短時間で済ませたいけど、出来るだけ綺麗な写真にしたい。そんな話。
定礎2005年3月27日。これ書いてるのは2015年3月20日だ。
あと一週間でサイト運営10周年なので記念的な企画っぽいものを。アイコンも10thと軽く飾ってみた。
よーしっ、うちのレビュー作業の一部始終を記録してみるぞっ! 全20工程だ。
工程1:前回撮影の撤去
まずは片付けだぜ。画質が悪いのは許せ。ツールが減ってしまい、まともなカメラがDfしかないのだ。スマホだと画質の「格差」が大きすぎるけど、画像処理で一眼的なボケを強引に演出してる。コンデジにもわりと搭載されている機能だ。
照明器具と三脚とカメラをのけた。つぎの撮影まで片付けないのは、追加撮影に備えての保険だ。このサイトの「案内」には撮り直しをしない方針と書いてるが、「追加」はべつの話。元ネタを知らないフィギュアも多いので、撮るべき「お決まり」を抜かしがちだ。
工程2:背景選択
壁紙の取り替えだ。色は適当に選ぶ。基準はキャラの髪の色、箱の色、作品のイメージなど。補色とか専門的なことは聞きかじったていどで記憶の片隅に置いておく。あまり重視しない。写真の綺麗なブログはこの選択作業だけで下手すれば1~2時間とか掛かるらしい。「試し撮り」と呼ばれる工程だ。うちで試写はたまにしかやらない。
工程3:ブースのセッティング
ライトの基本配置はおおまかに決めておけば一瞬で終了だ。私の場合は30秒と掛からない。上にRIFA-F、左右にPHOTOLA。この3つがメイン光源となる。左右や下に補助としてスポットライトがずっと固定。光源は最大で7灯まで増やせる。こだわる人はこの作業に数十分から1時間以上かかる。
工程4:カメラのセッティング
かつて2台で行っていたが、いまカメラはニコンDfのみ。レンズはマイクロ60mmとマイクロ105mmの等倍マクロコンビだ。ナノクリで逆光に強い。8~9割は105mmで写す。こんな大袈裟なカメラやレンズは大半の人には不要だ。適当なデジカメや適当なマクロレンズ、極端な話スマホでもいい。ただし解像感や色乗り、ノイズ量、色再現、逆光耐性、露出の安定度など、細かい部分ですこしずつ差が出てくる。画質レベルでの最強はフルサイズ機+高性能マクロだが、個人的にはコストと画質と利便のベストバランスはおそらくマイクロフォーサーズからAPS-Cだろうと考えている。フルサイズ機はいくつかの理由により撮影時間が長くなる。ブレとか。
三脚がずっとブース前に居座ってるので、カメラ設置は短時間で済む。カメラから生えてるヒモみたいなやつはケーブルレリーズという奴で、20世紀の遺物だ。カメラのブレを防ぐ。オールドスタイルの流行により、フジフイルムを中心として装着可能なデジカメが増えている。
工程5:箱撮り
明かりを付けて撮影開始。箱への写り込みなどを見て角度を微調整したりする。
1mくらい離れている。厳密な構図が必要な箱は、背面液晶を付けて写すことが多い。
箱が大きくなるほどカメラはどんどん後退する。後方は3mまで開けている。特大の箱ならマイクロ60mmにバトンタッチする。凝っているレビューブログではインナーブリスターなども細かく撮影するが、うちでは時間節約のため撮らない。
工程6:ホワイトバランス取得
箱撮りで照明の強さや距離・角度が決まってから行う。実際の撮影工程をひとつも経ずにやると「情報が狂う」おそれがあるからだ。
調色は屋内撮影の基本だ。手抜きしまくる私ですらこの作業は抜かせない。デジカメの画像エンジンは屋外では正しい色に写ってくれるが、屋内はさまざまな理由により無理。短時間で済ませたいといっても「綺麗」さが欲しいなら、カラーチャートやグレーカードなどで補う必要がある。使用してるのはプロ用だ。この辺は「短時間で綺麗」のため、妥協はしないほうがいい。
工程7:全身撮り
どのレビューブログ/サイトでもたいてい行ってるのが全身の写真。アート的な写真しかない場合はレビューとはいいづらいかも。照明はスポットを除いて「ブツ撮り」用の専門器具だ。RIFAは割高なプロ機材を使ってるし、フォトラもメイドインジャパン。ネットを見渡せば中華製の安物では満足な効果を得られないという報告がたくさん出ている。自作のほうがマシとか。短時間で綺麗に撮りたいなら、照明は「日本製」の「専門器具」をオススメしたい。なおプロ用を謳ってる紛い物もあるので注意だ。レンズでも「プロ~~」とあるが実際にはプロは使ってないという誇大広告も多い。その商品が本物かどうかは、ある方面に特化してかつ写真の綺麗な人が使ってるかどうか、それを調べるだけで良い。私もそうやって確かめて買った。どの道でもそうだが、広告収入目的でまとめた講座サイトはあまり役に立たない。実際に買って常用している人を見るのが近道だ。
露出を「実際」にすればこんなに明るくなる。メイドインジャパンの威力だ。汗を掻くほど温度が上昇するぜ。私のレビューは影の使い方が適当で、ほかのレビュアーと比べてかなり明るいらしいが、まあこんな光で写してるしね。フォトラの角度は片方が斜め前45度、もう一方を真横に置くことが多い。光量の調節はフィギュアとの距離や前後運動で行う。上にあるRIFAも高低で光量調整を行う。どのようなときどのくらいの感じでいいかは、体で覚えていくしかない。私はほとんど勘だけでやっており、理論とか理屈とか知ったことじゃない。たとえば背景紙へ光が当たるのはダメらしいが別に困らん。
今回の全身撮り、フィギュアからカメラの根元(イメージセンサーの位置)までの距離は64cmだった。コンデジで写してる人がこれくらい離れることは滅多にないだろうけど、じつはフィギュアから離れて望遠で写すほどフィギュアが引き締まって見え、ボケも美しくなる。接近して広角ぎみに写すと短足に写るわ、頭でっかちになるわ、いろいろと失うものもある。不便と引き替えに得るのは表現力だ。
撮影中の掃除も大事だぜ。どうしても静電気などでホコリが付着する。やりすぎると壊したりするから注意。
こんな感じ。全体が明るいスタイルは少数派なので、あまり参考にならないかもだけど。
工程8:印象撮り
掲載枚数はいつも少ないが、意外に時間を食うのがこの工程。私の場合は全身撮りとアップ撮りの間に行うことが多いし、こういう写し方がメイン活動の人もいる。下の一枚はスポットライトを横のやや後ろから、フォトラのひとつを斜め後ろより当てている。RIFAとフォトラの一方は消灯してその場に待機。レフ板として働くので角度や位置の調整を行う。なおこの状態をコンデジで写すと、ど派手なフレアが発生してしまい使い物にならない。高価なカメラやレンズで写すのは、どんな光にも耐えてしまう保険もある。高すぎるのも難物で、レンズの味を高度に追求するタイプのマクロレンズ(カールツァイスなど)は、描写力およびお値段を対価として最大倍率や逆光に弱くなる傾向がある。5~10万円くらいの中間価格帯に位置するマクロレンズが実用性に重きをなし総合性能で優れていることが多い。
こんな感じ。いつも勘だけで写すのでかなり適当。理論を理解し、しっかりと理詰めで撮る人もいるがそういう上手いレビュアーはたいてい撮影だけで半日とか、現像もまる一日とか、そういう「ゆっくり」なレベルだ。私のフィギュア購入ペースではサイト運営が完全に破綻するので、真似など死ぬほど努力しても不可能だ。光や色のコントロールとは本来、それだけ大変な世界らしい。
これも印象撮り。フォトラの位置を細かく微調整して一分ほどかかった。
目的は銃の輪郭を明瞭に出すこと。背景が暗いので照明で浮き出るよう誘導した。私は写真が下手と言われてるが、短時間で写すしかない環境だから「それがどうした!」という心境だ。時間が足りないなりにこういう地味な努力もやってる。印象撮りのパートがあるのは「ちゃんと考えてるよ」とアピールしたいのもある。レビュー1~2枚目はたいていこういう撮影ぶんだ。
レビュー撮影中レンズ交換は頻繁に行う。足下にはいつも布などを敷いてあり、レンズ落下に備えている。かつてはレンズマウントが痛むのでは? ホコリがミラーボックス内に入るのでは? と考えていたが、しだいに悩むのがアホらしくなってきた。たとえばバヨネットマウントのパーツ価格はたったの1500円であり、カメラやレンズ内部も駆動によるメカニカルダストが日々発生している。
マイクロ60mmで大きく寄せた。光量を稼ぐためフォトラもにじり寄る。
想定通り、ロリを強調する「頭の大きい」一枚を得られた。画角が広くなるほど構図の四隅や相対的に近くにあるものが大きめに写るようになる。
工程9:パーツ撮り
全体ではなく部分を見ていくパート。
これはネコミミを見せるための一枚。こういう写し方をする人が減っている。かつてはレビューで一般的だったが、最近では顔・胸・腰・パンツなどに集中している。おそらくモニターの解像度が上昇し、あえて部分にクローズアップしていく必要性が低下したからだろう。またブログでは数百キロバイトからメガバイト級の大きい写真をアップしていく傾向もあり、容量的な問題から撮影内容から外される。
パーツ撮りでは絞りをぐんとあげていく。F値と呼ばれるもので、数値が大きくなるほどピントの合う範囲が前後に伸びる。フルサイズ機になれば下の写真のようにF18といったコンデジではまず見ない数値がわりと普通になる。ときにはF40台、F50台も使う。
ニコンDfはL型ブラケットに固定され、クイックシューを横と真下に付けている。
縦構図と横構図を短時間で切り替える。一回の撮影で何度も行き来する。
カメラ側の操作でよく使うのが絞りの変化だが、つぎに多いのが露出補正。ダイヤルをくるくる回す。オールドスタイルのカメラは露出専用のダイヤルを用意してることが多く、この操作がわりと楽しい。
箱撮りや全身撮りでは液晶画面で写すことも多いが、それ以外は光学ファインダーを使用する。通常であれば一回の撮影にだいたい1時間は掛かるため、スイッチオンのまま電池をほとんど消費しない光学ファインダー機はかなり便利だ。ミラーレス機やコンデジはコンセントに差し込める外部電源を用意したほうが快適な長時間撮影に挑めるだろう。オプションだし機種によっては万単位だが。ここは一眼レフが有利なところ。
工程10:PC取込
さて撮影が終わったぜ。RAWデータをPCに取り込む。色作りを行うのでjpgは使わない。フィギュア撮影の「短時間で綺麗」をjpgの撮って出しで得るのは、野外撮影を除いて困難だ。屋外であればカメラの指定する色も正確になってくる。
工程11:色作り
現像ソフト(ニコン純正のNX-D)を立ち上げた直後。下の写真を見れば、「撮ったまま」の恐ろしさが分かるだろう。私の撮影ブースは人より明るくするが、それは背景からの反射を拾って色被りが起こりやすいことも意味している。この酷い状態から「使える」写真へと加工していくには、手を加えるたび情報が劣化していくjpgではいけない。RAWは「無加工」を意味してるらしい。カメラに任せず人間が手を加えていく、そのためのフォーマットだ。
さあここで、カラーチャートの出番だぜ。
おっと、その前に保存してある調整を読み込む。私の場合は「フィギュアレビュー」「風景」「イベント(フィギュア)」の3種類しか用意してない。作業時間を短縮するためだ。ISO感度50でもISO感度51200も、おなじ調整から微調整していく。
本来なら不可能な広域調整だが、シャープネスや輪郭強調を切ってるから実現できた。じつはこれだけでノイズが減るのさ。あとノイズの少ないフルサイズ機でしかうまくいかない。すくなくともD7000では無理だった。シャープを使わないのはボケを良くするため。安価レンズだとボケ部分にエッジが乗りやすく、シャープ処理が勝手にボケの煩さを強調してしまう。しきい値で管理できるものでもなく、アンシャープマスクとかでは防げない。
追記:現像時シャープゼロ、現像後にシャープマスクの流れはプロにもやってる人がいた(しかも複数)ので安心した。
私の色作りは単純だ。セオリーとかプロの技とか無視して、素人のやり方しか使わない。ホワイトバランス調整で「グレーポイント」を取得する。撮影時にカメラ側での取得も可能だが、PC側でやったほうが微調整も含め幅広い色作りが行える。なお肌色の調整もカラーチャートを元にしたりする。
ホワイトバランスはチャート以外からも取得できる。白いところ、灰色であれば良い。私はいつも複数の対象を用いて比較する。
今回の場合はカラーチャートがあまり色被り「しなかった」ので、補正に失敗したぜ。レビューにおけるホワイトバランス調整とは基本的に「屋外晴天の光で見える感じにする」行為で、取得対象となる指標が「きちんと色被り」してるほど「正しく補正」される。あまり変わらないのは「失敗」の証拠だ。じつはこれ、カメラ側で色を取得しておくと、成功か失敗かが撮影中にすぐ分かる。ただ私の場合は時間節約のため一発撮りしかやらない。
ここはきちんと「保険」を用意しているので、一発撮りでもOKなのだ。カラーチャートほど正確ではないが、周囲の色の影響を確実に受ける「灰色」がいつもレビューに混ざってる。よつばちゃんアクションフィギュアの胸だ。下のようにきっちり仕事をしてくれた。
微調整してこうなった。色作り作業では同時に露出補正やトーンカーブ調整も行う。ひとつの調整値でレビュー全体に使い回すこともあるし、いくつか色を作ることもある。この作業は早くて1分、手こずれば私でも1時間はかかる。面倒だがこんなんでも色管理のプロやハイアマチュアから見れば、プロファイルすら使わない時点で「超手抜き」だ。私がなかなか高価なモニターやそういう方面のソフトを買わない理由でもある。それだけ色作りは本格的になるほど無限の時間を必要とするようになっていく。
工程12:トリミング
いわゆる切り取りだ。この作業を行うレビュアーはきわめて少ない。10年もの長期間に渡って常用してるのは、たくさんいるフィギュアレビュアーでも私だけだ。構図が崩れるし、人によっては嫌悪しか持たないだろう。でもこの工程にも私なりの根拠がある。理由はあとで分かる。
なお「印象撮り」の工程で写した写真はトリミングの対象外だ。下手なりに作品として写してるから、トリミングはできない。
工程13:現像
複数指定して一気にバッチ処理を行う。機能の限定されるNX-Dの役目はここまでだ。高度な現像ソフトならさらにこの後の工程も可能だ。現像では縮小といった劣化指定は行わない。等倍のまま、最大サイズでTIFF形式に現像していく。最高でおよそ50メガになる。
工程14:縮小
フォトショップ・エレメンツを立ち上げ、いきなりバッチ処理。大きくトリミングしたものを除き、現像したばかりの写真を60%のサイズへと縮小し、BMP保存する。これは経験則から至った工程。30~50メガものファイルを加工していくのは、メモリなどへの負担が大きいのだ。ちょっとした一時停止でマウス操作を誤り、変な調整や数値を入れてしまう。その事故に気付かず保存……なんてしたら、また現像からやり直しだ。なおBMP化によってさまざまなデータをわざと喪失させている。
最高画質を得るなら縮小は論外だが、私の主旨は「短時間で出来るだけ綺麗」なので、この行為を正当化できる。NX-Dで縮小しつつ現像しないのは、トリミングサイズに差があるため。大きくトリミングしたものを縮小現像してしまうと、劣化が激しくなる。
工程15:並べ替え&リネーム
ネットへのアップが目的なら、きちんとした整列と個別の命名が必要だ。この作業には画像閲覧ソフトを使う。私はViX(開発終了2002年……)をずっと使い続けている。このソフトの軽快さに慣れてしまった。なにせ10年以上前のソフトだから、いまのPCであれば超絶高速! たまに新しいソフトを試すが、結局ViXを選ぶ。
工程16:レタッチ
時間がないときよく省略する工程だ。いろんな作業があるが、おもな内容は掃除。フィギュア表面のチリなどを画像加工で消していく。最近のレビュアーにはこれをばっさり無視する人も多い。時間かかるしね。
こんな感じで修正しまくる。数十枚すべてで当然のように行う。短時間で綺麗に……の主旨に反してるように思えるが、いざ自分でホコリの浮かんだレビュー写真を見てどう感じるだろうか? 人によってはこれは絶対に省略できないパートだ。なお最初からフィギュアについてる傷や色移り、設計上の限界や欠点によって生じてるものは修正しない。それは正確な情報の伝達に齟齬を来たし、レビューの意義に反すると考えている。
工程17:変形
ティルト・シフト的なもの。フィギュアレビューではおもに箱に対して行う。
野外撮影では建造物に対して常用する。後出しで迫力を出したいときもこの工程を通せば楽勝だ。
工程18:シャープ処理
現像時にシャープや輪郭強調を行わないので必須となる。萌えフィギュアだと文字部分や顔に対して、あるいは微ブレ救済やピンボケ補正で使う。
単純に四角形のエリアを指定したり、時間があるときは細かい領域を選択したり。目の部分にはたいていシャープを掛ける。フィギュアを見るとき、多くの人が注目するパーツだから。
追記:私とおなじやり方をしてる人をプロで複数確認。ハイアマではもっと多く、意外とポピュラーな方法だったみたい。現像ソフトでシャープの管理をしても、「どの順序」で処理されるかで結果が違ってくる。後処理で局所シャープを行う人は良好なボケや高感度特性を重視してるので、ノイズリダクションが「確実」に先行処理されていないと、欲しい結果が得られない。なお全体の解像感を整えるための最終仕上げとしてアンシャープマスクを掛けるのは、アマチュアでも普通の作業だ。私はこれを局所に限定している。
工程19:jpg化
公開するjpgを生成する大事な作業だ。すべてがここで決まる。私はこのレポ時点で藤-Resizer-を使っている。
このソフトの利点は、私の「シャープ放棄現像」を補うjpg出力アルゴリズムを持っていること。Lanczos法といい、輪郭強調を自動で行ってくれる。シャープ掛けはレタッチ時に可能だが、輪郭強調のほうは無理なので助かる。jpeg画質は以前から94と高い位置を選択し、Lanczosの補間は最低の2で留めている。
理由はこれだ。通販サイトあみあみの商品写真。一見ではとてもシャープに見えるが……
jpegの圧縮率を高め(データ量が減る)にしてるため、モスキートノイズと呼ばれるいやなノイズが多めに発生している。さらに縮小補間の数値を高く設定したため、輪郭がドット単位で浮き出て二重になっている。ここまでデジタル感に溢れてしまうと、大型センサー機の利点も失われ、コンデジにシャープを掛けた絵とあまり変わらない。転送量が膨大でデータの質に制約の大きい通販サイトなりの悩みだろう。
アクセスの少ない個人サイトでは転送量も少なく、こだわれるので思い通りの絵に持って行ける。Lanczos補間のおかげできちんと輪郭が出てる。jpeg画質も高いのでモスキートノイズは最低限だ。
ただしシャープネスなしの現像はカバーしきれず、「眠い」感じは拭えない。下はjpg出力を4倍ほどに拡大したもので、倍率条件はあみあみの例とおなじだ。さすがにLanczos補間の成果も喪失する。これはボケ味を求めた代償だ。両立は可能だろうけど処理に時間と手間がかかる。時間のない私は解像をあきらめノイズレスとボケを選んだ。1600万画素のDfは元から解像を求めるモデルではないので、その道を突き進んだまで。数万円もする高性能ローパスフィルタをわざわざ積んで解像力を消してるほどだ。これも「失敗」を減らすプロ仕様のイメージセンサーを採用してるから。高解像はデジタルに由来するさまざまな欠点を強調してしまうので、どのメーカーもガチプロ機はローパスフィルターをなかなか外さない。
最終出力ファイルが揃ったぜ。サイズには何年も前から決まってるマイルールがあって、箱が縦600ピクセル、絵が800、全身撮りは立ち姿フィギュアの身長「換算」にて一枚目縦900、顔がこっち向いてるの800、うしろ700、ミニフィギュアは各マイナス100、座位はマイナス100、さらに小さなフィギュアはマイナス100~150。つまり余計な羽根とかでかい台座があれば掲載用の写真サイズはどんどん拡大する。ノートリミング印象撮りは短辺800ピクセル固定、ミニフィギュアは長辺800ないし短辺600。パーツ撮りはバストアップ縦800だがパーツ等あれば伸びる。細かい部分は長辺800基本で600ないし1000を使い分け、ミニフィギュアは600基本に450と800。ぱんつ撮りなどエロ部分は全身が縦900ないし800、アップが1000基準で1100ないし1200へ拡大。横は2000ピクセルだろうが3000ピクセルだろうが構わず。記事用のアイコンは160×100の黄金比だ。かつては100×60くらいだった。
縦横の比率もサイズもさまざまな大きさの写真を並べるため、Asahiwa.jpでは当初から左詰め右開放レイアウトを採用している。ここでトリミング原則の利が生きてくる。下を見て欲しい。28個の画像があって、たった2.11メガバイトしかない。画質94という圧縮率の低い、データ量が大きくなる設定で出力して、2メガに抑える。いまどきのフィギュアレビューはちょっとしたブログの写真をクリックしてサイズ確認すると、簡単に1メガに達したりする。10メガ20メガのレビューも普通に見かける。うちでは撮影段階からパーツを切り取り、さらにトリミングしまくって被写体をできるだけ大きく見せようとしてるから、データ量の少ないレビューが可能になっているし、ブログで一般的な「縮小サムネイル」を不要とするし、無線環境のスマホでも早く表示される。このメリットは絶滅危惧種の手打ちHTMLサイトでないと活用しづらいからか、ほかに誰も真似をしない。
工程20:記事編集
あとはホームページ・ビルダーへコピー&ペーストしてタグ化すれば終わりだ。ビルダーへのサイト登録は行ってない。ソフトのチェック機能が働くとフリーズして永遠に動かなくなるほどファイル数が増えてしまった。
こうやってレビューが完成する。撮影1時間、現像&レタッチに1時間、出力&文章などに30分。だいたい2時間半くらいが最近の標準だ。普通の人から見れば「時間かかってるな~!」と思うだろうけど、これでも高画質を得ようという試みでいえば大胆に手抜きをしまくっている。フィギュアやドール写真の世界では、撮影だけで日が暮れるなんて良くあることだ。
以上、参考になるか疑問ばかりの内容になってしまったが、短時間で出来るだけ綺麗に済まそうと手抜きしまくるマイルール大量レビュアーのやり方を紹介した。繰り返すがこの方法はそれなりに手間が掛かるけど、それでも「手抜き」なのだ。あちこちの話を聞けば、プロの現場はそれはそれは凄いことになっている。
※追記(3/24)
正しいとされるやり方に挑戦し、あまりの下手さに失望した。やるべきことを無視してきた経験不足が祟っている。この記事で紹介した私のやり方は無意識によって選択された「手抜き」の集大成だったんだぜ。まず「明るさの確保」によって光のコントロールを誤魔化し、明るさや単色背景などによる「光の均一化」によってホワイトバランス調整を「1枚」で済ます。光と色はフィギュア撮影の最重要な要素だ。カメラやレンズなんて4~5番目以降なのに、私はどうでもいい部分しか見てこなかった。だが正しい方法はとにかく時間がかかる。なにが正解か分からなくなってきた。
※追記(6/5)
このままではいけないと思い、細かい方法をどんどん変えては戻しの繰り返し。思い込みで停止するのは悪だ、実際に試さないと勉強にならない。
詳しい人と話をする機会があった。発色へ徹底的にこだわるプロは「引き籠もる方面」に限られるそうだ。中にはレタッチや発色調整を請け負う「プロ」すらいる……待てよ? それってカメラやレンズが減っても活動レベルで困らなかった、フィギュア撮影こそメインの私も籠もる側ってことじゃないのか?