講座っぽいものだけど、かなり独自視点で語るよ。なにせマイルール大量なよつばとフィギュアだからね。
10年選手のベテランレビュアー視点による講座がないから、書いてみるものなり。Asahiwa.jpの写真技術はカメの歩みでノロノロ上達してきたし更新間隔もランダムなのに、アクセスだけは一人前なんだぜ。つまりクオリティが必要条件じゃないと実地で証明してきた。見る人の多くはそのフィギュアの完成度がどうであるかが関心の第一なわけで、写されてる方法や内容には残酷なまでに興味をもたない。もちろんキレイなほうがいいけど、結論としてはアップされないほうが下策だと思う。下手でもいいから写して公開したいぜ。まずはその態度こそがなによりのスタートだな。上手になるまで公開しないなんて、フィギュア写真ってジャンルじゃおそらく下策かも。堂々と恥をかいていこう――でも閲覧者の大半は恥とすら認識しないかも。レアなフィギュアのレビューなら、どんな僻地の過疎ブログだろうとも検索して見に来るものなんだぜ。
ツール編
さあ語るとしようか。まずはツール編だ。
最低限の道具を揃えないとなにも出来ない。予算はどれほど安くても10万円からだ。なに? 数千円でどうにかなりませんかだと? ……クオリティはとても期待できんぞ。下手さ加減にうんざりしてくるほどに、金を掛けるしかないと気付く。人間の大半はしょせん凡人にすぎん。天才といわれる選ばれた連中ですらその才覚が花開くのはごく狭い範囲に限られている。ならば大人しくプロが開発したツールを使うのが、美麗写真への最短ルートと知るだろう。安くて楽に優しく誰でもキレイに。そういった耳に心地よい定番の謳い文句は虚飾であり、実利のないまやかしだ。地獄の沙汰も金次第――フィギュアレビューでも世知辛い現実はなにも変わらない。地道にこつこつ調べあるいは勉強し、まともな機材を適確に審美し、つつがなく揃えた者から先んじて幸せになれる。黙って金を出して、プロフェッショナルの経験値と思索の成果を「優秀なツール」という形でゲットしとけばいい。
反感をもったならここでサヨナラだ。私は間違ったことは言ってないと信じる。写真とは専門性が増すほど加速度的に金の消えていく業の深い趣味だぜ。なにせ優秀なツールとやらの割合は意外に低いからだ。自分の経験値のほうが市販品を上回ってる例が、私レベルの腕ですら起こってしまう。ピンキリってわけ。外れを怖れてはなにもできない。無駄足を楽しめるくらいじゃないとね、趣味ってそんなものだ。それに最初に述べたように見てる側のクオリティへの期待は存外に低いから、レベルアップの優先度は戦略的にみて下位へ置いた方が精神衛生にも良い。修行しながらコンスタントに撮影回数を重ねていこう。これは私自身へ向けた言葉でもあるな。どうしても目の前の課題が気になり、積みフィギュアも多い。実践していくのは難しい。
カメラ
意外に思うだろうけど、なんでもいいよ、いやマジで。それこそスマホでもね。プロでもスマホ派とかいるほどだし。安全牌で語るなら、操作性とか機能的なベスト解答はレンズ交換型カメラの中級機以上になるぜ。最終的にそうなるから、最初から高くて便利なの買っておくのも手かもな。選ぶべきメーカーもとくにないかな。淘汰されたくないからどのメーカーも必死こいて開発してるわけで、中級機以上ってだけで十二分に優秀だからね。
撮影テーマが動かないフィギュアの時点で、AF性能・連写速度・高感度特性・バッテリー・防塵防滴なんてどうでもよくなる。山に登ってフィギュア連れてくなら防滴性能も必要だろうけど、普段からそんな特殊な写し方をする人はそういない。つまり好きなメーカーや機種を選べばいい。世間でいろいろ言われてるほどには、メーカーごとの特色って意味を持たないから。すくなくともアマチュアレベルのユルい写真活動ではね。たとえばキヤノンは記憶色(期待色)・ニコンは記録色(写実)といわれてるけど、デフォルトがそんな感じのチューニングになっているにすぎず、設定を調整するだけで簡単に離れ、もう自分の色になってしまう。ほらね? 意味ないでしょ。
あえて個人的な境界線を引くなら、イメージセンサーサイズの許容ラインってものがあって、ずばりマイクロフォーサーズだぜ。マイクロフォーサーズを下回る1インチといったカメラは、どれほど良いレンズを使おうがノッペリ画質になりやすい。コンデジにもマイクロフォーサーズ以上のセンサーを積んだ機種があるので検討してもいいだろう。そういった機種は総じてレンズにも力が入ってる。
最新機種が高いなら、中古や旧機種でもいいよ。フィギュア写真は多くのシーンが静物&低感度という最高条件での撮影だから、数年ていど古かろうが見分けなんて付かない。さすがに10年前なんてのは厳しいだろうけど、7~8年くらい前までなら大丈夫じゃないかな。カメラの新旧よりイメージセンサーの面積のほうが、画質に与える影響は大きいから。数年くらいの差なんて消し飛ぶほどにね。いくらメーカーが今度の機種はフルサイズ並とか宣言しても、実態はまったく違う。センサーの広さは絶大だぜ。なぜなら現像ソフト&画像ソフトの進歩に伴い、古い機種でも最新アルゴリズム処理の恩恵を受けられるからだ。ゆえに差の縮まりは想像以上に小さく、そこに広いセンサーのカメラを使う意義があり、中古カメラを選択する意味がある。
レンズ
使うカメラがレンズ交換型なら、レンズをたくさん手に入れるほど撮影の幅が広がるね。単焦点レンズとか高画質だし、カメラの画質はその7~8割がレンズに依存するとも言われてる。対応レンズがマウントごとに違うから注意だぜ。ニコンならニコンFマウント用のレンズしか取り付けられない。例外もあるがいまはパスだ。安全にいくならカメラとおなじメーカーの純正レンズがいいよ。確実に作動する。レンズメーカーとしてシグマやタムロンがあって、性能のわりに割安でお買い得という特徴があるよ。ただしレンズが原因でカメラが故障してもカメラメーカーのサポートはまず受けられない。非純正のリスクだ。
種類は基本なんでもいいけど、本格マクロレンズならフィギュアを写すような近距離で最高画質になるよう設計されてるから、無難だと思うぜ。なにせ1.5m以内ならプロ用の標準ズームや最高級の望遠ズームすら上回る無双ぶりだから。単焦点等倍マクロは約束された勝利の剣だ。ズームレンズ使うなら低倍率の標準ズームが取り回しとコスパと画質のバランスで優れてる。安いカメラ買うと最初に付いてくる奴ね。高倍率ならF4通しまでだね。フィギュアをスタイリッシュに歪み少なく写せる焦点距離は、フルサイズ機なら90mm以上、APS-Cは60mm以上、マイクロフォーサーズは45mm以上だぜ、たぶん。コンデジはできれば「換算」90mm以上まで伸ばしたいね。あまりに広角で写すと短足に写っちゃうから。
むろん大きなフィギュアや大勢を画面に収めたいときなどもあるから、あくまでも目安だぜ。絶対なんてないから、好きに写せばいいさ。フィギュアは小さくて動かないし、撮影場所も安定して静かなところが多い。被写体として楽な部類だから、レンズの制限なんて最大撮影倍率くらいだぜ。とくに野外撮影なんか、私でもズームレンズが8割だな。画質うんぬんより、写真として欲しい構図を得られないほうが怖い。単焦点にこだわってる暇なんかないんだぜ。
照明
フィギュア写真のクオリティは半分以上が光で決まる。軽視されがちだが、カメラやレンズより絶対的に重要だぜ。ライティングの習得には意外と時間が掛かるし、芸術性を求めるなら感性やセンス・オブ・ワンダーすら必要だから、まず演色性の高い良質なライトを光源として使えばいいさ。それだけで色が変わる。プロがよく使うのがストロボ(エレクトロニックフラッシュ)だね。一瞬だけ光ってるやつ。こいつ地味に80年以上の歴史があって、長年に渡って研究開発されまくってきた結果、おかげさまで光の質がほとんど太陽光に近いところまで洗練されていやがる。人間の目でキレイに見える白い光って当然のように太陽なんだよ。ただしストロボは光るのが一瞬だからライティングが難しいぜ。時間もかかる。
アマチュアの多くが定常光を採用してる。LEDとか蛍光灯ね。でも普通に売られてるそいつらの大半が、お世辞にも演色性能が良いといえないぜ。個人的なオススメは高演色を名乗るLEDで、色温度5000K前後(昼白色)で、かつ密閉型器具対応モデル。これ以外はさまざまな理由で写りのクオリティが確実に落ちる。長くなるから説明しないけど、とにかく3条件をまんべんなく満たしたLEDが定常光のベストあるいはベターの解だ。2016年現在では、東芝のキレイ色LED電球(2012~)が唯一無二といってくらい、価格的にもお手頃だよ。中国メーカー製の撮影用高演色LEDも各種あるけど、技術力不足からフリッカーが発生しやすく、液晶画面に縞模様が走ってチカチカ眩しいぜ。私自身がそれで失敗したから、先進国のメーカーを奨めるわけだな。東方光画機にレビュー記事はないよ。なかったことにしてる失敗ツールはほかにも色々あるさ。
ストロボや高演色LEDを手に入れたら、つぎは拡散だね。ディフューザーってやつ。トレーシングペーパーや拡散板などで光を散らせ、柔らかくする。あるいは本格的にバンクライトやオパライトなどを使っちゃう。これによって女性フィギュアが優しく写る。いわば日影・木陰の光景だな。高演色によるフィギュア撮影って、日向の発色を日影で得ようとするファンタジーな行為なんだぜ。撮影時は日影の色だが、適正なホワイトバランスを得れば日向の色に変身する。まだツール編なので、細かい技術論とか後回し。
バンクライトのほかに、デスク用のアームライトがあればライティングはより楽になる。バンクライトは拡散効果が高いけど、大振りなぶん動かすのがわりと面倒だったりする。アームライトはすいすい動かせるし、取り外しも楽ちんだ。クリップライト式とかなら、どこにでもセットできる。この撮影講座を執筆してる時点で、うちの照明構成はバンク式ライト1・アームライト4だ。5灯のうちディフューザーありは4灯。すべて業務用・事務用の高性能モデルだ。楽したいなら高いのを買うしかない――長くやってるといずれ達する結論だぜ。
余談だが、白色以外のカラーLEDもありだ。青や緑や黄色などがあり、スポットライト化すれば演出の幅が広がる。私も電球色の超高演色性LEDを持っていて、たまにレビューで使う。デジタル補正で演出した電球色と、本当の電球色。どちらが写りレベルで上質かなど、誰にでも理解できる。高演色LEDを光源として使うのも、勘による補正という揺らぎを排除できるメリットがある。
勘は個人の資質に頼るが、高性能は故障しないかぎり高性能のままであるし、ソースデータも正確である。ゆえに主要な光源は高演色であるのが望ましい。これが「プロの経験値と思索の成果を金で買う」という本質であり実例だ。正解ルートに生えてる雑草を勝手に草刈りしてくれるんで、頼もしいぜ。トップレビュアーが並演色で苦心しつつ数年の研鑽でようやく到達していた色に、たった数千円から数万円で追い付いちゃうんだからねえ。高演色万歳だぜ。カメラやレンズと比べたら安いものだ。照明に金を惜しむなよ? マジで勿体ないから。遠回りしまくる羽目になるから。
おっと、ストロボ(フラッシュ)……スピードライトのことを忘れてた。カメラ内蔵のやつは多灯的に制限がヤバいので、クリップオンな外付け式の本格派がいいと思うよ。というかそれしかない。各カメラメーカー純正が無難のように思えるけど、さすがプロ御用達のジャンルだけあって、非純正でも動作確実かつ優秀な機種が多い。中にはモノブロックと呼ばれる大きな奴もあって、こいつにはカメラメーカー純正モデルってのが皆無だ。分散配置した複数のストロボどもをコマンダーで同時発光させるわけで、リモコンで同期してるぜ。ワンフェスなどのイベント撮影はスピードライトのお世話になるよ。普段は定常光で写してたとしても、イベントはスピードライト系が便利だぜ。洗練の進んだエレクトロニックフラッシュはどのメーカーも演色ほぼマックス良質光だから、機能レベルはともかく表現力レベルで外れを引く率は低い。LEDや蛍光灯ほどのリスクはないので、安心してお買い物しよう。
高演色LEDおよび蛍光灯は発展途上国メーカーを筆頭に自称がかなり紛れ込んでおり要注意だぜ。だから私はカラーマネジメントのシェアトップEIZOやノーベル賞受賞者を擁する米国メーカーSoraa、家電大手の東芝など、確実性の高そうなところをピンポイントで狙い澄ましてきた。演色性くらいカラーメーターで誰でも調べられるんで、嘘とかすぐバレちゃうのさ。ちなみにSoraaや東芝の演色は保証値だ。Soraa Vividは公称Ra95(最大100=自然光)だが、実際はRa96~98に達するし、東芝のキレイ色は公値Ra90のところ、実質Ra91~95をマークする。だからおなじ高演色でも、信頼度の高いメーカーと怪しいメーカーには格差があると見た方がいい。
撮影ブース
適当な机、適当な竿、適当な背景、適当な保持具。市販品でもいいし、100円ショップでもいい。安ければほぼ無料で揃うし、凝れば何万円もかかる。おおむね高価なもので統一しておくと、さまざまな配置や固定が短時間でサクサク決まってくれるわけで、金で時間を買うってことになる。カメラなどもそうだが、高価な機材はいろんな手間を時間レベルで短縮してくれる。暇をかければ安いものでも同様の結果を得られるけれど、やはり多くの場面でメーカーが開発してくれた専用品の工夫にはかなわない。しょせんこちらは何事も素人なわけだぜ。資金面で余裕があるなら、大人しくプロフェッショナルの果実を享受しよう。
繰り返すが写真を見る側はこちらの苦労など知ったことじゃない。短縮できる要素は金を払って短くしておくのが幸せだと思う。むろんみずから苦労を背負い込むのも、経験値を得るという一点において既製品の導入に優るだろう。何事も視点によってプラスとなりマイナスともなる。趣味である以上、正答はそれぞれの胸中だ。私は買って楽しよう派。理由は苦労してやり方を編み出しても時間が経てば慣れという弛緩の中で細部を忘れてしまいがちだからだ。初志貫徹とわざわざ熟語になるように、初心なんて忘れるためにあるようなものだ。それと同様に、完成まで至ったノウハウも記憶ごと薄れていく運命にあるし、誤解という恐るべき罠も潜んでいる。道具や作法本として買っておけば、内包された経験法則ごと手元に保存しておける。現在のレベルに達するまで10年以上もかかった下手の横好きタイプだからこそ、自分の能力なんかまるで信じていない。無能とわりきり、優秀なツールを素直に使いこなすほうが有意義だ。
背景(演出含む)
フィギュア写真の印象を決める、ライティングのつぎに重要とされる要素かな。背景紙や小物によるジオラマなど。色彩効果ってやつ。心理学的なものとかフィギュア本体の色などとも補色・近似色といったさまざまな関係もあるらしい。推定で流すように触れてるのは、この方面で私の知識や実践がいい加減だからだ。重要なわりにブログアクセスに寄与する比率は明らかに低い。やはりフィギュアそのものがなによりも第一だ。もし壁紙や小物がブログアクセスに大きく関係しているのなら、私は真剣に取り組んでいただろう。目的と手段を考えた場合、得があるかどうかでその知識を吸収するかが決まると思う。だからよつばとフィギュアの写真クオリティはゆっくりとしか上昇しなかったのだ。写真が下手な時期は、段階ごとにそのていどのレベルでアクセス的に十分通用してたってわけ。
SNSやtwitterでは、背景や演出は思った以上の影響があり、まちがいなく重要な要素だ。個人ブログとソーシャルネット系で反響に開きが生じてるのは、それぞれの媒体の違いが原因だと思うが、自身が深く関わってるわけじゃないので根本的な思考は放棄しておこう。とりあえずtwitterや画像掲示板を発表の場とするのであれば、背景・演出は照明よりも上位に位置する特別な項目に違いないのは、疑いようのない事実だろう。だがしかし個人ブログやウェブサイトでは一転してあまり深く考えなくてもよい脇役にすぎないと、そう思ったほうがいい。すくなくとも結果論的にはね。考える頭や理解が及ばずとも、客観的事実から傾向だけは掴める。それに従えば大きく誤ることはないだろう。むろん好きずきで不利な方面を貫くのも手だ。何事も突き抜ければ芸となり個性となる。ただ現状がそうというだけであって、過去と未来もおなじであるとは限らないのだから。
三脚
カメラの基本感度であるISO100とか200で写すには、露出時間が長くなるだけにブレ防止の三脚がいる。イベント撮影みたく手持ちで気楽になんて意見もあるけど、多くの人がフィギュアレビューを三脚立ててじっくり写してるわけで、手持ちでISO感度あげて写すとか、なんのために高い機材で高画質を求めるのか本末転倒だぜ。だから三脚は必須だと思い込もう。デジカメがどれほど高感度に強くなっても、ベース感度が一等なんだ。三脚そのものは安物でも高級品でもいいけど、フルサイズ機+100mm級マクロなら迷わず数万円するブランド品ね。詳しくは長くなるから省くけど、高い三脚は色々と凄いんだよ。APS-C以下かつ60mm級以下なら数千円ていどので十分かな。見栄で高いのでもいいよ大は小を兼ねるから。
リモコン
三脚で写すのにあれば有利なシャッター用アイテム。なぜ有利なのかは考えるまでもない、ブレ防止の防人。有線式と無線式があるけど、有線式はカメラの設定を変えずとも抜き差しするだけでカメラ側が自動でモード変更してくれる機種が多いので、考えずに済むって意味では便利かな。無線式はリモコン反応させるか設定変更が必要な機種が多い。もしその変更項目がメニューの深層にあると、切り替えとか面倒くさいぜ。そんな些細なことで撮影するかしないかが決まったりする。そういう意志力に弱さの自覚がある人は、いっそのこと両方とも買っちゃえ。
レフ板
お金をさほど掛けずとも写真クオリティを大きく向上させうる唯一といってもいい要素がレフだ。なくても別にいいけど、あれば撮影の幅がかなり広がるライティング用ツール。基本の白レフと黒レフ、銀レフ、半透明なやつとか色々。クオリティを安価に上昇させるが、撮影術や露出に関する知識がないと無用の長物となりかねない。だから導入するならライティングをしっかり習得する気でいよう。レフは適当にやっても失敗する確率が高い。自作でもいいけど、できれば市販のほうが効果は高いし色合いも正確だぜ。どうせ数百円と安い。
ホワイトバランスセッター
18%反射板とか言われるもの。白を50%・黒を50%混ぜれば反射率18%の灰色になり、それを発色決定の基準にすれば、全体が人間の色覚で期待される正しい色になる。芸術的な演出を除けばホワイトバランスはまず正確さが命なので、こいつは多少高価でもガチムチのプロ用を推奨する。いいかげんな奴を使うと、せっかくの写真が妙にズレたりして、損するだけだ。いきなり
X-Rite ColorChecker Passport といった1万円級のマクベスチャートを導入しようぜ。カラーチャート+グレーカードで馴らした色は見慣れないうちは違和感を覚えたりするものだが、演色不足の明かりに慣らされている弊害が原因だったりする。室内照明を高演色の良質なものに替え、モニターをカラーマネジメントモデルにすれば、次第にその色こそが真であると気付くだろう。自分の目をあまり信用しないほうがいい。たいていの場合、その勘は低品質の光や不正確なモニターによって狂わされている。私はその罠に陥り、ずいぶん遠回りしてしまった。
現像ソフト・画像ソフト
デジタルカメラだからデータはデジタルだ。jpgで出力するもよし、RAWデータから現像するもよし。少なくとも「色」にこだわるなら現像ソフトは必須になるし、事前に取得しておいたホワイトバランスを決定とする工程も現像にある。デジカメの画像エンジンって小さなカメラ単体に内蔵してるチップで処理してるから、PCソフトより簡易的だったりする場合もある。また写真にこだわるようになるとデジカメ開発者が決めたバランスで気に入らない部分が出てきたりもして、やがて自分の思い通りにコントロールしたいと考えるようになるだろう。そうなると現像ソフトを導入するしか手はないわけだぜ。慣れてくれば最終クオリティはカメラに勝てるようになってくる。よつばとフィギュアのレビュー写真もノイズの少なさとグラデーションやボケのきれいな遷移においては、カメラ側が提供するjpgを確実に上回っている。少なくともフィギュアに限ればだが。カメラの解答は不特定多数へ提示する模範解答のようなもの。萌えフィギュアという変わったテーマに特化するなら、それ相応のバランスがあると思うわけだ。
自作PC
最近は自作系で写真編集に特化したセット販売なんかもあったりする。ストレスフリーな写真環境にはすごいPCを用意するのなんて常識でもあるので、細かくは書かない。いちいち触れる内容でもないだろう。それっぽいパーツを組み合わせれば、自然と満足いくスペックになる。どんな店にもたいてい詳しいお兄さんがいるしね。わざわざ普段からPC雑誌を買ったりして知識を深める必要などないよ。組んでしまえば、つぎお世話になるのなんて数年後――下手すれば5年以上先だし。近年は処理速度のスピードアップペースが以前ほどじゃないから、組み直す間隔が長くてもあまり困らない。メーカーブランドといった既製品は満足できる性能に達してるモデルはお値段すごい場合が多すぎるので、個人的に奨めない。余計なパーツなんかもたくさん混じってるしな。自作PCならお邪魔要素も最低限で済むし、半額で同等の性能に達しちゃうんだぜ。
C-PLフィルター
円偏光。反射の影響を除去する効果があり、最近増えている瞳へテカテカコーティングしてるフィギュアの撮影を助ける。べつになくても困らないのは、プロの使用率が低いからだ。プロやハイアマによるライティングはたいてい濃淡や光量の多寡を演出し、それで視線誘導や印象のコントロール、メリハリや奥行き、さらに立体感を操る。まんべんなく均一に照らされたように見える照明ですら、表面反射のハイライトを被写体へ刻んでいる。わざわざ作った「反射によるメリハリ」を消してしまうに留まらず、C-PLフィルタは1灯ぶんの特定角度でしか効果を発揮できない。つまり2灯以上を同時に付けてしまうと、すでにC-PLフィルタの効果を一定に保つのが難しくなるのだ。ゆえに気難しい偏光フィルタを自在に操るなら、できるだけ1灯ライティングを覚える必要があり、さらに大光量の光源も確保しておいたほうが万事スムーズに進む。
保護フィルター
レンズの前玉を守るもので、あってもなくても良い。ただこれを装着しておけば、落下事故等のプレッシャーが軽減されるし、レンズメンテナンスも楽になる。私は防汚防滴コーティングの最高級品を使っている。おかげさまでレンズキャップほぼ要らず。
カラーマネジメントモニター
必須ではない。印刷しないかぎり、ウェブオンリーなら普通のモニターでもたぶん通用する……と思う。でも理想はEIZO社などの色管理用モニターがあれば、じつは目が疲れにくい。グラデーションの細かい部分調整なども楽だ。普通のモニターは性能の多くをいつも発揮してるけど、カラーマネジメントモニターは最高性能の半分ていどしか使ってない感じだったりする。自動車でいえば軽が高速道路を走るのと、普通車が走るのとでは、どちらが余裕を持つのかってイメージでいいと思う。余裕ある色作りと現像編集、さらに写真観賞のためにも、カラーマネジメントのモニターは地味に貢献してくれるぜ。購入優先度は低くていいと思う。もっとも真の色で自分の写真を観賞したいと欲するなら、早い内に買っておきたいものでもあるね。世間に転がってる液晶の99.9%以上で色がズレている。様々な理想値をしっかり調整・再現できるのがカラーマネジメントモニターだ。こいつの使い方だが、知らずにいると印刷前提のセッティングに誘導されがちだから注意だぞ。「ウェブ用」はまったく違ってて、フィギュア撮影での使用率なんてたかが知れてるから、マイナーなぶん検索エンジンの立場弱いんだよね。
色評価用照明
カラーマネジメントモニターを導入したからってまだ安心できないぜ。じつはモニター周辺の環境光が人間の目へ与える影響も無視できない。理想は部屋を完全に暗くすることだが、現実的じゃない。そのため用意すると快適なのが色評価用蛍光灯とか色評価用LEDという超高演色ランプだ。これがあれば工業規格的に正しいとされる色を部屋を明るくしたままで堪能できる。むろん必須じゃない。あれば良いという類のたらればツールだ。演色性能が天井に突くほど高いので、私は色評価級LEDの Z-LIGHT Z-80PRO を撮影用に使ってたりする。難関大学を卒業した秀才たちが何十年もかけて科学的に追求・策定してきた規格へ準拠してるだけに、すこぶる良好。アマチュアが個人の努力でヘトヘトになってゲットした色作りの領域なんか容易に突破してくる。
集団の智は偉大だ。デジカメの決める色が工業規格を基準としてるので、おなじく工業規格に沿ってるなら発色が素晴らしい結果になるのは自然なのだ。東芝キレイ色などを推してるのにもそういった背景がある。規格系のスペックは虚偽記載でない範囲において信用に足る。撮影グッズ系の広告で甘美な煽り文句など一切無視せよ。信頼できるのは入出力デバイス間の相性を占う「規格」群にどれほど素直かどうかだ。照明器具やデジカメが共通規格外の要素をどれほど盛ろうとも、現像ソフト・画像の仕様がそれに非対応であるなら、どこまでも絵に描いた餅、逆もまたしかりだぜ。賢い消費者でありたいが、失敗しつつ次第にベターへと寄っていくのが現実だな。この講座モドキがそれをすこしでも緩和する一石になれば幸いだ。
総括
今回はこれで終了とする。東方光画機というツール視点のコンテンツがあったから一家言のごとくスラスラ書けたが、具体的な技術論になると果たして私のレベルで執筆できうるのだろうか。今後どう展開するか未定だぜ。もしかしたら永遠にこれで終わりかもしれない。