国宝ノ城(彦根城・犬山城) 漫遊 おでかけフォト よろずなホビー

撮影:2012/08/18~19

国宝の城を見に行ってきた。日本には国宝に指定されている城が城郭4・住居1の、計5件しかない。今回はそのうち城郭2・住居1の、3件を見てきた。プラスおまけの、4城を巡るレポート。 国宝の城を見るぜってコンセプト! 日本には再現城郭・天守こそ大量にあるが、現存している本物の城はとても少なく(当然「城跡」は除く)、たとえば天守閣はわずか12を数えるのみ。明治維新や廃城令、第二次世界大戦などで、大半の城が失われた。 京都府京都市中京区 二条城興味のある人だけ読んでみてな。 二の丸御殿。住居カテゴリーの国宝だ。さすが国宝&世界文化遺産のダブル指定された建物だぜ。門構えからして荘厳だ。写真写りが悪いのは、雨中の撮影だったので許せ。 内部は一切撮影禁止になっていたので、感想のみを。鶯張り(ウグイスばり)の廊下をはじめて体験したのだが、綺麗な音がとても印象的だった。大政奉還を告げる舞台となった大広間は思いっきり京風だったぜ。それにしても入って出るのに数十分を要した。なんとも広い。 内部は写せないが、外側は撮影できるので、適当にぱしゃぱしゃと。 隣接する日本庭園だ。ちゃんと管理されているので、日常を煩悩に囲まれている自分でも、どことなく風雅な空気を覚えて、見てるだけで落ち着いてきた。 天守跡。二条城の天守は1750年に落雷による火災で失われたきり、再建されることはなかった。天下のお膝元であった江戸城本丸天守ですら焼け落ちたあと再建されておらず、太平の世が長く続いていた江戸時代の途中から、天守の重要性はとても薄くなっていたようだ。 精神的な拠り所となる神社仏閣はいくらでも後世へ伝えられてきたが、実用の側面がおおきい木造の城はその巨大さもあり、どうしても保護されにくい。木造の維持には手間も人手もかかるので、放置すればやがて残るは石垣土塁ばかりなり。そんな中で干渉を受けやすい平城でありながら城郭内の建物群がまとめて残ってる二条城の価値は計り知れない。世界遺産にも指定されるほど。 おっと、雨が降ってきたので退散だ。つぎの城に向かおう。 晴れた! この橋を渡ってしばらく行くと―― 玄宮園という大名庭園だ。 あれが今回はじめて見る、国宝の天守さまだ。 もちろん現存12天守のひとつでもある。今回のメインはタイトルにある2城で、ぶっちゃければ天守閣優先。そのため二条城はいくら世界遺産でもおまけ扱いでタイトルにも含まなかった。内部撮影できねーし。 滋賀県彦根市金亀町 彦根城
この構図は定番なんだぜ。 彦根城といえば、ゆるキャラブームの初期に登場し、勝ち組としてかなりの知名度を誇るひこにゃん。 だからここからは普段はあまりやらない、ひこにゃんぬいるぐみを交えての撮影だぜ。 水が流れずともこういう面白い橋をかける。庭園って様式は面白いな。 天守目指してレッツゴーだな。 階段をのぼれば―― なかなか見映えの良いものが。こいつはスルーできないね。写さないと! 天秤櫓&廊下橋。あとで調べてみたら案の定、重要文化財に指定されてた。 こいつは見応えあるぜ。 重要文化財を抜けて―― 地味だけど国宝クラスの門を抜けると―― 本丸に出る。 彦根城はその天守本体と、付随する附櫓や多聞櫓も国宝になっている。 分厚い門だぜ。 銃や弓で敵を狙うための穴。戦闘用の施設だってよく分かるね。 現存12天守についての解説があった。国宝4天守、重文8天守。名古屋城や大阪城って特大かつ壮大な天守が第二次大戦の戦災で失われた(いまは再現で鉄筋)のは、本当に惜しいな。現存で一番すごい姫路城はこの撮影時、まだ平成の大修復中で、今回の撮影では見合わせた。 天守台のてっぺんだぜ。木が太い! 佐和山を望む。関ヶ原で敗れた石田三成の居城があったところだ。彦根城とは目と鼻の先。関ヶ原の戦功で石田氏の所領を与えられた井伊氏は、縁起を担ぐ意味もあって三成の城を嫌い、彦根の山に彦根城を築城した。 彦根の立地は琵琶湖を見渡せる。逆にいえば、琵琶湖のかなり広い範囲で、彦根城は丸見えだ。彦根城の役割は地の利としての城より、象徴としての城にあったようだ。それは庭園からの眺めでも分かる。 ひこにゃんグッズが大量だぜ。すっかりユルユルだが、ひこにゃんの兜って徳川四天王の装備なんだよね。 赤色が目立つが、井伊隊の赤備えは戦国末期、勇名を馳せた。元祖赤備えは甲斐武田軍団に見られ、国境を接した徳川家家臣と北条家家臣に伝播した。赤備えの部隊は精強なことが多く、井伊隊も赤鬼と呼ばれていたようで、つまり強さを自負してないと使えない色だったともいえる。武田直系の赤備えは大阪の陣で真田信繁(幸村)が採用しており、その凄まじい戦いぶりから徳川家をして「真田日本一の兵」と言わしめた。ここに赤色イコール最強の方程式が完成し、シャア・アズナブルの赤い彗星へ続くというのはさすがに勝手な私の妄想だが、赤が黒と並び強さを示すのはイメージとして日本人にはあるていど共有されてるように思える。黒は和式甲冑の基本色だ。 これは海洋堂か? なんとなく載せてみる。 メインディッシュと考えていた彦根城はけっこう時間をかけたよ。だから疲れたぜ。でも訪問予定はまだ半分残ってる。 さて、つぎの国宝に向かおうか。 着いた。レポじゃ一瞬なんだよな。移動時間とか関係なく。 彦根城から車で1時間足らずの近場に、こじんまりとして可愛いながら、国宝な城がある。 国宝の基準は色々あるが、城でいえば価値や希少性があるかどうかだろう。この城は条件を満たしている。たとえば建造当時のままの姿をほぼ正確に留めていることとか。私の地元、高知城天守はいちおう現存12天守のひとつだが、1727年に一度焼けたあと再建しており、それが原因で重文に留まっているようだ。二条城は江戸末期に再整備された比較的新しい城だが、大政奉還という日本史上きわめて重要な場面を演出しており、国宝となるに申し分なかった。ケースバイケース。 愛知県犬山市 犬山城興味のある人だけ読んでみて。 ひこにゃん連れて、国宝に潜入だぜ。 小さいながら、質素で堂々たる佇まいだぜ。 往時は総金色に輝いていたとおぼしき鎧も、いまとなってはくすんでいる。 今回天守の内部撮影で射命丸文を使っていないが、理由はこの急峻すぎる階段。フィギュアなんか持ち歩けば、うっかり壊してしまう。天守に入ってる間は、外で待ってたぜ。階段の角度がきついのは戦闘で有利に働くため。現存天守はほとんどが急階段で、スカートでの入場を勧めていないところもある。 上に着いたぜ。 木曽川が流れている。犬山城は木曽川河畔の丘陵に築かれた平山城だ。 これで国宝訪問は終わりだな。この近辺の国宝な城にはほかに、長野県松本市の松本城があるが、残念ながらスケジュールなどの関係で行けなかった。なにしろ本来の用事が別にあって、訪問地での観光情報を調べて、国宝の城って共通項が浮かんだわけだし。 ここよりおまけだ。 さらに足を東へ伸ばし、静岡県だ。写真は浜名湖。日本で10番目におおきい湖。 うむ、最後もやはり城だぜ。 静岡県掛川市掛川 掛川城(再天守) これはよくある復元天守のひとつだが、今回の撮影コンセプトにぎりぎり合致する。それは再現されたものとしては、日本初の木造復元天守だってこと。木造にもなれば、再建天守ともいわれることが多いみたい。再建という表現は、復元や復興よりなんとなく価値がありそうなイメージ。再建に辺り、残っていた資料を総動員したという。なお資料に依らない新しい木造天守なら昭和の初期からあり、復興天守や模擬天守と呼ばれるらしい。 法律により新規の木造建築は高さが制限されている。したがって掛川城のような小さめの城でないと、木造再建ができないのはすこし残念でもある。 掛川城に到着した時刻は入城できる制限より1時間も後だったので、外しか写せていない。 いちおう歴史っぽいもの。掛川の天守閣は山内一豊が建築した。一豊は関ヶ原の功績により土佐一国を与えられ、改めて城と天守を築いた。現在の高知城だ。 ちなみにこちらが高知城天守。掛川城の再建天守は高知城を参考としているので、とても良く似ている。一豊は自身の整備した掛川城を、高知城で規模を大きくして再現した。そのため掛川城の再建天守は高知城を参考としている。掛川城天守は江戸初期に地震で倒壊しており、江戸時代を通じて建っていた天守閣は、一豊に由来するデザインではなかった。いわば掛川城のいまの天守は、一番最初の山内家天守を模したものだといえる。高知城天守も一度焼けているが、ほぼ忠実に再建されたと伝わる。 ちなみに天守閣は以下の四種に分けられるようだ。上ほどグレードが高い。
1:現存天守
明治維新以前に建築され、いまも残っている天守。オリジナル・再建を問わず、その希少性からすべてが重要文化財以上に指定されている。二条城は天守がないので、御殿が国宝であろうがどれにも分類されない。
2:復元天守(再現天守・再建天守)
一度失われた天守閣を明治時代以降に作り直したもの。外観を忠実に踏襲し、かつオリジナルがそびえていた天守台とおなじ場所に建築したもの。完全木造を再建天守、内部構造をできるだけ模したものを再現天守と呼び分けるらしいが、人により境界はあいまい。外見だけならとりあえず復元か。
3:復興天守(再現天守・再建天守)
復元の意図があっても諸事情により場所や外観がオリジナルと違えばこう呼ばれる。復元天守と同様、作り方によって再現・再建とも言われる。やはり境界はあいまい。さらに復興と模擬の境界もじつはけっこう適当。
4:模擬天守
歴史上存在しなかった天守を作ったもの。実在していた(あるいはしている)けど、まったく関係のない遠く離れた場所に建てた天守など。成金の道楽や商業施設は分かりやすいが、城跡を観光目的で再整備する際、史実の裏付けなく乗りでうっかり作っちゃった天守が紛らわしいようだ。


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