無料公開された強力&大型プラグインだぜ。ただし2012~2015年時点でのっぽいが、数年前の水準だろうともアマチュアには十分に超高性能。検索するとあまりにも膨大な裏技があり、とても把握しきれない。
2016年3月末、Nik Collection というソフトウェアが無料になった。これはアドビ・フォトショップ各アプリで使えるフィルタープラグイン。ただし400メガバイト以上と、拡張ソフトなのに大容量だ。Nikソフトウェア社が1995年から開発してきたほぼすべてが詰まった集大成ともいえる。有償時代は6万円もし、2012年のgoogle買収後も2万円くらい。ここ半年アップデートが一度もなく、開発速度は鈍化のきわみ――というより、もはや「安定版」の維持しかしてない感じ。
しかーし! 私の環境では Photoshop Lightroom 6 で動かず。理由は Windows 10 へのアップデートで一部のフォルダ構造が変わったためっぽい。つまりライトルームを再インストールしないと Nik Collection は正常に作動しないんだが、膨大な作業中ファイルやデータが分散しており、環境を継承できるか疑問があり保留。
幸いなことに Photoshop Elements 13 では動いた。こちらは普通の画像編集ソフトで、ファイル管理の拡張も構造も、現像ソフトと比べはるかに単純だ。
「フィルター → Nik Collection → 各種フィルター」で起動。ライトルームもフィルターから動くようだ。
こんな感じで実行状態がレイヤーとして追加される。
フィルターのタイプは7系統・数百種。様々な調整幅が自在すぎ、細かい種類でいうなら無数といえる。フォトショップ系で比較的苦手あるいは表現が迂遠なものを短時間かつ直感的に出力できる。
今回使ったソースデータはこれ。いまのところフィギュアレビューで多用しており問題はない。
Analog Efex Pro
私が一番使用頻度の高いフィルター群だ。アナログエフェクト――つまりフィルム写真時代のいろいろな裏技をデジタル的に再現している。とても細かくて、これだけでコレクションの半分近い濃さがあるんじゃないだろうか。
モーションはフィルム時代、カメラをわざと動かして得ていた効果。応用が利く。
二重露出。ちゃんと二重になるよう、制限や調整が細かい。わざわざフィルムならこうなるぜって再現へのこだわりが鬼。その範囲で遊ぼう。
湿板。ごく初期の写真技術。
Color Efex Pro
55種類のアーティスティックなフィルタで自在な色表現を効果的に。アナログみたいな制限がないぶんデジタル写真時代のあるべき無限スタンダード。このカテゴリーは「写真全体」がコンセプト。「部分」や「細部」はまた別系統となる。人によってはアナログフィルターより自由奔放なカラーエフェクトに魅力を感じるだろう。私はフィルム時代をギリギリ知ってる世代なので、アナログを多用してるだけだぜ。
Dfine
ノイズ消し。さすがにこれは最新現像ソフトのほうが優秀に思えるが、痒いところに手が届く細かなノイズリダクションを体感できる。
Sharpener Pro
シャープ補正を掛ける。ピンボケ部分の補強から輪郭のみ強調まで、幅広いコントロールが可能。フォトショップだとしきい値の調整が分かりにくい部分もあるが、独立した専用ソフトなのでじつに直感的だ。
Output Sharpener
おなじシャープ・プラグインの印刷用途バージョン。カラーエフェクトを通しシャープをくぐると、最近の映画ポスターでよく見かける感じのメリハリ画に仕上がる。とっても素人受け(一般受け)するが、むろん写実からほど遠く玄人には「うーむ」らしい。私のサイトは写真の「目利きさん」なんかほとんど訪問しないのでどうでもいいぜ。
Silver Efex Pro
モノクロを極めよ。さして興味もなく、あまり使わない。
Viveza
カラーエフェクトが全体の補正なら、こちらは部分。ピンポイントで色を変えたり、範囲で局地的にグラデーションやワンポイント的な効果を付与したり。覆い焼き&焼き込み風味な古典的処理へさらに色変化およびマスク機能を追加した高次ポイントコントロール。むろんフィルターの掛ける順序によって可能性はいくらでも広がる。
HDR Efex Pro
単写でのハイダイナミックレンジ調整だぜ。最近のデジカメは露出段階にして10EV以上の変態的な高性能が当たり前になってる。だからこそ可能になってる一枚絵からのHDRだが――画像「編集」ソフトの Photoshop
Elements 13 だと未対応だった。理由は画像「現像」ソフトで扱うRAW以外のファイル形式では、ダイナミックレンジが大幅に狭まってしまうからだぜ。HDR合成は本来、露出を段階的に変えて何枚も写したものを使って合成していたものだ。
Photoshop Lightroom 6 ではほかのフィルタはエラーが起きるが、なぜかHDRだけ使えた。
ただしパラメーター調整ができず、淡泊で均一化された出力のみ。使い道が難しいな。やはり再インストールしか手はないっぽい。
もっともライトルームのHDR的なものは色表現のハイライト・シャドウ・白レベル・黒レベルの操作であっさり出力できたりする。そこにコントラストを加えたら、あっというまに単写HDRっぽくなる。むろんRAWファイルでないと意味がない。jpgファイルとか白黒ダイナミックレンジの7~9割を消失してるから、HDRなんて無理、夢また夢だぜ。そういうものもあって、ここ何年もRAWでしか写してない。
以上、Nik Collection の半端な紹介だったぜ。最近はスマホの画像フィルタが神アプリとか持て囃されてるが、その0.1%以下のユーザーしかいないこういった本格フィルタ群のほうが、習熟するほどはるかに美しい効果を得られる。元がガチプロ用だしな。それらプロフェッショナルの莫大な蓄積がネットにうなるほど転がっており、パラメーターの自由度は研究しつくせないほどだ。1995年からフィルタ効果一筋、伊達に20年もの歴史を重ねていない。デジイチ持ってるなら、スマホアプリで喜んでる場合じゃねえ。
Nikコレが無償化された背景には、フォトショップCCの月額使用制(1000円くらい)があるとの分析もある。google自身がデジタルフォトビジネスを積極的に進めており、世界最大のシェアを誇るフォトショップと連動するオプション的なサポートだとかなんとか。事実がいずれにせよ、2016年現在のプロ水準(有料)はさらに高次元にある。フリー化したのが数年前のスタンダード部分といっても、アマチュアにはとっても便利すぎるハイレベル・ハイクオリティなフィルタプラグインパッケージだ。googleはすでに2017年以降に向け、次世代スタンダード(おそらく有料)を開発しているともいう。それらもすぐ類似技術がフリー公開されてるだろうし、そのものが数年ていどでタダになるかも。