COSINA Voigtländer NOKTON D35mm F1.2 機材 ホビーレビュー

機材
購入:2022/04 分類:単焦点レンズ

Z非純正レンズとして初のニコン正式ライセンス生産。 F1.2の大口径レンズだぜ。マニュアルフォーカスレンズ。 ニコンZfc狙い撃ちのオールドニコン風デザイン。レンズ光学系はフジフイルムXマウント用がベース。絞りはカメラ側で制御できず、物理的にレンズの絞りリングを回す。 APS-C専用とすることで、開放F1.2ながら230gを達成。ただしフジフイルム用は196gとさらに軽い。 重くなったおもな要因はZマウントに合わせるための根本部分の膨らみ。ちょっと不格好かも。とはいえレンズ光学系レベルからニコンZ専用を望むのは、レビュー時点で急落したシェアの現状では難しいぜ。フジはいまや業界3位だし。 F1.2ともなると、夜に強い……はず。 すごいボケ方だな。 寄ってみる。 暗がりでISO感度をあげずに写すには、絞りを開くしかないが、解像感に乏しい。絞れば普通に解像するけど、それだとズームと変わらないので、あえてこちらで。 F1.2&寄りで、幻想的にふわふわした、写真が。二線ボケも激しく、点描ボケの輪郭もくっきりしすぎている。つまりボケが硬質で乱れてる。このレンズ、外見だけでなく中身もオールド風味。 F1.8まで絞っても、周辺部のハロみたいな曇りボケは解消しない。逆にいえば表現として使えるので、コントロールを覚える必要ありだぜ。 F2.8でようやくボケ質が大人しくなってくる感じだけど、この辺りになってくるともはや絞り開放から使えるニコン純正のほうが――という話になってくる。Z28mmF2.8とか。 F4まで絞れば、もはやズームと変わらないな。これ以降の絞りは差はない。 ボケが安定するF2.8でのボケ量サンプル。 F1.4。弱いぐるぐるボケ。 スナップ的に。ニコン正式ライセンス契約の電子接点付きだけあって、ピント合わせ補助や自動露出は完全完動。カメラ側に手ぶれ補正があれば、無設定で勝手に効いてくれる。 現像で収差などの自動補正は効かず、なにもしないと下の写真のように周辺減光が残る。 ボケコントロールを覚えたら、効果的な写真を――かな? ふんわりやっとキマシタワー。この奇跡?のボケ1枚を得るための試行錯誤、30枚くらい。距離と絞りがうまく合わないと、大きなボケでかつきれいになってくれない。使いこなすのが難しいぜ。 後ボケと違い、前ボケは強制的にボケ量を大きくすれば勝手にきれいにボケるぜ。ただしこれはどんな安ズームでもおなじ。 大きくかつきれいなボケを得ようと試行錯誤中の失敗ショット。収差がすごく、まるで風の中で微ブレしてるように見えるけど、ほぼ無風だった。ピント合ってるのに結像しない。むろんこれを狙って得るなら別。 後ボケを柔らかくする条件もいろいろあり、スイートスポットは狭いぜ。 その修業に耐えられる暇な人だけに許された、勇者のレンズ? ほかの人と集団行動とってるとか、時間が限られるとか、一人行動でも人混みの流れがあって長時間立ち止まれないとか、そんなシチュエーションではフォクトレンダーのノクトンシリーズは扱い難しそう。 後ボケ失敗例。背景が単焦点レンズとは思えない暴れ方でざわつきまくってるわかりやすい悪例として。これズームレンズならわりと普通に見られるし妥協もやぶさかでないけど、単焦点しかもミラーレス対応のメーカー純正なら、レアになりつつある描写だ。 逆光には弱い。フレアふわふわ。 コントラストが大きく落ちる。現像で持ち上げると破綻するので、写ったままを受け入れるのが最適解だったりする。つまりありのままを。 逆光の弱さをたまたま利用した一枚。ラーメンですまん。 F1.2で風景。 ボケが硬質なぶん自然物は苦手だが、人工物はエッジが立ってても関係ない。 購入からレビューアップまで1ヶ月半もかかったのは、打率が低すぎてヤバたにえん。絞って使え? いやそれなら普通にズームで済ませるぜ。「記録用」写真なら。 肩と手を痛めて軽いレンズが望ましいということで、軽量勝負用として単焦点に目を向けて購入したものの、気難しさに振り回されるツンデレレンズ。でも数十年前はみんなおなじだったか。すげえな昔の人。 コシナのレンズに共通する著しい特徴として、外見および光学におけるオールドレンズ風の確信的な維持というものがある。現代レンズ風な味付けはちゃんと別のラインアップに分けているけど、ごく少数だ。最近だとアポランターなど。 どうしよう。腱鞘炎と五十肩すら治ってれば、以前のように不便さを味として喜んで使い続けるマゾヒストだけど――いまの私は長時間カメラを保持できない。連続でせいぜい数十秒。外見Zfcとよく合うんだけどなあ。


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