東方Project 1/8 博麗霊夢 第6回例大祭カタログ表紙絵版 フィギュアレビュー

発売:2011/06:ちくたくらびっと 原型:サエキカズヒロ

同人量産フィギュアも粋(すい)を極まれり。 全面透過ケースは同人系立体物、本気量産化の証だ。私が知るだけでも過去に2~3例ある。たとえばキツテフ氏によるCOLORSのGARANCEだ。この手の箱は壊れやすいから、メーカー系の商業フィギュアでは滅多に採用されない。買った人は取り扱いに注意したい。フィギュアの箱をいくつも積む際は、上のほうに置こう。 蘊蓄モドキはどうでも良いとして、この作品がどれだけ気合いを入れて作られているかは、パッケージだけでなく、下の写真を見た瞬間に、誰にでも分かるというものだろう。あっぱれだ。 今回はサークルちくたくらびっとさまより商品版の提供を受けてレビューしている。サイト復活の際にかなり無理をした反動から6月末は資金繰りがギリギリのラインを右往左往していたところだったので、今回の配慮には心より感謝する。 ちくたくらびっとはメーカーではなく、一介の同人サークルだ。これまではPVCでは小さめのフィギュアをちょくちょく出していたていどだったし、大きめのものはレジン抜きでサークルスタッフを動員し、直接塗って完成品としていた。それゆえこのサイズのPVC完成品は初となる。 カタログ版霊夢の本領は、背面の細やかさにある。造形も割合凝っているとは思うが、紋様が多い。 面積もけっこう広い。驚いたね。元はガレージキットだけど、それではすべてデカールだった。 当然だけど、デカールでこういうのを貼って綺麗に仕上げたとしても、特性上ちょっとした擦りでも容易に剥がれる可能性を持っている。 PVC化では工業用の強力なインクを使うから、擦れには滅法強い。PVCという素材も衝撃に強い。 だからこのフィギュアがPVC化されるという情報が流れた際、ガレキに手を出せない人ばかりではなく、ガレキを持っている人からさえも喜びの声が聞こえたほどだった。 フィギュアの元となった赤りんご氏のイラストはこのフィギュアの通り、細部の塗りがおそろしく細かい入魂の一枚だった。いったい何十時間かけたのかと、作業量に感心するほどの。それを背景抜き(満開の並木)で霊夢本体のみ立体化するにしても、もっとも適しているのはすでに書いたようにPVCだ。 フィギュアのリリースが赤りんご氏のイラストが描かれてより2年以上もかかってるのは、フィギュアという表現媒体の特殊な事情がある。まず原作(ここでは赤りんご氏のイラスト)が描かれる。つぎに発表される。そして評判になる。やがてフィギュア化したいと申し出があり許可が下りる。立体化する。イベントで売る。話題になって人気が出る。PVC化の企画が立ち上がる。開発する。最後にやっとエンドユーザーへ行き渡り、こうしてレビューの運びとなる。ここまで2年半近く余裕で経過する。 メーカーによるアニメキャラのフィギュア化はうまく行けばタイムリーに填るが、たいていは放送終了後数ヶ月から半年以上経ってようやくリリースされる。プロフェッショナルですらこれだから、同人ではより大変だ。 いい表情じゃないか。顔は人形の命というが、顔以外の注力が凄まじいこの作品では、顔パーツの重要性は相対的に下がらざるを得ない。それでも萌えフィギュアとして平均的なレベルに持ってきていると思う。 レビュー個体では起きてない(と思う)が、ネット上でアイプリントのズレが報告されている。その辺り工場の検品基準が甘め(同人フィギュアレベルでサークルスタッフが中国に長期滞在するわけにも行かない)のようなので、店頭で買える幸運に巡り合わせた人は、しっかりと瞳パーツをチェックしよう。 豪快な前垂れ。 霊夢のこういう髪型は比較的多い。 リボン 独特の胸元周辺。赤りんご氏の感性が盛り込まれている。 面白い形だね。部分的に造形や塗りが粗いように見えるけど、どちらかというとパーツ精度の問題かな。なお、元イラストとガレキではお腹部分のヘソチラがあったが、PVC版ではその露出が減っている。今回の撮影ではさらに背中のリボンが干渉したようでほとんど見えていない。再撮影しない方針となっているので、ここで触れておく。飾る際に注意すれば、ヘソはしっかり見える。 変則セーラーに隠れていたバストはやはり貧相サイズ。 背中 おめでたさの象徴が随所に盛り込まれている袖。例大祭だしね。 手首 巨大な羽織。 こりゃ豪勢な大錦だ。 裏にも当然。イラストで見えてたのはこちらの面だし。 謎の布パーツは重くて、この支柱での支えがないとスカートにだらりと寄ってしまう。色移り防止のために付けておくことを薦める。 紅白眩しい縁起な結び。ヘソチラさせづらいのが残念だ。撮影時には失敗してしまったが、部品の重なり具合を慎重に検討すれば、ヘソが出てくれるという。 目出度いのは後ろもおなじく。まるで正月みたいだ。 突然の色っぽいなにか。巫女服といえばスリットだが、直に見えてるよ下○。元のイラストでもたしかに白い布がチラってる。 スカート 斜めより周囲も含めた全景。 イラストにないこの部分は無難に女の子な内股。 スカートの中は最多解釈のドロワーズ。 いきなり脱げる。ヘソだしのためにスカートはフリーパーツ。内側は成型色で、接触による色移りなどは起きない。 キャストオフ仕様がこれ。両手先のでかい布は外せない。 理想の痩身だよね。 価格的にはおなじ6月に出たアルターのホウメイとタメを張る1万オーバーだが、さすがに見応えはアルターホウメイのほうが上だ。しかしこちらは同人サークルによる作品だということを考慮しなければならない。生産数もぜんぜん違う。 可愛らしい申し訳程度のおしりと―― 前のほう。布の分割線により疑似スジが生じている。

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