紅葉OF寒霞渓WA日本三大渓谷美っぽい! 風物 おでかけフォト よろずなホビー
正直これまで、雄大といえるレベルの紅葉を見たことがなかったので――
近場の本命、寒霞渓(かんかけい)へ行ってきた。日本三大渓谷美の一角であり、古くは日本書紀に記されていた、歴史ある奇勝地だ。
高知からマイカーで高松港まで来た。フェリーで行く先は、瀬戸内海に浮かぶ島のひとつだ。
さよなら四国本島。車は港に置いてきた。さすがに往復1万は高すぎるんで、島内はバスなど公共機関を使うつもり。
見えてきたよ目的地。
香川県小豆郡 小豆島(しょうどしま)架橋されてないぶん頻繁に来れる場所ではないので、この機にあちこち行こうかとも思ったが、やはりピンポイントに紅葉見物だけで済ますことにした。的を絞って、一カ所に長時間いて、風景を楽しもう。というわけで寒霞渓に一番近い草壁港への航路を選んでいる。
牛に例えられる形状を持つ小豆島の特産はオリーブ。ちょうど実がなる季節。この日は強風で派手に揺れてたけど、そんなときは置きピン&シャッタースピード1/8000で対処した。
寒霞渓(かんかけい)
寒霞渓は東西7キロ、南北4キロに広がる。その南端から、ロープウェイが出ている。
標高295mの紅雲亭で、いきなり見事な紅葉を見物できた。まさに旬のまっただ中、これは期待できそうだ。
いざ登らん。
あちこちがいい感じに色づいている。行楽日和のおかげでゴンドラの窓はみんな開いており、存分に写真を写せた。
カメラを斜めに構えてぱしゃり。
奇岩群が目を見張る。寒霞渓は日本三大渓谷美および日本三大奇景、さらに日本三大奇勝にも数えられる。トリプルホルダーだ。
つまり観光地として格好のスポットであり、紅葉シーズンは見応えを約束されているわけで――お、ゴンドラ(カーゴ)の影が真下に。
この部分はピークを過ぎてるけど、まだまだ赤いぜ。すごいところから生えてるな。
よく見たら堆積岩だね。200万年前の火山性凝灰岩などらしい。
標高612mのてっぺんについたぜ。本当の最高峰はさらに200m上だけど、その辺りはすでに紅葉が終わってるようだとの情報を得ており、今回の散策対象ではない。
観光地といえば、ようこそ~~へ、みたいなでかい石碑とか看板だな。
記念撮影にちょうど良さそうな岩だ。よく見ると「大正~~」とか、「三十七~~」とか、年代物の落書きが残っている。彫り物なんで100年経っても消えない。
寒霞渓の解説っぽいもの。
高いところに登ったら、展望しなきゃね。
寒霞渓より、南を望む。魚眼レンズで写しており、ほぼ150度をカバー。
ロープウェイ駅の近場は、植樹されたカエデ科で鮮やかな紅い世界となっている。
赤の向こうに、いい感じで折れた幹が。
黄色い個体もあった。
魚眼レンズで。
これは望遠レンズ&透過光。
なんだろう?
ああ、良くあるね。
穴に通したらラッキーってことか。ものごっつ錆び付いてまんがな。
そろそろ昼が近づいてたので、レストランの類が混む前に昼とした。なお今回の撮影機材はいつものカメラ2台に、広角(魚眼)・標準・望遠のズームレンズ3本だ。風が強かったので置きピン&高速シャッターを何回か使った。
にゅうめん。そうめんの一種で、ラーメンみたいに食べる。これより何時間か歩くので、あまり腹を膨らませたくなかった。
まずは寒霞渓の北を廻った。より高所へ登る。
高所ゆえすでに見頃の絶頂をすぎ、どんどん散っているカエデ。下が紅葉の絨毯になってやがる。
だが――落ちてもなお、枯れきるまではカラフルで綺麗だね。紅葉の主役といえば落葉しても華を残すカエデ・モミジだが、今回はほかの植物も色々と見ておきたかった。
それには地味な山道を歩いて行くしかない。山頂までは行かない。途中で引き返す。
人の多い場所や、名の知れた神社仏閣・庭園は、定番の「多くの人に受ける」メジャーリーグ紅葉で埋め尽くされている。
だからマイナーリーグな紅葉も味わいたくて、寒霞渓の観光地的な場所から離れてみた。すると植生がやはりメジャー紅葉から離れた。
いわば脇役だね。落ち葉も下の写真のように、カエデ類のような色はもうない。いかにも枯れ葉だ。
水場にも秋。
赤いはっぱ。マイナーがんばれ。
黄色い葉っぱ。
葉脈くっきり。
うーむ、1時間ほど歩き回ったが、カエデ科を除いた紅葉は、写真に残しておきたいくらい綺麗なのが意外と少ないな。さすがカエデ・モジミは秋の王者というところか。
山頂につづく広場に、カエデ科が大量に。
やっぱ一味違うなこいつらは。色付きがね、日本人好みすぎる。
飛鳥や奈良の時代から、秋といえばカエデだった。貴族が認める風雅の代表。
これから色づくカエデの林があったので、中に入って魚眼で。この場合、逆光は勝利。
お気に入りの一枚。強風で揺れてるんだが、それのおかげか幻想的にブレた。
上から降りてきて休んだあと、今度は寒霞渓のちょっと低い位置へ足を向けた。
ほかの展望台があるので、あそこまで行こうか。
その途中にも何カ所か展望スポットがあった。
寒霞渓の絶景。
ロープウェイの底まで見える。
着いたぜ。別の展望所。
ロープウェイ付近はただ雄大な風景に見えたけど、こちらは完全に渓谷してるな。
日本三大の複数に名を連ねるにふさわしい切り立った岩の群れと、四季の色づきをくっきり示してくれる、日本らしい植生のコラボ。1300年ほど前に書かれた日本書紀にも紹介される、日本でもっとも古い「観光地」のひとつだ。
駐車場とかの近くはカエデ科が多いね。
なんかの碑を覆うように、真っ赤な世界が。
逆光を味方に付けたくて色々と試行錯誤しまくった。そのうちの一枚。
これも綺麗。
魚眼レンズは一本あれば便利。
お気に入り。色とかボケ具合とか。
偶然、幻想的に写せた半スケルトンな逆光の紅葉。
つづけて奇岩いこうか。
烏帽子って固有名ついてるやつ。
どれも名前付いていそうで面白い。粒々とした、独特の岩肌。
まるで山水画のような風景がずっと続いていた。
寒霞渓に来て5時間ほど経過した。そろそろ帰らねば。
戻りもロープウェイを使う。
おっと、お土産を買わねば。オリーブのチョコレート菓子にした。
下りもゴンドラの開いた窓より撮影したよ。崖だなあ。
きれいだなあ。
秋の行楽シーズンまっただ中なので、観光客めっちゃたくさんいたよ。写真にできるだけ入らないよう配慮してただけ。画角の狭い望遠レンズが活躍した。
バスで草壁港まで戻る。
時間待ちの休憩で写した一枚。11月でも元気な昼顔っぽい花。
行きは通常のフェリーだったけど、帰りは高速艇になった。
いざさらば小豆島。ちなみに日本三大渓谷美と日本三大渓谷はまったくの別物。美と付く方が四季折々の観光向け、ノーマルは手つかずの自然派向けで、本格入山者のうちから時に死者が出るレベル。いまの私の装備や機材じゃ、「美」はともかく、三大渓谷はとても行けねえ。