番外編

旭和ラノベ
美浜ちよの黒日記/1年生編 2年生編 3年生編 番外編 同人誌
てんちむよー(創作+天地無用)
11 ちよ黒サンボ(ちびくろ・さんぼ+原作3巻10P)
23 えんでぃんぐ(アニメ版エンディング+SF)
31 ひとのかたち(創作)
53 研究(創作)
62 1石2瘤(創作)
65 えろえろよー?(創作)
76 脳が(川柳)
93 りょーり(アニメ版CM)
107人類総猫化計画(創作)
109たこ(テレカ用4コマ)
110逃げて(あずまんがドンジャラ大王+原作1巻97P)
111宇宙戦艦とまと(宇宙戦艦ヤマト)
113ぷろろーぐ+えぴろーぐ(創作)
117ショタ大戦・登場編(原作1巻9・34・2巻47P+創作)

てんちむよー (創作+天地無用)

 この間新宿で、私によく似た可愛いガキと知り合った。そのガキは非常識なことに髪が水色で、おさげがとても長く、奇妙な和服を改造したようなものを着ていた。彼女は一緒にいた「天地兄ちゃん」とかいう冴えないサラリーマンに惚れているようだった。年齢差はどう見てもかなりあり、まちがいなくガキはこのロリコンに洗脳されている。騙されてやがんのバーカ――もとい、可哀想に。意味深なことにこのガキ、「砂沙美は天地兄ちゃんが生きている間はこの姿のままだから」とかほざいていたが、どういうことだろうか。

 とりあえずロリコンは氏ね(死ね)ということで。私は騙されない。

番外編

11 ちよ黒サンボ (ちびくろ・さんぼ+原作3巻10P)

 ある高校に、ちよ黒というかわいい女の子が通っていました。ある日、榊さんがちよ黒に赤いほつれた服と青いゆがんだズボンを作ってくれました。
(……な、なにーこれー?)
 と内心で思いましたが、我慢しました。同情したよみさんが、ちよ黒に傘とくつを買ってくれました。
「かわいい〜」
 休み時間になると、ちよ黒は大喜びで校庭へと散歩に出かけました。でも服とズボンを笑われたので、恥ずかしくなって裏庭に行きました。すると、とつぜん智ちゃんが現れました。
「あははは、変な服〜〜。ちよ黒、いじめちゃうぞ」
「いじめないで、この服をあげますから」
 ちよ黒は赤いほつれた服を渡しました。しかし智ちゃんは赤い服を頭半分に着ていじわるに迫ります。
「ほら、赤いおばけーおばけー」
「うえーん、うえーん」
 ちよ黒の泣き声を聞きつけ、大阪と神楽さんがやってきました。
「あー、ちよ黒ちゃん変な服着てるー」
「面白い格好だな、ちょっと貸せよ」
 大阪に傘とくつを、榊さんに青いゆがんだズボンを取られました。
「あははー! ジムや」
「ほれほれー。怖いぞー」
「どーん、どーん」
 あまりの怖さに、ちよ黒は下着だけのあられもない姿で木の回りを逃げ回りました。ロリコンが見たら喜びのあまり鼻血を出して倒れそうな光景です。
「3人揃ってボンクラーズ!」
 ボンクラーズたちはちよ黒の後を追ってぐるぐる回ります。
「誰が一番ちよ黒を泣かせるか、競争だー!」
「わかったでー」
「おう、私が一番だ」
 ボンクラーズたちは次第にエキサイトしてきて、互いを押しのけるようにちよ黒を追いました。
「うえええーん」
 ちよ黒が泣いて転びました。しかし3人はボンクラなので気付きません。いるはずのないちよ黒を追って木の回りをえんえんと回っています。そのうちズボンも服も、傘もくつも放り出しました。
「いらないなら、返して貰いますよ」
 ちよ黒がそれらを回収して着直したとき、娘の危機を感じたちよ黒パパが飛んできました。
「いじめるようなことを……」
 ゴゴゴゴゴゴ。
 ちよ黒パパが点滅すると、ボンクラーズはたちまち黄色いバターになってしまいました。
「わーい、おいしそう!」
 よみさんが、ボンクラーズのバターでホットケーキを焼いてくれました。おいしいおいしいホットケーキ。榊さんは27個食べました。よみさんは55個食べました。
 そしてちよ黒はなんと、169個も食べてしまいました!

番外編

23 えんでぃんぐ (アニメ版エンディング+SF)

 遠足に行ってきた。

 花畑をしもべの犬(校長の弱みを握り特別許可で遠足に同伴させた)といっしょに歩いていると、大阪から来たヴォケが待ちかまえていた。どうやらしもべと散歩がしたいらしい。このしもべはフランス人なので、ヴォケのような下賤の者には触れさせたくない。そこでおさげの魔力を使い、しもべとヴォケの姿を入れ替えた。ヴォケは夢でも見ているのと勘違いして、喜んで走りだした。やばい、てっきり泣くものと思っていたのに、なんて天然さだ。これほどまでに真性の天然とは思わなかった。

 あわてて飛んでおいかける。私はそのときどうかしていた。ヴォケ犬が走った先でつぎつぎと同級生に目撃されたのだ。語り合う暴走女とメガネ、レズおかっぱに猫主義のっぽ。ひとりライバルを捜してる体力バカ。この5人だ。しかたなく後で記憶を消すことにして、応急対処としておさげの力で空を飛ばし、連れてきた。同時に複数の力を使ったせいで、ヴォケの犬変化が解け、しもべは元に戻っていた。気付かずに犬走りするヴォケをやはり力で浮かし、捕まえようとした。だがこいつ今度は空を飛んでいるのに喜び、ぜんぜん捕まりやがらねえ。空中でおいかけ回し、必死に捉えようとするが……くそ、他の連中にもなんとかしろと叫ぶが、どいつもこいつもただ呆然として目が点になってやがる。

 こうなったら最後の手段だと、父を呼んだ。父はどこからともなくすぐにあらわれた。そしてヴォケを……あれ? なにをしているお父さんよ! どこに手を振っているんだ? 誰に向かって? そういえばずっと奇妙な音楽が流れているな……

 ラズベリーヘヴンがどうかしたって?

番外編

31 ひとのかたち (創作)

 ……うーむ。冗談で出したのだが、まさか本当に当選してしまうとは。どうしよう、こうしよう。なにか出そう。なにを出す? 人気が出そうなもの。うーん、人気か……来るのは男ばかりだから、やはり大阪さんと榊さんだな。せっかく当たったのに、用意が必要とは大変だな。そうだ、人気を出すために、私も制服で出よう。よし、大阪さんと榊さんをさっそく研究だ。それが一番受けるか……とりあえず私にはスキルがないから、機械を発明しよう。
【数日後――】
 よし、いいのが出来たな。大阪さんはやはり制服へーちょか。榊さんは水着でしなっとポーズ。なかなかいい具合だ。これなら売れるぜ。さてと、いよいよ出発だぜ。私の制服も本物ではなくちょっと変えたものだから、言い訳も立つぜ。

 よっしゃあ、フィギュアを売りに行くぞ!

番外編

53 研究 (創作)

 黒日記をつけていてふと思った。ばれたらあやつらどう思うだろうか? ふっふっふ。これはさっそく実験だ。日記のコピーをやつらが1人きりになったときに見るように工夫し、どういう反応をするか隠しカメラで観察してやるのだ。記録するのは最初の一言だけにしよう。

 メガネ 「なっ、なんだとあのチビ!」
 暴走  「(日記のコピーを握り潰し)くっくっく、泣かす」
 ウド  「…………(ぶるぶる震え首を振り、青ざめて立ち去る)」
 ボケ  「さすがは天才やー」
 体力  「あはははは」
 レズ  「うっそー?」
 自己中 「ちよ助、ちよ助どこだー!」
 にゃも 「……まさかねえ」
 色欲  「1等賞ーー!(そのまま持ち去る)」

パターン1 激昂型 メガネ 自己中
 あまり考えずにストレートに信じ、そのまま怒る。騙されやすい野蛮タイプ。メガネが含まれるのが意外だ。いつも暴走を相手にしているからか。

パターン2 疑問型 ウド レズ にゃも
 まずはその異様さを疑う、慎重で堅実なタイプ。いわゆる普通の人だろう。もっと多いと思ったのだが、少なく予想外。レズはウドに関する部分を幾度も読み返していた。

パターン3 観賞型 体力 色欲
 まずは楽しむタイプ。自分が被害者になっている割合が低いからもあるだろうが、仲間であってもとりあえずは笑う本能タイプ。色欲の行動はとくに分かりやすい。

パターン4 復讐型 暴走
 予想外だったのはこいつが激昂しなかったこと。見た目の状況と異なり、メガネを実はあしらっている可能性がある。要注意人物である。

パターン5 不明型 ボケ
 いきなり褒められても困る。思考回路が不明だ。こいつは進級やバイトであからさまに私と比べられ差別されたのに怒らなかった。菩薩だろうか?

 さて、研究は終わった。暴走注意という収穫を得たのでよしとしよう。これから記憶消去光線銃でやつらの今回のことに関する記憶を消して回るつもりだ。貸し切りにしていた視聴覚室の鍵を開けて廊下に出た――あれ? 白い布のかたまりが。

「ばあぁぁーーーーーん!」
「お、お化けーー! 怖いですぅぅ〜〜!! うわあああん!!!」

番外編

62 1石2瘤 (創作)

 昼になったぜ。大阪が買った牛乳から秘かにストローを抜いてやったぜ。あはは、困ってるぞ。面白いなあ。え? 私のを貸してだと? いいぜ別に。ふふふふふ、感謝しろよ大阪……あ、自分のがなくなったー!! 返すって、おまえもう口付けてるじゃねーか。いや別におまえなら正直大好きだから間接キスもいいけどさ、ここはアレだろ? 周りの目が気になるからさあ、ちょっと自販機行って取ってくるよ――

 ……あれ?

 なにかおかしいぞ。まあいいか。あ、ストローもうないじゃん。仕方がない、戻ってあやつのを借りるか……あー、大阪さん、私の牛乳がありませんが? え? 遅いからついでに飲んだって……あの……その……いえ、なんでもないです。

番外編

65 えろえろよー? (創作)

「大阪さん、イッたことありますか?」
「……へ? なんやのんいきなりちよちゃん」
 ふふふ、わからぬようだな処女よ。
 かくいう私も無論処女だが、こやつの場合は自慰も知らぬようだぜ。よし、ここは私がひとつ開発してやろうか! あっはっはっはっは!

 ――で、自慰ってどうやるんだ?

番外編

76 脳が (川柳)

 気になるぜ

  どうして大阪

   いつも笑み

       ちよ

番外編

93 りょーり (アニメ版CM)

 つっくりましょー、つっくりましょー、なになになにがーできるかなー?

 はーい、できましたー♪

 ……なんだこれは! ねここねこだとー? なぜ食材からぬいぐるみが出来るー!! うわ鍋の中でぐつぐつ煮られて気持ちわるいぜ。つまんで捨てるしかないなこの物体Xは! うへえ、かみネコ人形までいやがる。

番外編

107 人類総猫化計画 (創作)

 登校すると、机の上に奇妙なものが置いてあった。
「……なんだこれは」
 今日は勉強したくて朝一で来たので、教室には誰もいない。だから私は思いっきり黒い地を出してしゃべっていた。
 指で恐る恐るつっついてみる。
「ふさふさしてるぜ」
 茶色のそれは、ブラジャーのようなこんもりとした2つの山で構成されている。だがブラにしてはおかしい。なにしろ毛の塊なのだ。
「一体なんだろう」
 興味を抑えきれず、その毛の塊を持ち上げて見た。すると内側に隠れていた構造があきらかになった。裏側は布貼りで、毛で覆われているのは片側だけなのだ。ブラの紐に当たる部分は、しなやかな黒いプラスチックだった。

「こいつは……猫の耳だ」
 ずばり、猫耳のカチューシャだった。
 猫耳には厚紙でも入っているのだろうか、自立してピンと立っている。左右で微妙に立ち具合や大きさを変えており、その非対称さが可愛い。いわゆる、マニアなグッズだろう。
「誰が私の机の上に?」
 一体どういう意図があるのだろう。

 ちょっと思い当たる節がないかどうか記憶をたぐってみるが、それらしきものは一切ない。クラスの男子でこういうことをしそうなのはオタクが入った大山くらいしかいないが、彼自身は大阪LOVEなので私に仕掛けはしないだろう。
「ということは……暴走バカか?」
 そいつしか思い当たらなかった。
 カチューシャの内側を調べてみる。装着したら最後、接着剤かなにかで取れなくなる可能性があるからだ。
 そういう怪しいところはなかった。
「智でもないのか?」
 他にしそうな奴といえばボケくらいしかもういないが、大阪には「前置き」という概念はない。
こういうふうに置いておくということは有り得ず、カチューシャを持って直で仕掛けてくるだろう。

 犯人が誰か悩んでいるうちに、ふとその耳が可愛く思えてきた。
「けっこうふさふさだなあ」
 よく見れば名品ではないだろうか。人工の猫耳をあまり見たことはないが、ファッションとして十分に通用するセンスの良さを感じる。ケバいというわけでもなく、不必要に派手というわけではなく、しかし無意味に地味でなく。

「ちょっとくらいなら――」
 我慢が出来なくなってきた。
 私はその猫耳を、そっと装着してみた。圧迫感はそれほどなく、フィット感もちょうどいい。
「いい案配だぜ」
 気に入った。誰かが来るまで付けていよう。気配を察したら即座に外せばいいだけの話だ。

 勉強をはじめるために机に座る。机の中に鞄の中身を入れて……
「なんだこれ?」
 机の中に、見知らぬ異物を感じた。手を入れて取り出すと、それは長い毛の塊だった。
「……しっぽ」
 定番だった。たしかに耳があれば、尾があってもよいだろう。
 そのしっぽはふさふさで、揺れていて、温かそうで、きっと私に付けてもらいたがっている。
「わかった、その望み、叶えてやるぜ」
 尾の根本にはバンドがあって、スカートの後ろ側にちょうど付けられるようになっている。私は尾を付けると、その場でくるくると回ってみる。

「にゃーん」
 ふと、一言。
「にゃ?」
 ……あれ?
「にゃーーー!!」
 なんだ、猫語しかしゃべられなくなってしまったー!!
「にゃっ、にゃっ」
 慌てて尾を取ろうとするが、しかしなぜか取れない。それどころか、痛みさえ覚えた。
 にゃんでー!
 まるで体の一部になったみたいだ。そのときだ、私の大きな耳が、掃除具入れからの音をキャッチした。
「にゃれにゃ! (誰だ!)」
 ……へ? 大きな耳?
 頭の上に立つそれを、ちょっと「動かして」みた。

 ぴくんぴくん。

 …………。
「に”ゃーーー!!!!」
 耳まで、耳までー!

 私の驚きに呼応するように、ガタンと掃除具入れが開き、中から誰かが飛び出した。その両手には、カメラが。
「にゃ、にゃかきー! (さ、榊ー!)」
「やはりちよちゃん……猫の娘さん……」
 榊の耳にも私のとおなじ耳が揺れている。
 そして榊の裏側からは、さらにもう1人、謎の生き物が!
「まさか猫語になるとはさすがは私の娘」
 と、大阪から贈られたぬいぐるみがしゃべった。

番外編

109 たこ (テレカ用4コマ)

 智の暴走バカが髪を伸ばしている。
 どうやら後ろからたこさんウィンナーみたいな髪型と言われるのがイヤらしい。
 そうか、そうだよな。いい感じにタコだ。
「たこさんー」
 手を伸ばしてたこ足を掴んでやった。

 むにゅ。

 ……へ?

 なにかの感触に驚いていると、暴走バカが私の頬を掴んで横に伸ばす。
「うあ〜〜」
 暴走バカは木偶を見て、うらやましそうに言った。
「榊ちゃんみたくしてみよっかなぁ」
 それは無理だ。何年かかると思う。しかし大阪が褒めた。
「えー、でもともちゃん今のかわいいけどなぁ」
 暴走バカはよほど嬉しいのか、私を解放して大阪を指さした。
「そのセリフ、そっくりそのまま返してやるぜ!」
 大阪は予想できない反応にすっかりうろたえてるが、自身がいつもそのような行動をしていることを自覚しているのだろうか。

 はたして自由の身になった私は、ふたたび暴走バカの後ろ髪を掴んでやった。
「たこさんー」

 むにょ。

 ……また奇妙な感触だ。とものやつ、まったく変な髪をしやがって。
 さっきの復讐とばかりに引っ張るぜ。黒ちよ様をバカにした報いだ……

 あれ、ぜんぜん抵抗がないぞ? ……な、な、なんだー!
 ともの頭から、本物のタコがー!!

番外編

110 逃げて (あずまんがドンジャラ大王+原作1巻97P)

 自己中担任がにゃもと一緒に入ってくるなり黒板に変な文字を書いた。

『どんじゃら大会』

「ルールを説明します。これからみんなどこでもいいから行きなさい――」
 適当にドンジャラという麻雀もどきのゲームをやって、5人勝ち抜けば商品が出る。お金を出すのはバン○イという玩具会社法人だ。
 クラスを1日休みにして公で遊ぶ。なんというすばらしいことだ! みんな戸惑っている中、私はわざとこう聞いた。
「でも、どうしていきなりドンジャラ大会なんですかー?」
「私が知りたいわよー!」
 自己中担任が切れた。なにも知らないようだ。
 ふふふ。当然だ、これは私が仕掛けたイベントなのだから。弱みを握っている校長に強力にねじ込んでいる。商品を出すのを玩具会社にしたのは、単に外聞を考えた便宜上の配慮だ。当然バ○ダイにも口裏はつけてある。天才なので裏の人脈には事欠かないぜ。
 さあ、遊ぼうぜ! 配られたドンジャラセットを手に、教室を出た。

「行こっ、ちよちゃん」
「はーい」
 私はボケに手を引かれ、学校内を歩いてゆく。普段は猫の皮を100枚は被っている手前、大阪にはよく主導権を取られる。なし崩しに行動を共にすることが多くなってしまったが、それがいつのまにか私の心にこいつへの百合の花を咲かせやがったのは不覚だった。最初はイヤイヤだったのに、今では猫の皮なしでも一緒にいたいと思っているぜ。
 すでにあちこちでドンジャラが開かれている。ひとつひとつの勝負は長引きそうだ。おっと、智がいたぞ。
「大阪ー、ちよ助ー。勝負だー!」
「ええよ」
「いいですよー」

 セットを開いてルールを読んだとたん、智が叫んだ。
「なんだこりゃー!」
 このドンジャラ、個々人毎専用の特別な技(ずるっこ技)やルールが設定されている。もちろん私が好き勝手に設定したものだ。それにみんな驚いているようだ。上がり手にしても身内ネタばかりだから。
 大阪がさっそく個人専用ルールをつかう。
「逆転ホームランやねん」
 すかさず私が安い手で上がる。
 するといきなり100点余計に奪えるわけだ。
 ゲームは300点を奪い合うわけだから、大阪専用のずるっこルールがいかにすごいか分かるだろう。暴走バカはわずか3回戦でハコシタとなった。
「……ひどい、ひどいよう!」
 ふふふ、やつめ泣いて逃げてゆくぜ。ほらほら、頭の上に箱を乗せるのを忘れるなよ。よく麻雀漫画でやってるやつを。

 この大阪ルールで私はつぎつぎに戦う相手を撃破していった。もちろん役を考えた以上すべての手を熟知しているので、いろんな高い上がりを駆使している。
「ちよ・榊・よみ、成績優秀! 120点ですよー!」
「にゃも・ちよ・榊、ラジオ体操! 130点んんん!」
 大阪に打たせても案外筋が良い。
「とも・私・神楽、ボンクラーズやねん、103点やで!」
 4連勝。ふふふ、優勝は目前だぜ。ずるい? そんなの知るか。
 教室に戻ると、すでに全員が敗者になっていた。
 どうやらさっき倒した大山が、たまたま最後の相手だったようだ。戦いの合間にけっこうのんびりしてたのが響き、他の連中が早く潰し合ってしまったらしい。クラスの人数を考えて5戦としていたが、まあいいだろうそのていど。真の主催者が優勝するのはアレだが、誰も知らないので厚顔なまま受け取れてハッピーだぜ。
 そのときだ、担任が余計なことを言いやがった。
「仕方がないわね……大阪、ちよ助。決勝はおまえらで勝負しなさい」
「えー。タッグやなかったのんー?」

 なし崩し的に大阪と決することになってしまった。
「ちよちゃん、勝負やで」
「……負けませんよー」
 こうなったら意地だ、たとえ愛しのボケ相手でも勝ってみせよう。
 私はさっそく配牌を見た。おお、ジョーカー的なお父さんパイがあるではないか。これで私のずるっこ技が使える。一気に100点プラスだぜ。
「ずるっこ使うでー」
 大阪が自信があるのか、いきなり使用を宣言した。これは50点を消費することで上がれば100点余計に貰えるが、しかし失敗すれば50点失う諸刃の剣なのだ。ふふふ、私にはお父さんがある。しかもすでに暦が5枚、智が2枚。幼馴染み+ダブルを狙える位置にいる。お父さんパワーを使えば、カウンターもあって最低でも一挙に285点だ。大阪は50点消費したから、残り点は250。一気にハコシタで決まりだ。優勝は目前にあった。
「ずるっこ、私も行きますー」
 30点消費して賭けた。メガネか暴走バカが出たら上がれられる。確率は高い。
 しかし――それはわずか3巡目だった。
「あ……揃った」
 なに?
 ボケのつぶやきに、私はまさかと思った。いくら運が良いやつとはいえ、いきなり来るのか?
「ほら、恐怖のドライブやねん」
 たしかにそこには、ゆかり3枚、ちよ3枚、大阪3枚が……
 150点の大役だった。基本点を加算して、さらに大阪ずるっこボーナスプラスで272点、私は30点使用していたため、残りは270点――

「大阪の優勝ー。ちよちゃん残念でしたー。それにしても、恐怖のドライブって嫌な上がり」
 自己中担任の言葉は、半ば馬耳東風だった。
 あの夏の日の恐怖が、私の頭を支配していたからだ。
「どーん、どーん!!」
 ならそんな配役を作るなと突っ込まれそうなところだが、嫌なものから目を逸らしてもダメというのが美浜家の教えなのだ――だが、まさかそれに……それにー!
「どしたん、ちよちゃん」

 ぷるぷるぷるぷる。

「ゆかり先生とめてくださいとめてくださいもっとちゃんとごめんなさいすみませんだめ死にますああおじいちゃんがおじいちゃんが…………」
「ちよちゃん?」
「逃げて――!!」
「うるせーバカ!」
 黒板消しが飛んできた。
 ばちーん。

 ……いつか死なす。

番外編

111 宇宙戦艦とまと (宇宙戦艦ヤマト)

 左舷に広がる大宇宙――

 …………。

 右舷に広がる大宇宙。

 …………。

 上天に広がる大――
「うるさいぜ!」
 ごいん。
 痛い、痛いですちよちゃん! というかどうやってナレーションを殴れたんですか?
「黒ちよに不可能はない。大天才ですからなあ」
「なにひとりごと言ってるんですか艦長?」
「こら暴走バカ戦闘班長! なに余所見をしているか!」
「すすすす、すいません!」
「メガネデブ機関全速だ!」
「はい、機関全速」
 これは宇宙戦艦とまと。地球が猫星人の侵略を受けたので、犬カンダルの犬星人の助けを借りに行ってるところである。

 智がなにかの反応をキャッチしたようだ。
「艦長! 前方に猫星人の要塞が出現しました!」
 天井の大スクリーンに映し出される。
「うぬ、あれは木偶将軍の円盤だぜ」
 通信が入り、スクリーンに怪しい猫の帽子を被った榊が映った。
「……降参して」
「いやだ誰が降参するか貴様この地球人の裏切り者! イリオモテヤマネコなんかに洗脳されやがっておまえのかあちゃんでーべそ! けけけ、悔しかったらこっちまでおいで、あっかんべー」
「艦長……ちょっと幼稚すぎ」
「なんだと涙のダイエット処女!」
「うう」
 暦は泣きだした。
「下品――」
「うるせー暴走バカ!」
 黒さ大爆発である。

「……怖い」
 榊はちよの剣幕におののいて通信を切った。
「艦長、敵が撃ってきました!」
 宇宙戦艦とまとはたちまち赤い炎に包まれた。
「くそ、反撃しろ暴走バカ!」
「無理です」
「なんだと!」
「だってこれ、巨大なトマトだものー!」
「あんだってー? 仕方がない、こうなれば、召喚お父さん!」

 ちよパパが飛んできた。
「……やあ、私が猫星人の頭目です。赤いものを食べなさい」
「はーい」
 ちよは艦橋に噛みついた。
「わあ、美味しいトマト〜〜」
 ぱくぱく、ぱくぱく。
「艦長やめてくださいー」
「ひぃ〜〜」
 智と暦の制止も聞かず、ちよは食べることに夢中になっている。
「あ、穴が開きましたー」
 空気が漏れだした。
 宇宙空間でちよ父が拍手をする。
「ベリーナイスちよ。君はえらい子だ」
「わーい、褒められましたー」
 笑いながら宇宙空間に放り出されるちよちゃん――

「……怖い夢だった。だめだ、これを枕にするのはもう止めよう」
 大阪がくれた猫枕を隔離することにしたぜ。

番外編

113 ぷろろーぐ+えぴろーぐ (創作)

 私の名は美浜ちよ。若干10歳で高校に飛び級し、つい先日卒業した天才だぜ。趣味は凡人の観賞――もとい、観笑だ。一般ピープルは面白い。いつも低効率で出鱈目で失敗ばかりで、天才様である私を抱腹絶倒させる。でも私は天才なので、黒い正体を連中に知られることはない。外面は猫の皮を100枚は被っていて、ひたすら心で笑うのだよ。

 新たな生活への区切りとして、周囲にいた面白い年寄り連中を簡単に思い返してみる。まずは大阪ボケ。ボケボケの「カスが歩む」だが、じつは愛してるぜ、辛抱たまらん。つぎは暴走バカ。意地悪してくる真性のカスで、たびたび仕返しをしてやった、くくく。メガネ、いみじくも涙のダイエットおたくだが、結局野太いままだった。木偶、体が糞でかいだけの静かな大女で、猫にファック嫌われてる。可愛いもの好きらしいが身の程知らずの典型だな。体力バカ、木偶の外面にライバル心を持つ阿呆であるが、普通の女の子らしいとこも少なからずありギャップが面白い。かおりん、エロ教師に愛されてる百合女で不運なやつだ。自己中、社会不適応のエセ担任で、私にどーんどーんトラウマを植え付けた一級犯罪者――こんなところか?

 高校の3年間はとにかくこいつらの失敗を直に目撃してやるのが大好きで、自身から働きかけることもよくあった。ただ――妙に失敗も多かったのはたぶん、気のせいだと思う。うん、天才である私が失敗するはずがないのだ、すべては運が悪かっ

「ちゃうねん。ちよちゃん抜けとるんがげーいんやで?」

 …………。
 はい?
「な――! ああああの、あの、大阪さん? ななななんで飛行機の中に?」
 ていうか、隣の席に座ってやがるし!
 たしか空港で、見送りの場で涙で別れたはずなのに。
「帰るとき道に迷ってしもーて。さっきようやく貨物室から抜け出てなー」
 彼女はにっこりと微笑んだ。背筋に強烈な寒気が走る。
「アメリカまでまだ6時間はあんなー。どーせ強制送還やろーけど、それまでの間、ちよちゃんの本当の姿、高校3年間のブラックな思い出、語ってくれへん?」
「な、なんでやねん」
「えー、どないしよー。智ちゃんらに教えたろーかなー。私を好きなこともー」
 こ……こいつ、意外とやるな。
「わ、わかった……あのな、腰抜かすなよ? 驚くなよ?」

 長い時間をかけて、ようやくすべてを語り終えた。
 まもなくアメリカ本土に到着するだろう。
「……どうだ、わかったか」
 ――――。
 返事がない。
 恐る恐る、隣席を見る。
 …………。
「すー、すー」

 大 阪 さ ん 寝 て や が る し 。

 許さん、キスしてやる!
 どうせ正体はばれてるんだもう関係ないねこうなったら百合の世界に突入してやるもう知らない知らない大阪さんあんた好きだようん――

番外編

117 ショタ大戦・登場編 (原作1巻9・34・2巻47P+創作)

 私はよくプラトニックで愛して止まないボケの下着を見ているが、たいていはその天然ボケた心のままに純白だぜ。
 ある日、ふと疑問に思った。
「他の連中はどうなっているのだ?」

 ふふふ、いいことを思いついたぜ。
 たまには他の連中の下着でも見てやろう。
 なにしろ私はこの通り、身長が低い。小学生のガキが純粋を装って「お姉さんたち」のパンツを盗み見るように、お利口で素直という仮面でやつらの秘密の園を観賞してくれよう。

 とりあえずは、木偶だ。
 校庭でボール遊びに誘って、わざと枝の上に投げて掛けてやった。私の背では届かないが、木偶ならかろうじて手が届きそうな、そういった微妙な高さを選んだ。
「榊さーん、届きませーん」
「……待ってろ」
 木偶は背伸びをし、手をかけて枝を揺らす。なかなか落ちないぜ。
 スキ有り!
 私は周囲を見回して誰の視線もないことを確かめると、さっとしゃがむ。
 ……猫のバックプリントか。あまり面白くないな。
 うん? やつの無駄にでかいケツのボリュームから考えるとあの猫、横に伸びていると思うが、ちゃんと広がってるな。まるで「にゃーん」という泣き声が聞こえてきそうだ。おそらく最初から縦に伸びている「でかケツ用」の専用プリントなのだろう。だが、そんな特製パンツがあるなんて、聞いたこともない。市販品ではないとなると、どうやって……
 唐突に、後ろでがさっと音がした。なんだ? 反射的に振り向いた私の視界には、風もないのに揺れる草むらがあった。誰かに見られた? ちっ、物思いに集中しすぎたか。

 それからの私は誰に見られたのか、ということと木偶の特製パンツが気になり、他の連中の下着を覗き見るどころではなくなった。だが別になにも怪しいことは起こらない。気のせいだったのか? 私は5時限目が終わった休み時間、思索のために校内を散歩することにした。廊下を歩きながら考える。
 もしあのパンツが木偶専用とするなら、一体誰が作ったのだろうか? あの猫は流行している「ねここねこ」の柄だ、間違っても絵心のない木偶には描けるはずがない。だからといってまさかねここねこのデザイナーである東清彦氏が一女子高生のために作ったとは思えない。誰かが無断で――そのときだった。

「おねーちゃん、これがええよ」
「うわっ、いいなこの竜くん! 中日ゆうしょー!」
 掃除用具置き場になっている階段の裏から聞き慣れた声がした。私は無意識的に階段を下りている最中だった。
「よーし、『はく』ぞぉぉおおー」
 聞き流しつつ、まずは何気ない足取りで階段を下りきり、廊下のほうまで歩いたあと、一転して抜き足差し足となり戻ってゆく。ふふふ、初歩的なテクニックだぜ。階段の縁で聞き耳を立てる。
「くっはー、すんごい心地いー! ちゅうにっちー♪ ちゅうにちー♪」
 このいかにもボキャブラリーの少なげなしゃべり方、間違いない、暴走バカだ。
 智め、つい先日私の誕生日前で巨人様をけなして中日優勝などとほざいてたが、何気にドラゴンズのファンであったか。いったいなにをしてるのだ?
 見つかるかも知れない危険性を承知で、そーっと顔を覗かせてみる。

 するとそこには、中日ドラゴンズのマスコットキャラを前後にプリントしたパンツを堂々と晒す、あられもない暴走バカがいた! というのも、スカートを脱いでいたからだ! しかもなにやら、様子が異なっていた。
「優勝〜〜優勝ぉ〜〜♪」
 と下手な歌を口ずさみながら、延々と回り続けているのだ。
 ……ついにイカレたか?
 ていうか、おまえ誰?
 暴走バカの隣に、少年が立っている。黒い帽子を深く被り、顔はよく見えないが、私とおなじくらいの年齢だろうか。
「そこ、見とったんかあ」
 彼は、こちらに視線を寄せるでもなく、いきなり言い放った。
 関西弁?
「…………」
「隠れとっても判てるで。美浜ちよさん」
 フルネームまで……しかたなく数歩踏み出し、関西弁の少年と対峙した――いや、彼はまったく動いていない。暴走バカを見守るような体勢のままだ。なにやつだこいつ?
「ど、どなたですか?」
「そないな丁寧なしゃべりで正体隠さんでもええやないか。榊さんのときの姿、あれがホンマの君なんやろ?」
 こいつ……
「るるるー」
 暴走バカは私と謎の少年との遣り取りにまるで気が向いていない――というか、気が付いていない。完全に心まで逝ってる。
「おまえは――誰だ?」
「よお出来ました」
 少年はこ憎たらしいことに拍手をして、返答した。
「オレは、正太」
「……正太?」
「そう。オレは、パンツ職人のおませな正太君や」
「いや……そんな堂々とパンツ職人って恥ずかしいやっちゃなー」
「わはははは、恥ずかしーちゅう感情は相対的なものや。絶対者には関係ないねん。自身に対する超越した意志こそ、アイデンティティーを確固たらしめるんや!」
 小難しそうなことをほざいてるが、私は天才だからわかる。

 こいつは正真正銘のアレでナニだ。

「わはははは、憧れの歩さんに贈っとる伝説の白パンツをいつもタダ見しとる美浜ちよ、なんてけしからん奴」
「自分で作ったパンツを臆面もなく『伝説』ってなんだよ。もうわけわかんね」
「なんやってー! バカにすんな! 勝負だ!!」
「お、おう。受けて立とうじゃないか」
 なにやら……奇妙なことに巻き込まれたかもしんない。
     *        *
     最終 2005/10

番外編

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