LENSBABY ティルトトランスフォーマー

東方光画機
購入:2011/03 分類:マウントアダプター

 ティルト(チルト)・シフトという特殊なレンズがある。建築物写真などの作品性を求めない商用写真で活躍している。いや、していたというべきか。いまなら写真の縦横のゆがみを調節するシフト機能は、撮影後の写真編集ソフトで簡単に制御できる。いっぽうピントの合う面を調整するティルトは、全体にピントの合った写真を元としてボケを後から与える方法だとソフトでも可能だが、どんなに絞っても全体にピントを合わせられない場面では後出し不可能だ。そこにティルトレンズの存在理由があるらしい。

 というわけでマウントアダプター運用機となったNEX-5用に新たに導入したのが、2011年2月にレンズベビーより出たティルトトランスフォーマー、もちろんNEX用だ。同時発売でマイクロフォーサーズ用がある。このアダプターを挟むことで、普通のレンズにティルト機構を付与できる。しかもレンズ(ニコンFマウント用)をいくらでも取り替えられるので、焦点距離が自由自在だ。

 少なからずのティルト物が可動機構にグリスを採用しており、グリス油の飛散やグリス面へのホコリ付着の問題があったが、本品はプラスチック半球を締める・緩めることで乾燥可動を実現した。おかげでずっと安心して扱えるらしい。ほかの使用経験がないので個人的には比較できない。どうやらいきなり上等な品を手にしたらしい。米国産だしね。

 ピント面を調整するというのがどういうことかというと、ぶっちゃければ下の写真のように行う。レンズを傾けるのだ。これで通常は水平でしかないピント面が斜めに揺れ、表現の幅が広がる。ただしレンズの仕様はこういう写し方を想定していないので、収差の類は拡大してしまう。

 ティルトトランスフォーマーで左右をボカした。意味がある写真とするには相当な経験とセンスが必要だろう。いまのところなにかを主張しているというような写真は残念ながら私では得られていない。

 ピントの合う面を斜めに制御して、左上と右下をボケさせている。

 つづけて遠景。まずは、普通に写すとこうなる。

 上下をボケさせた状態。いわゆるミニチュア写真風といわれるもので、ティルトレンズもしくはティルトアダプターが一部で流行っているのはおもにこの写し方を実践するためという。

 道のある部分だけにピントが合うよう調整したもの。試し撮りしながらすこしずつ調整し、この1枚を写すのに5分以上かかった。おなじ場所にじっとしているから、すっかり怪しい人だ。左端はグルグルボケが激しく、ボケ描写がコントロール不能に陥っている。傾けすぎた結果として、レンズの設計限度を超えてしまったことが分かる。

 さらに遠景で、通常。

 ミニチュア風味。遠景すぎてもはやミニチュアには見えない。

 手前の橋とその奥へ向かいピントを合わせたもの。左隅のボケが破綻して、単焦点レンズなのにまるで安いズームレンズのような感じになってしまっている。

 最後は、ソフトウェアレベルでのティルト効果を。まずはフィルタをかける前。絞りに絞ったほぼパンフォーカスで、前も奥もピントが合っている。こういう写真でないとティルトは難しい。

 ニコンD7000のミニチュア効果を実行した。花の部分のにじみが溶けるという感じからほど遠く、ボケがうるさくて実用的ではないかな。元の写真の解像力が高いほどぼかしがうるさくなるらしいから、低解像度の安く軽く暗いズームのほうがかえって有利だとか。