レンズ交換式カメラの変遷。スケールほぼ1/3。
ニコン機のミニチュア模型カメラシリーズとして珍しくまとまった規模。全4種。
ラインアップがちょうど戦後カメラ史を振り返るような内容だったので、おまけとして二眼レフを用意。
新タイムスリップグリコ第4弾(2003/09)より、ローライフレックス(Rolleiflex) 2.8F。1960年くらい。
二眼レフ機の発明は1882年と古い。一般的に日本で知られる二眼レフ機の外見は、戦後にドイツが開発・発売したものと、それを日本国内メーカーが模倣したコピーモデル群。
上のレンズで覗いて構図を取り、下のレンズで写す。
いまでも現役で愛好家がいるし、たまに新機種が市場へ投入されてる。同時期というか二眼レフのちょっと前が全盛期だった蛇腹なスプリングカメラと違い丈夫で長持ち。そのぶん可動機も多い。
Nikon SP:W-Nikkor 3.5cm F1.8 (1957)
レンジファインダーカメラ。この小さい機械で三角測量を行い、その結果を結像という形でファインダーに映し確実なピント合わせを成す仕組み。測距装置が付け外しだったり一眼式があったり二眼式だったり経緯が複雑なので、世界初とか発明~は明記されないようだが、とりあえず一般販売の形にまとまった実用品だと1932年くらいのライカが初っぽい。
レンジファインダーの測距システムは仕組みが複雑でかつ高度な技術を求められ、その流行に大半のカメラメーカーが対応できず消えていったとされる。二眼レフや蛇腹カメラを作ってた工場など。2004年くらいにデジタル化(※エプソン)され、いまでも現役(※ライカ)なシステム。
Nikon F:Nikkor-S Auto 55mm F1.2 (1959)
二眼レフとレンジファインダーがそれぞれ短い全盛期を送ったのち、戦後の世界で久しくレンズ交換式カメラの覇権を握った一眼レフ。発明そのものは1880年代と古いが、戦後しばらく他形式の後背を拝していた。
発明が早いのに隆盛はずっと後というのは、まるで電気自動車みたい。フィルムカメラ愛好家がもっとも選択するのも一眼レフ。一眼レフは日本のカメラ産業を世界独占レベルへと一挙に押し上げた。
友情出演 Nikon D7000 USBメモリ(2013年発売、D7000実機は2010年)
商用デジタル一眼レフは1991年に初登場。一挙に広まったのは2000年代前半。ミラーレスまでのつなぎ、過渡期の技術。普段の消費電力を最低限に抑え、撮影する瞬間だけ大きく通電する技により、バッテリー容量のわりに圧倒的な撮影枚数を誇る機種が多い。短期間でつぎつぎと細かい仕様が追加ないし削除され、完全デジタル化への技術蓄積と検証が果たされた。なおオートフォーカスや電動ズーム、手ぶれ補正の発明といった超重要な電動技術の実装はデジタル化前にすでに起きてた変化だが、今回の模型ラインアップで語ることはできない。
Nikon Z 9:NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S (2021)
おなじみミラーレスカメラのフラグシップ。2025年時点でレンズ交換式カメラのメインストリームになったこのタイプの発明というか市場投入は、2008年のマイクロフォーサーズ。理論上はコンパクトデジタルカメラが登場した瞬間から開発可能だったが、デジタル一眼レフがあまりにも高性能かつ安くなりすぎて、可能だが製品化されない時期がつづいたみたい。メーカーも企業秘密は隠すので情報が錯綜しているが、ミラーレスの登場はすくなくとも2008年までかかった。
どうでもいいけどNikonミニチュアコレクションはみんなシャッターを押せる。ちゃんとスプリングで押したのが戻って来る。
Nikon Z fc:NIKKOR DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR (2021)
真似っ子の系譜。ミラーレスにはカメラの形状に囚われない利点があり、往年のフィルムカメラの形やデザインを真似るのが得意。いまや一ジャンルとしてけっこうな勢力を誇る。とくにフジフイルムに至ってはラインアップのほぼ全機種がオールドファッション系統。
ミラーレスの一眼レフもどきはもちろんガワだけの真似っこだし、おなじくミラーレスのレンジファインダーもどきも一部超高級機種(ほぼライカ)を除いてだいたい真似っこ。ヘリテージデザインレンズ交換式カメラの登場はミラーレスの発明とほぼ同時。
ミラーレス初期には有名デザイナーを起用した変わりデザイン機なども登場したけど、さほど根付かなかった。唯一成功したといえるのがこのZfcのように昭和のフィルムカメラを彷彿とさせるタイプ。Nikonミニチュアコレクションは下のようにレンズ脱着可。ボディキャップつき。
以上、レンズ交換式カメラの戦後史みたいな流れで紹介。製品名称や呼称などを決めてる団体によれば、ミラーレスデジタルカメラは将来、単純に「レンズ交換式カメラ」と呼ばれることになる可能性が高いらしい。ミラーレスもデジタルもあまりにも普遍化し、市場の100%にまで達すれば、わざわざ呼び続ける必要もないということか。