。 対策としては、アガートラムのようにエネルギーチャンバーを装備し、事前にエネルギーをプールしておく手がある。超重量級のクリシュナにはそのスペース的余裕が十分にあり、たとえば艦首くびれ部がオミットされたのはそれで確保した空間にチャンバーあるいは類する蓄電的装置を入れているからかも知れない。
防御装甲上の理由から、クリシュナはスパルタニアンを全廃している。普通では考えられないことだが、凄まじい対空弾幕を形成すると見られる側面砲塔群がこれを許したのだろう。

アイアース級は艦首くびれ部の上下にミサイルを配置していることが多いが、クリシュナの当該部位にはくびれ構造も、なにかが迫り出しそうなモールドもない。かわりに艦中央上部に、謎のハッチ群が36門窪み状に並んでいる。ほかの艦には見られないこれがおそらく、ミサイル射出口であると考えられる。通常は12〜24門ていどなので、正しいとすればおよそ倍の瞬間火力を発揮できる。 アイアース級は推進補助にバサード・ラムジェット装置を持っているが、その規模もクリシュナは一等だ。艦首近くの朱い開口部から見えない電磁力のネットを展開、広範囲の星間物質(おもに水素)を吸い込んで圧縮加速し、推進剤として後部エンジンより吐き出す。その入り口が通常の倍以上開いており、ここは非装甲のため弱点にもなりうるが、クリシュナの重量を考えれば仕方のないところだろう。
艦が重ければそのぶん機動にも労力がかかる。鈍重クリシュナは推進剤を多めに消費する傾向にあるはずで、補助装置に頼る割合が高いのだろう。さらに設置様式の問題か、主推進剤用の純水タンクが平常の3基より少ない2基しかなく、ラムジェットをもっとも多用している旗艦ではないだろうか。 中央前部寄りの側面に幾つか見られる四角形は盤古と共通で、他艦にはないシャトル格納庫群である。臨時で数多くのシャトルが必要となった際に効いてくる保険となっており、惑星降下作戦や通信封鎖時の連絡などを迅速に行える。
本艦はアンテナも特殊である。上下のFTLアンテナは通常型よりかなり短くなっており、アンテナを含めた全高は365mとパトロクロスからわずか7mの微増に留まっていて、タイヤキみたいに膨らんだ艦本体と比べ意外だ。
港湾施設や整備ドッグの関係で、あるていどのサイズ制限を受けているようだ。短いアンテナぶんを確保するためか、艦尾下部のFTLアンテナで通常の長い2本の上方に、分かりにくいがごく短い2本が追加されている。さらに中央下部にフィンアンテナ群が、中央上部にもY字型の小型アンテナが増設されており、トロさを耳目の拡充でカバーするといわんばかりだ。
これら多量・大型の装備を構えた結果、クリシュナの乗員は1300人近くになっている。アイアース級標準は1200余名だ。 何度か述べたクリシュナの燃費が悪いだろうという根拠は、攻撃に移動にと、動力の回転率が間違いなく高いことにある。主動力は核融合炉だが、そこより発生した熱エネルギーをどうやって推進力へと転化するのかというと、古来よりのやり方、エンジン運動である。
同盟軍では推進剤の純水を直接動力炉へ注入する方式を採用している。いわば核融合ロケットといったところか。核融合は原子番号の一番低い水素で行うのがもっとも効率的で、水を注ぎ込めば炉熱で勝手に水素が反応してくれる。水素が核融合する際に放たれる熱エネルギーと、推進剤のプラズマ化による急激な膨張の反作用を利用して宇宙空間を移動する。
核融合の発電は熱エネルギーを直接電気エネルギーに置き換える熱電変換技術を用いる。非戦闘時に艦内を維持するていどの電力であれば推進剤とは別に積んである重水素でまかなえるので、融合炉を閉鎖系に保つことができ、推進剤を消費したり、勝手に艦が前に進むこともないようである。 しかし大量の電力が一度に必要となれば、炉熱を一挙に上昇させるしかない。融合炉の温度を短時間で高め、また同時に炉心融解を防ぐすなわち余計な熱を逃がす方法としてもっとも効率的なものは、推進剤の投入であろう。エネルギー生成に際し加熱と放熱を継続的に行うこの単純な法則は原始的な蒸気機関からなんら変わっていない。

アニメの描写で全速で星間航行するというと決まってエンジン色が高出力・最大加速を示す青となるが、星間航続距離の99.99999……%はワープ航法が占めており、無駄な努力のように一見では思えるかもしれない。ワープドライブと通常空間移動がまったく別のベクトルでありながら、推進剤をバカスカ消費するのには、上で記した事情がある。
時空間跳躍装置の動力源はその性質上電力に頼るが、エネルギーを短時間で満杯としたいなら、エンジンを全力で回し続けるのが一番の近道である。その副作用で通常空間の移動速度も上昇するが、最終的な移動距離に対しての貢献はまったく無視できるレベルにすぎない。

機動力などで欠点を有しながらも同盟軍最高レベルの諸性能を誇ったクリシュナは、帝国領侵攻作戦でいいところなく追いつめられ、最期はアムリッツァの海に没した。総員退艦を命じたあと、アップルトン提督が言った「私はいい」というセリフは、いろんなものを含んでいるようで印象的だった。

艦名はインド神話の英雄で、ヴィシュヌ神に匹敵する人気を持つ。多くの伝説や逸話を持ち、伴って別名も多く、その中で宇宙の支配者・奪う者といった辺りは巨大戦艦クリシュナのイメージに合っているだろう。
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