TAMRON 70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD (Model A047) 機材 ホビーレビュー

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購入:2022/10 分類:ズームレンズ

ニコン初となる正式ライセンス非純正望遠ズームだぜ。 Zマウントの方針転換で、コシナとタムロンが正式にニコンと業務契約を結び、ニコン単社では追いつけないレンズラインアップを補充しはじめた。いわゆるニッチ枠を。 その隙間な枠のひとつが、「レンズ側の手ぶれ補正を抜いた望遠ズーム」。 タムロンはニコンZへのOEMですでにF2.8通し軽量大三元を提供しており、それらはニコンZ純正扱いで組み込まれている。なのにこの70-300mmがタムロン名で出されるのは、おそらく手ぶれ補正がないからだと個人的に思っている。 それだけニコンZマウントレンズに求められる水準は厳しく、ゆえにニコン自身がなかなかレンズラインアップを拡充できずにもたついてる原因にもなってたりして。スペック数値そのものは地味なので、使ってみないとその良さが分からない。 それはともかく、手ぶれ補正がないおかげで、このレンズの重さは580gを実現している。腕を痛めてる私にはちょうどいいぜ。通常このクラスは700g前後だ。軽くなった代わりに、手ぶれ補正は全面カメラボディ側にお任せ。 望遠らしくまず遠景を。山から平野を写した70mmだぜ。 300mmだぜ。 おまけでおなじ風景の11mmを。まさに狭くて遠いな望遠。 ところで今回の70-300mmを購入した時点で、ニコン純正の50-250mm(APS-C専用)を所有している。250mmと300mmの差は下のようにあまりない。 さらにメーカーが公開するレンズ解像力のグラフだと、50-250mmのほうがすこし勝っていたりする。 なのになぜ70-300mmを買ったのか――それは下の1枚が語る。50-250mmのほうは背景がザラつき、奇妙な模様が入ってたりする。ISO感度6400くらいの、高感度ノイズの粗さだ。 すなわちAPS-Cセンサー用は高感度特性で不利。 フルサイズ機につけても、APS-Cセンサーの範囲しかカバーできず、フルサイズセンサーの広さ、集光量の恩恵を得られない。 フルサイズ機+フルサイズセンサー対応望遠なら、暗がりの撮影も低ノイズ感で撮影可能。 レビュー写真でノイズ軽減処理は一切やってない。サイト掲載用の縮小処理と画像変換だけで、ノイズ感の大半が消し飛んでしまうのが、フルサイズ機+フルサイズ用レンズだ。 暗いところで動きの一瞬を捉えるなら、ISO感度をあげる必要がある。そのノイズとの格闘を大幅に軽減してくれるぜ。 これもすごい勢いで回転してるのを、シャッター速度あげて(ISO感度も設定MAX)止まった感じに写したもの。50-250mmではノイズまみれになる。 さてノイズの問題が片付いた70-300mmだけど、もうひとつの問題としてボケがあり。比較した範囲では、Z24-120mmの一人勝ちだ。70-300mmも50-250mmも正直、ボケ味は硬質気味だ。安いレンズで解像を優先すると、どうしてもボケが犠牲になりやすい。ボケを優先する作品的な写真を得たいなら、ボケ質にまで配慮できてるがその代わり値段も高めの24-120mmF4という結論になるだろう。 とりあえず70-300mmの前後ボケを見る。前ボケは後ろボケよりさらにひどくて、ド派手な二線ボケを恒常的に生じる。このレンズを使うなら、前ボケはあまり考えないほうが良さそう。 後ボケのみなら、たぶんまだ見られる。あとは構図などの工夫により、ボケ量で誤魔化す感じかな。 望遠レンズの本分に戻る。遠くのものを引き寄せる効果。 さらにボケ味を捨てて確保した解像力を活かす、等倍クロップ。ちゃんと羽毛まで解像してまっせ。2400万画素機のフルサイズ300mm等倍は2000mm相当を超えてくる、超々望遠の世界。それは15キロ離れた信号機の状態がギリギリわかる分解能を示す。 今回の70-300mm、ニコン純正50-250mmに解像度でやや負けてるといっても、70-300mmクラス同士で比較するなら、2010年代以前に出た古いモデル群と比べて勝っている。 それがこの等倍解像力。背景の網目がひとつひとつ確認できる! あれ? 50-250mmのほうの等倍、なんか微妙に負けてる気が……個体差か、それとも250と300の差か。あるいはローパスフィルターの罠か。なんにせよデータだけでは分からない、面白い逆転現象が生じている。 手ぶれ補正がないわりに、飛ぶ鳥をそこそこ写せる。 優雅に風に乗ってるていどの遅い動きに限るが。さすがに高速飛翔は手ぶれ補正ありでも70-300mmクラスでは難しい。 Z24-120mmに及ばないボケ質だが、ボケ量そのものを大きくすればどんなレンズでも背景はきれいにボケてるように見えるぜ。 解像する方面も、蜃気楼を空気のユラユラまで含めて記録できたり。 またもやボケ。特性さえ知っておけば、その軽さを活かせる運用で満足いく写真ライフを送れそうなレンズ。 鳥の群れ。 秋のひまわり。 砕ける大波は望遠レンズだからこそ安全な場所から大伸ばしゲット。間近より写すダイナミックな構図と比べ迫力には欠けるけど、とりあえず記録として写せる。可能なら改めて近づけばいいだけ。 24-120mmで近寄れない離れたものを大きなボケ量つきで。 カラスさん サンプル写してて感じたのは、ボケを求める写真は、この70-300mmでは一切絞ってはならないこと。ちょっとでも絞ると、固いボケに悩まされるだろうぜ。安かろうなんたらかろう。ピント範囲など、どうしようもない場合を除き、できるだけ絞り開放で。 花畑の一角を容易に切り取れるのも望遠レンズの特色。 アンテナ 遷移していくボケ感。やはり解像してる範囲から距離的に近場のボケ(左側)は輪郭が出て固い。離れる(右側)と柔らかくなるというか、ボケ量が大きくてみんな誤魔化される。なおスマホで違いは分からない。 幽霊 逆光にはZ24-120mmより粘るという自己評価。70-300mmクラスとしては大健闘だぜ。 当面これで固定される確率の高そうなフルサイズのズームセット。明るい大口径ズームは肩やられてもはや持てないし、高画質欲しいなら単焦点でいけばいいだけ。軽さ&利便だな! 機動力と健康を優先してるわりに広い範囲のものを写せるシステムもどき。ただし激しい動き物だけは追えない。 なお以前持ってた望遠レンズ群と異なり、この70-300mmでフィギュア(レビュー)は写さないぜ。純粋な望遠レンズとしてのみ使用価値を認めている。


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