X-Rite ColorChecker Passport KHG3421-PP 機材 ホビーレビュー

機材
購入:2013/08 分類:カラーチャート

※2016/05/02再々編集
マクベスチャートによって正確で一貫性のある色再現、スタンダードな色を提供してくれるカラーコントロールツールだぜ。 超有能。 2010年に出ているのを知っていながら、買うまで3年も放置してた。思えばずいぶん損をしてきたな。 付属のソフトウェアで様々な項目を一斉にプロファイリングしちまう。アドビのPhotoshopやLightroomがいるが、導入はようやく2015年秋だぜ。それまでただの色見本やホワイトバランスセッターだった。 以前は肌色を優先するあまり、ほかの色が犠牲になってた。ニコンのセンサーそのものが黄色被りしちゃってて、あちらを立てればこちらが立たずだ。独特のズレ方や表現の「くすみ」が、いかにも光源が蛍光灯ですって色。 ニコンの黄色を独自色として活かす方向で頑張ってきたが、公式サイトのD4Sの記事でニコン自らが黄色かったことを認めたのを知ったので、2年以上経ってのライトルーム導入だった。2014年以前のニコンが黄色かったのはニコンの方針だったわけではなく、単純に技術的な問題だったらしい。カラーフィルタなどの改良で解決でき、ようやく白くなった。 この黄色を潰すなら、マクベスチャートで理想的な色を再現してくれる ColorChecker Passport の出番だぜ。Photoshop Lightroom 6 でプロファイルを取る。 再起動すれば反映だ。 ニコンの黄色が一発で修正される。素晴らしい性能だ。 光源のほうは2015年8月以降、良質な超高演色性LEDを揃えている。下はフォトショップの白色点である5000K相当固定で無補正状態の、東芝製で統一した一般~超高演色光源ごとによる差だ。ぱっと見では違いが分かりづらいが―― アップにすると如実な違いが見て取れるぜ。フィギュアの肌色に注目。光源の「質」を示す指標として演色評価数(Color Rendering Index)があり、Ra(レンダリングアベレージ)という単位で数値化できる。最高値はRa100、好天下の太陽光が相当する。プロが一瞬だけ光るストロボを多用するのは太陽光の成分に近いから。下の写真だとストロボに近いRa98は肌色が血色豊かで言うことなし、ただし4万円。Ra90のキレイ色は価格的に2000円前後とお手軽なので、多くの玩具ブログがブツ撮りに導入している。ちょっと前まではRa84の蛍光灯が最多集団で、フォトラも採用している。Ra70の一般LEDは……さすがに論外。 カラーチェッカー・パスポートの威力を示す。Ra98だろうがRa70だろうが力づくで補正してしまう。すごいぜマクベスチャート。ただしこれにもアップにすると差が見えてるが―― おまけとして電球色の超高演色LEDによる補正を示す。フォトショップの白色点とは色温度で2300Kもの違いがあるんだぜ。 Ra84の蛍光灯をRa97・2700KのLEDと置き換えて、マクベスチャート補正後のアップ比較だ。見ての通り補正の良し悪しは元となる光源の状態で決まる。
5000Kに近く、かつ演色性が高いほど有利に補正されるぜ。
高演色性LEDは色温度が高いほど開発が難しく、通販サイトなどで見かける超高演色LEDの大半が色温度の低い電球色だ。そいつで写しても並演色LEDていどの発色しか得られない。あくまでも理想的なのは5000Kに近い高演色の光だ。
残念ながらRa98のLED(東芝TRI-R・STROKE2)は4万円もするため、撮影用に数を揃えるのは厳しい。蛍光灯ならRa99の色比較用が1000円前後で売っているが、さまざまな理由から蛍光管タイプしか存在せず、フィギュアを写すには大きすぎるぜ。それに蛍光灯は最高性能に達するまで点灯から20分もかかり、LEDと比べ撮影テンポが悪い。
フィギュアを写すのに適した5000K前後の高演色LEDは、2016年5月時点でRa99が数十万・Ra98で4万・Ra97で2.5万・Ra95で6000円・Ra90で2000円。ほとんどの人が当然のようにRa90の東芝キレイ色を選択する。うちではRa95~97のLEDを撮影用に使用している。 ところでカラーチェッカーの使用を煮詰める過程でホワイトバランスの基準がようやく定まった。5000K相当&グレーカードフィギュア後方という基準だ。じつは2010年5月から2016年4月17日まで、グレーカードで得られた数値からさらに色温度を弄っていた。理由はフィギュアの前でホワイトバランスを取ると、なんか全体が黄色っぽく見えるからだ。これはニコンの黄色がさらに強調されるわけで、補正がすっかり常態化していた。 2016年3月から4月までのバランス。6000K相当で写実重視のバランス。でもちょっと赤が足りないっぽい。 1000K相当ズレた6000K相当の欠点は淡い背景。なんか薄いぜ。フィギュアが薄いぜ! 高演色LEDを使ってる意味がない。おかしいな、高演色はコントラストそのものが底上げされるというのに。 色温度補正でフィギュアが薄くなってた理由はこうだ。下は色相環という。 色温度とは下の方向の補正をさす。 だが色の補正にはもう一種類あり、色偏差と呼ばれている。 現像ソフトなどでも色温度と色偏差(色かぶり)の2種類だけで、幅広い色の補正を実現している。 つまりだ、色温度が動けば本当は色偏差も動いてるのだが、その差分は素人じゃどうにも「勘」になっちまうわけで、とても決まった数値化ができない。 その結果がこのトホホだ。 ようはホワイトバランスセッターが色温度・色偏差の両方できっちりと仕事をしてくれる5000K相当で色が決まれば、そこで終わりなわけで。試行錯誤してるうちに、フィギュアの後方で数値を取ると上手い具合に色が填りやすいことに気付いた。あくまでも私の好みだが。 仮説は2つ立てている。まずフィギュアは立体なので、全方位より光の影響を受けると考えた。単純比較で平面の2倍、色被りしやすい。 ならば平面のグレーカードはもっと奥にないと、フィギュアの色を見極められないのでは? という考え。斜行の影響は45度ですでに半分、60度で1/4にまで減ってしまう。 仮説2は色の錯視だ。色彩学によれば、おなじ色でも周辺の影響を受けて印象が変わる。それを補うのがフィギュア後方で取得するホワイトバランスによる「過剰補正」ではないかという奴。 なんにせよ理屈は知らんが、すでにこの方法で常用だぜ。 背景に多色を使う場合は―― 台紙置かずに取得しておけばOKだ。 改めて6000K時代の補正結果を。うーん、ちょっと違う。 5000K相当で、かつグレーカードをフィギュア後方に置いたもの。やはり引き締まってる気がする。これでいくべし。 背景が濃いと、1000K相当の違いはあまり生じない。 だけど淡いと劇的に違ってくるぜ。写実路線(記録色)をやめたので、コントラスト調整などで色を作る(期待色)、本来のやり方へ回帰した。これでようやく高演色LEDをちゃんと活かせる。
色の精度を高めるカメラプロファイルは照明配置を大きく変えないかぎり使い回しが可能だ。大事なのはあくまでも光源の特性であって、背景紙はさほど関係ないようだぜ。
極端な条件を通してみたが、結果はさほど変わらなかった。こいつは凄いぜカラーチェッカー・パスポート。 一度作ったプロファイルはしばらく使えるぜ。ディフューザーの経年劣化などがあるので、とりあえず月1くらいの頻度で更新している。 カメラプロファイルを使い始めて妙に色へ「?」な感覚がつきまとってたので、2016年2月に新しく買い直している。このツールの賞味期限は通常(屋外)の使用環境で推奨2年らしい。思えばずっと開きっぱなしで四六時中環境光に晒してた時期もあった。 うむ、新品バンザイ。 買い直す原因になったし、使わないときは畳んで保管しないとな。汚れを防ぐぜ。屋内中心できちんと管理すれば2年といわずもっと持つだろう。プラスチック外装でちっこいが、1万円以上する。


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