放課後の1年戦争展 ポストカード&壁紙

よろずホビー
2002/08:よつばスタジオ 原画:あずまきよひこ 素材:紙 分類:イベント限定ポストカード

 大阪だらけの1年戦争!

 2002年の夏(8月24〜25日)――C3という模型イベントであずまんが大王の大阪が、初代ガンダムのモビルスーツに扮するという展示会が開かれた。

 そこで展示された絵には色は塗られていなかったが、ネット上の有志により壁紙として彩色され、全種が出そろった。そして……

 見たことある方もいると思うが、上は私が編集した壁紙。私自身もムサイや×2、ドップやを彩色した。ちなみに1年戦争と関係ない「デンドロビウムや」は、超肉さんによるコラージュ。

 実際に使用する人がいたらかなりの漢だということになるのだろうか。

 同イベントではTシャツなども売られていたがネット上ではあまり見かけない。






おまけSS 「や」
 ある春の日、なわとびがあった。なんで私の机の上になわとびがあるか知れへんけど、何気なく手に取ったら、けっこうしっくり来るねん。そういえばなつかしいなこれ。それにあれや、えーと、これに似たなにかがおったなあ。
「大阪さん、なにしてるんですか掃除中ですよ? あ、これ私のです。すいません今日放課後になわとびしたくて……」
「グフや」
「え? え?」
「ザクとはちゃうねん」
 こうして私の放課後の1年戦争がはじまったんよ。

「ふふふ。おもろいわこれ。よしっ! つぎや、こういうのは連続が肝心や!」
 教室を見回すと、片隅に2本のカサが。なんでやろか、まあええわ。カサを片方開いて、盾にする。もう一方はまるで槍みたいや。そうや、これは――
「ギャンや」
「大阪さん、部屋の中でカサを開くのは欧米ではとても縁起の良くないことなんですよ」
「えー?」
 開発中止や。しかたない、掃除しよ。

 ホウキに持ち替えて掃除してたんやけど、塵を取ろうとチリトリを持ったとたん、またピンと来た。あああ、思いついたー! ホウキを頭に結びつけてな。
「ボールや」
 ええわ。これで掃除つづけよっ! 量産や!
「クスクス」「クスクス」
 ええ? なんでみんな笑うん? 恥ずかしい、量産中止や。

 中止から1週間ほどは開発忘れてたんやけどな、消しゴム落として拾おうとした四つん這い体勢で気付いたんよ。おお、この体勢、ええわ!
「アッザムやねん」
「大阪さん、白いものが見えてますよ。男子がみんなこちらを――」

 ちよちゃんの小声で恥ずかしくなって叫んだんよ。
「開発コード変更! ――こ、これなら簡単や」
 足を折って格納した。この木馬状態は……
「ホワイトベースや」
 でもな、ぜんぜん先に進めないねん。まるで置物のようやった。

 それから1月ほどホワイトベースしかやってへんかったけど、そろそろ飽きてきた。新しいもの開発せんとな。よっしゃ! 屈伸運動の状態から両手を後ろ手で支えて体を起こし、足はつま先だけで支え、腹筋に力を込めて体をまっすぐに伸ばした。
「ム、ムサイや」
 疲れるねん。前期型はだめや。うつ伏せの姿勢で馬乗りの馬みたいな体勢にした。
「ムサイや♪」
 後期型やねん。あー、楽チンやー。
「あー、これならラクチンや」
「かわいいことしてるね、君」
 うわ、開発中を通りがかりの男子に見られてもうた! 顔が熱いー、指揮官機や。
 
「1人では恥ずかしいわ。協力お願いしたいんやけど」
「お、別にいいぞ」
「面白そうだな、なにするなにする?」
 ボンクラーズを召喚した。これで大成功まちがいなしや。
「3人ともルーズソックスで、神楽ちゃんはバット、智ちゃんはチョップ。私は、割り箸や」
「あはははは! ジェットストリームアタック」
「床をこすって煙をあげて歩くんやー」
「ドムだぞー」
「ちゃうねん。ドムや」
 掃除直前の廊下を進んだんよ。けっこう汚れてもうてな、あかんわこれ。

 他に協力者おらんやろか。あ、テスト返ってきた。私はまたダメダメやな。ちよちゃんまた100点か。今回で10回連続100点? ちよちゃん眩しいで、まるで金ぴかに光ってるように見えるでー。金色?
「ちよちゃーん。ちょっとそのテスト用紙、こちらに向けてにかってわろて」
「え……カメラで撮るんですか? えへへ」
「百式や」
「はい?」
 うん、これはええわ。いまのは1年戦争やのうてZやったけど、パートナーはちよちゃんに決定!

「もっと静かなモビルスーツを開発したいんよ。ちよちゃん協力して」
「え? なんですか?」
「ちよちゃん寝て」
「あ、はい」
「抱えるねん」
「えーー! あ、あん、いやです恥ずかしいですー」
 ちよちゃんを足から背中に抱え上げてな、砲門の完成や。
「ガンキャノンや」
「ちよちゃん可愛いー」
「でも見えてるー」
「見えてるー」
 ガンキャノンやはヒットしてな、とくに男子に好評や。あちこちで披露しました。屋内や屋外で、砲門の先がそのたび装備変更や。

「この格好は疲れます」
 あーそうか? そりゃしょうがないなー。
 ちよちゃんからクレームがあってな、新しいものを開発せーへんとあかんなった。どうしよ。そうや、これや! ガンキャノンやの体勢で座るんよ。
「ガンタンクや」
「これでずいぶん楽になりました♪」
 あーよかったなあ。
 だけどこれなぜか男子に「見えない」て不評でな? 私の放課後1年戦争もここで一旦中止になったんよ。夏休みの間にすっかり忘れてもうた。

 それからさらに数ヶ月たって、衣替えも過ぎて冬も近いある日やった。調理実習中に包丁をたまたま2本持ってしまったときや。ふと脳内になにかが閃いた。放課後の神様が降臨したんや。
「あ……」
 私な、いきなり両膝をついて、口をあんぐり開けて包丁を下向きに持ったんよ。
「ザクレロや」
「うわー、危ないですよー」
「先生、大阪さんが……」
 危ないんで一発ネタで終わってしもた。実戦投入は無理やった。私のこれて男子が一番喜んでくれるのに誰にも見せられへんかったんは残念や。

 めげる私やない。その日の帰り、ちよちゃん家で私の家より早めに出されたコタツに入って思いついた。俯せでコタツに肩まで入り、両手を前でガオッと開いて、
「ビグロや」
 でもちよちゃんにはさっぱりわかってもらえんかった。さらにあまりの気持ちよさに、そのまま寝てもうたんよ。

 しょうがないと、次の日に再挑戦や。昨日とおなじ体勢で、今度は両手を後ろのほうに伸ばす。
「グラブロや」
 でもまたわからへんかったようや。それもそうやな、私もテレビアニメ見たことないねん。総集編みたいな劇場番アニメと漫画だけやねん。古い作品やからなあ。

 最近開発した3つはどれも男子の前では披露できないので失敗や。喜んでもらえるギャラリーに見てもらわんと飽きてくるねん。これはあかん、よし、教室で見せられるものを開発や!
 寝そべって、飛行機みたいに手足を広げる。
「ドップや」
 おお、受けた受けた。よし、さらなる開発やでー。

 段ボール箱を拾ってきた。これに乗って……あかん、段ボール潰れそうや。しかたない。
「ちよちゃん入って」
「え? ……あ、はい」
 よし、これでええねん。段ボール箱を下敷きにして、ドップやに近い体勢を取る。
「ミデアや」
「痛い、痛いです大阪さん、出して、出してくださーい」
 あかん、ミデアやは一瞬の夢に終わってしもた。

 ちよちゃんがモビルスール開発のパートナーから手を引いた。これで私1人で開発をつづけなあかんようになった。危機的状況や。どないしよ。
 そのときや、なにかがひらめいた。トイレで両足を教室の壁の色に塗り、そのまま教室に乱入した。目をつむり両手を先までまっすぐ伸ばし、きりっと叫ぶ。
「足なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのです」
 女子たちにはさっぱりのようやけど、おおっ、と男子たちがどよめく。ふふふ、成功や。よし、こいつの名を言うで、こいつはジオングや。ふふふ。
「ジオ――」
「なにが偉い人にはわからんだって?」
「あ……」
 後ろに、怖い気配や。
「大阪ぁ〜〜。ペンキでこんなに床とか廊下とか汚しまくって、どうするんだ?」
「ああん、ごめんなさいごめんなさい。痛いわ痛い〜」

 この一件で開発中止が言い渡され、私の1年戦争は終わったんよ。
 でもな、まだ終わってなかったん。夢の中で忠吉さんと、私がちよちゃんの誕生日にあげたネコが出てきてな、まだ夢は終わってないて言うたんよ。
「そうや。わ、私まだ出来るんや! 戦いはまだ終わってないねん」
「わんっ!(その通りですよ)」
「そうなのだ。ほらっ、私たちを後ろに乗せて」
 忠吉さんを背負い、その上に巨大化したネコ人形が乗り、扇風機とカサを持って叫んだ。
「デンドロビウムや〜!!」
 つぎの瞬間、私は目覚めてもうた。それでな、オチがつきました。
「これ1年戦争関係ないやん!」
 うん、有名やけどこれはファンが書いたらしいんやもん。おなじ番外のように見える百式やは、よつばスタジオにあったからちゃうよ。
 あれ? 誰かが私を借りて解説しとる……2重オチ?