CBLインターナショナル CBL LENS 110mm 機材 ホビーレビュー

機材
購入:2015/07 分類:グレーカード(特殊)

グレーカードの上級版みたいなもの。色被りをごっそり取ってフルカラーバランスを提供するぜ。 色作りにいつも苦労してるので、すこしでも緩和しようと2009年発売のこいつを導入することに決めた。フィギュアレビューブログ&サイト界隈では使用例がほとんどないようだ。 CBLとはカラーバランスレンズを意味する。なにがレンズなのか良く分からないが、この反射面は多層構造になっている。見えてる部分では一番上が透明なガラスっぽいもので、その下が構造的な白いプラスチック円、スリットが細かく開いており、さらに下に銀色の円盤が隠れている。こいつは構造色でCDやDVDの裏側みたいな虹色に輝くぜ。その輝く円盤がフルカラーなんたらを生成するそうだ。 使い方はカメラのプリセットホワイトバランス機能を使う。ニコンDfのような中級機以上であればボタン操作一発だ。入門機はちょっと時間かかるかな。 テスト撮影は緑背景。 試しにグレーカードとおなじホワイトバランス取得をしてみた。カメラで写し、現像時にグレーポイントを取るやり方だ。 残念ながら色被りしてるぜ。この CBL LENS は写真データになった時点でフルカラーバランスの力を失うようだ。光学的なセンサーを通して取得しないとダメなようだね。工程がひとつ増えるが慣れればさくっと流せるだろう。 比較対象としてカラーチェッカーパスポートのグレーカードを使ったぜ。 ほい、これが出力結果だ。左上のカラーバランスそのものは正確だが肌がやや黄色い。だが色温度を下げただけで右下のように白く透明な肌色が現れた。右上のグレーカードは色被りが残っている。左下のシルキーピックスで調整したフィギュアレビュー用の基本現像設定も色を被っている。基本設定は背景を考えない設定値だから必ず色がズレている。 色を被ってると面倒なホワイトバランス微調整が待っている。その時々の気分や目の疲れ具合でいくらでも数値が変動するため、安定しない。しかも色温度や色相も調整するため、意外と手間が掛かるのだ。CBL LENS は色温度をいじるだけで良い段階まで突き詰めてくれる。 黒背景で行こう。 こちらも差が出た。素のカラーバランス段階ではイエローに転んでるように見えるが、こいつはニコン伝統の黄色いっぽい状態で、色そのものはわりと正しい。実際、色温度補正だけで良い色になった。基本設定は青味が強いのでそのままでは使いづらいかも? 収穫としては、ニコンの黄色傾向は色温度が他社より数百度高いだけの話だった。2014年発売の機種からニコンの黄色は消えているという。 CBL LENS を買った背景にはカラーチェッカーパスポートの件がある。こいつのカメラキャリブレーションを使えば魔法のように色相を補正してくれる。カメラメーカーごとの個性を殺すという欠点があるが、癖がなくなるともいえる。 ただし使用できるのはフォトショップだけだ。私の環境だとエレメンツが該当するが、試してみて「うーん、どこかで見た色だな」となった。調整次第でフィギュアの肌色がまるでキャンディレジンみたいな透明感を得るが、それって幾つかの先行ブログとおなじ色になるだけじゃんってなった。調整するのは「そのまま」では通販サイトの色と同じになってしまうからだ。 追い付くだけや商品サンプルと同等ってのは望むところではない。一度しかない人生、フィギュアレビューなんて一方的に浪費していくお金のかかる趣味なのに、似た出力へ収斂しても面白くない。カラーチェッカーパスポートはキヤノンやソニーの発色傾向と相性が良いように思えるから、デフォでニコンの黄色をさらけ出してくれるこいつで独自色を求めようと思う。
最後に注意点を。こいつはストロボには対応していない。裏側を使うとか書いてたけどネットで見た検証レポでは精度はあまり高くない。あくまでも定常光で大きな効果を見せるツールだぜ。ストロボには専用のグレーカードが優秀だ。 ※追記:CBL LENS を屋外で使用してみたが、あまり変化はなかった。これが商品化された2008~2009年当時、デジカメのオートホワイトバランスはまだ不正確で、この手のツールの必要性も高かった。しかし今ではカメラ側の精度もかなり上昇しており、少なくとも野外撮影では人の目よりカメラセンサーのほうが優秀だったりすることもある。
ただし屋内の照明はまだまだデジカメの苦手分野だ。とくに蛍光灯は天敵ともいえ、正確なホワイトバランスを返すことはまずない。そこにCBLを使う意味が出てくる。カメラ側のプリセット機能を使う以上、それぞれのカメラがニュートラルだと「思ってる」色を返してくれるわけで、機種ごとに備わっている癖を損なわない。これを個性として楽しめる変人向けツールだ。


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