パンケーキレンズだぜ。 見ての通り薄くて丸いからパンケーキみたいなレンズ、すなわちパンケーキレンズ。ニコンFマウントでフルサイズ対応、発売2001年のマニュアルフォーカス専用。基本設計は2~3モデル前の1969年から変わらない。 厚さ1.7cm・重さ120gはフルサイズ対応で最薄・最軽量。アダプターなしで現行のデジカメ(ニコン機と一部フジ機)で露出計が完動してくれる最古のパンケーキレンズ。 これを購入したのは実地でFUJIFILM X100Tをどうするか決めるためだった。ニコンのフルサイズミラーレスを導入すればニコンDfがサブ機へ格下げとなり、X100Tの出番はほぼ皆無となる。 それでは試用の結果を。まず下のような朝・夕の時間帯はあまり絞らず、できるだけISO感度を下げようとする。F4で。あまり分からん。 絞りを開けてるとボケを得やすいが、なんか光描がざわざわしてるぜ。 ボケが汚いのかな? と思ったが、下のススキは単焦点らしい、きれいなボケになった。よく分からん。 パンケーキレンズは小さくすることに特化した結果、光学性能は妥協の嵐だ。とにかくボケ描写が安定しない。下は評価に困る例だろう。ざわついてるのかボケてくれてるのか、判断に悩む。中途半端だ。 むろん、絞ればバキバキに解像する。 安価ズームレンズも絞れば解像はするが、単焦点は細かい箇所のディテールが破綻しない。下の仏像、背景の木々が、24-85mmだと解像してるにも関わらず葉っぱの重なりに妙な二重ボケみたいなものが生じたりするが、単焦点ならなにもなくすっきり描写となる。2001年のしかも妥協しまくってる単焦点レンズに2012年のズームレンズが負けたぜ。 だが弱点もある。あまり寄れない。最短撮影距離は45cmだ。下が最大倍率で写したカニさん。 シーズン終わりのコスモス。これが一番寄って拡大した状態。パンケーキレンズは寄れるものが少ない。FUJIFILM X100シリーズは10cmまで寄れる。 光の少ない時間帯に絞りを浅くするとやはり四隅が弱い。ほとんど解像しない。最近の単焦点は絞り開放付近でも四隅があるていど解像するようになっている。ただしそういうレンズはボケが固め。 逆光にはかなり弱い。すぐにコントラストが低下する。 光源をレンズ内に入れてると破綻しないのはX100Tとおなじ特徴。 絞りや撮影距離をいろいろ試して使えるか試写。 絞って四隅まで解像するかは平面を写せば分かる。ここは合格。 コケを写したくなる。植物の細かい描写はX100Tより上だ。 いろいろ写してみて、このレンズは早々におさらばしそう。やはり基本設計半世紀前のレンズはちょっと厳しい。解像はするがデメリットも多い。とくに寄れないのはフィギュアを伴う野外撮影の多いうちの撮影では実用的にきつい。 ミラーレスの購入時期はすこし遅らせることにしたので、まだX100Tは続投だ。むしろD3400のほうを先に引退かな。45mmはボケがキレイなら使ったかもだが、描写が暴れるのと逆光への弱さ、絞り開放付近の四隅の弱さ、寄れないなどの癖が大きすぎた。すでに次の候補は見つかっている。2017年にコシナが発売したフォクトレンダー、ウルトロン40mmの新型だ。最短撮影距離が25cmで、ボケは安定、絞り開放付近の四隅もあるていど耐えるし、逆光にもこのパンケーキレンズよりは強い。