フィギュア撮影講座3ピント&絞り

企画
執筆:2017/12/31

 萌えフィギュア単体を写す際、ピント合わせポイントは目が基本。さらに絞り値は解像させたい輪郭の境界で決まる。この項目ではピントと絞りについて扱う。解像感のもっとも高くなるピント位置と絞りについての提案も含む。 フィギュア撮影でピント範囲コントロールを覚えるのが面倒なら、とりあえず瞳にピント合わせておけば問題ない。あくまでも女性写真のひとつのセオリーであり、例外はいくらでも存在する。ピント箇所と絞り値は繋がっており、フィギュアの前後に幅があるほど絞り値は大きくなっていく傾向にある。 複数キャラをひとつの構図に収める撮影だと、ピント位置は単純に主題で良い。個々のフィギュアも小さめに写すので、ピント的には楽勝、容易に全身が収まる。 さて絞りは数字が大きくなるほどピントの合う範囲が前後に広がっていくが、この数字は小さすぎても大きすぎても解像度が下がるという特徴を持っている。ほとんどのレンズがF5.6〜F11くらいで最大値に達し、これより離れるほど解像力が落ちてしまう。 ゆえに画質へこだわるようになると大きすぎる絞りはあまり使いたくなくて、つい抑えがちになる。F32以上の写真は一眼レフやミラーレスであっても解像感においてコンデジと大差ない。だがしかし今度は全身構図でその全体がピント範囲に入らず、下の写真のように足先がピント外でボケてしまうといったデメリットも起きる。 そこで2017年秋頃より試行錯誤を始めた。できるだけ浅い絞りで、レンズに近い先っちょまで解像させたい。その方法は――セオリー無視だ。下の写真はこれまでの方法ならF32が必要だが、新方法によってF18で済んでいる。フィギュア撮影講座で先に扱うべきライティングなどを飛ばしていきなりピント・絞りを取り上げたのは、ほかの講座コンテンツが扱わない内容を紹介しているからだ。 絞りをできるだけ浅くしつつ全体が解像したように見せるには、ピントの合う範囲を限定すれば良い。試行錯誤の結果、切り捨てる部分は「奥の輪郭」からさらに奥側のパーツ群だ。手前側はカメラに一番近いパーツがギリギリでピントの合うバランス。すなわち「手前のパーツ〜奥の輪郭」、その中間がピント位置となる。ここで先っちょないし輪郭が解像してくれる絞りが、もっとも全体が解像すると錯覚させられる数値になると推定できる。 上より見ればこうなる。あくまでも箱の奥まで解像させたいなら、奥行きまでの中間位置がピント面となる。私が提案するのは輪郭から奥側は切り捨ててしまい、解像させる限界を輪郭部で留める。そして先とその輪郭との中間にピント面を設定する。この操作はカメラ任せのAFでは不可能で、自然とマニュアルフォーカス頼りとなる。 実践の結果は大きな違いとなった。AFで選択されやすい手前のピント位置から輪郭が解像するまで絞るとF32が必要だった。一方、中間位置にピントを置くとF18で済んだ。絞りが浅くなるとシャッタースピードが速くなり、カメラぶれによる失敗も減る。 ピント位置を「中間」にするのは、マクロレンズで撮影するような1m以下の距離ではピントの合う範囲がピント位置の前と後でほぼ同等だからだ。5mくらい離れると「前:後」は「1:2」になり、さらに離れるほど後ろ側が伸びていく。一般的な撮影距離ではピントの合う範囲は「1:2」という認識でいい。ただしマクロレンズでは「1:1」と考えておくと楽だ。本当は「1:1.1〜1.3」くらいだけど。 じつはこの小技はかなり前、2013年ごろより時折使っていたが、きちんと理論的?に考えるようになったのはつい最近だ。講座を書いた1〜2ヶ月前より、レビュー活動で常用するようになった。目にピントだとF29まで絞らないと得られない解像を、中間ならF16で済む。この差は1000ピクセルを超える大きめの写真掲載で「解像感」となって反映される。絞りを抑制するほどピントの合った部分における解像感は高まる。 バストアップでも実践。このくらいならわざわざピント移動など不要だが、実験的に。F18必要なところ、F13で得られた。 F22必要な構図で、F14。 パーツ拡大でも「いちおう」使える。F18くらい必要なものがF11で。 パース拡大で「いちおう」と断ったのには理由がある。ピント移動のデメリットだが、ジャストピンより離れていくほどディテールが少しずつ喪失していく欠点だ。絞りの解像にピークがあるように、ピントの合う解像範囲にもピークがある。つまりピンポイントだけ見せたいなら自然と最高状態となる普通のピント合わせが良い。それもさすがにF30台まで大きく絞ると失われる。ジャストピンでもピント移動した箇所より解像感に乏しくなる。見極めの個人的な境界はF22だが、奥行き幅のとても大きいフィギュアだとピント移動させた上に絞りきるしかない。 絞りきるしかない例がこれ。それでもF45がなんとかF22で。正直調整が難しい構図なので、普段はあまりやらない。記事用。寝てる状態で顔と下着を同時に解像ってのは中望遠レンズだと難しい。ピント移動より標準レンズや広角を用いたほうが絞りが浅くて済むぶん楽勝だが、それはそれで問題を抱えている。 標準〜広角側へ寄るほど萌えフィギュアの可愛らしさが損なわれやすい。顔が膨らんで見えたり、胴長短足に写ったり。ゆえにクオリティ重視のレビュアーは「フィギュア単体」に対して中望遠レンズ(APS-C50〜70mmくらい・フルサイズ85〜135mmくらい)を使う。 ピント移動は絞り値が大きくなりやすい環境ですこしでも絞りを浅くしようという小技だ。むろんフィギュア複数やジオラマ的なものに画角の狭い中望遠を使う理由はない。普通に広角〜標準だ。
 F36がF18で。これはピント移動の効果が大きい一例で、マジで使う価値がある。 むろんボケによる表現を狙う場合はいつも通り「目にピント」だ。時間を掛けたくないときなども愚直に目で済ませる。またフィギュアの目が見えてない場合は単純に「先っちょのパーツ」ないし「大きなパーツ」だ。その辺りは時間があれば「中間」、なければ「主題」ってことでいいと思う。

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