光学ファインダーの生存戦略。 チョイスしたのはブラックモデル。3月くらいに発売されたけど、品薄すぎて高額転売が横行。 ようやく適正価格で入手できたのは半年後だぜ。それでも円安と高画素化で前機種より大幅値上げ。 いまやデジカメの大半で消失した光学ファインダーを、いまだに残してくれている稀有なシリーズのひとつ。被写体をそのままの光で視認する。このファインダー、格安なトイカメラに多いただの素通し窓と違い、確実な撮像範囲から距離まで同時表示してくれる賢いやつだ。 オールドテイストなデザインだけど、一眼レフ系統ではなく、レンジファインダー系統のデザインおよび機能を再現する。レンジファインダーは一眼レフ機の前に流行ったカメラだぜ。レンズは換算35mmの単焦点レンズ。広すぎず狭すぎず。 撮影モードは専用ダイヤルが存在せず、各種ダイヤルのA(オート)と非オート、C(コントロール)と非コントロールの組み合わせで自動的に決まる仕組み。フジフイルムがX100シリーズを始動するにあたり、自社のフィルムカメラで開発していた特許を再利用したもの。一見すれば不便だが、撮影体験という付加価値をX100シリーズへ付与することに成功している。 レビュー時点で所持するカメラ専用機は2台とも懐古趣味のヘリテージデザイン。設定によってフィルムカメラ時代の操作性を再現できるし、現代デジカメとしての操作性も有する。どちらでも良いし、折衷した混ざりものも選べる。気分次第。センサーサイズはZfがフルサイズ、X100VIがAPS-C。 正面から見たサイズ感は似たものだが、厚みはニコンZfのほうがあり、軽量レンズ込みで250gほど重い。写真機としての基本スペックはZfのほうが格上。X100VI側で勝ってるのは画素数と最高シャッタースピード、フィルム再現の幅、ストロボ内蔵、NDフィルター内蔵などで、項目数としてあまり多くはないが、遊び心をくすぐるニッチ狙いみたいな印象。元よりニコンは基本をしっかり据えるお固いメーカーだし、個性がはっきりしてて良い。 X100系統のファインダーは、光学と電子の両方を表示できる。光学のときは、実像がどの範囲に写ってるかを補正した枠を表示してくれる。使い分けは気分次第。 横。フード等のオプションパーツを外せば2cm以上縮みコンパクトになるけど、事情によりつけっぱなし。 背面。誤操作をできるだけ防ごうというボタン配置になってたりするが、人と違う変わった持ち方や癖があればあっさり間違ったボタンを押して設定が変わったりするので注意が必要。これは大半のデジカメに共通するもの。上部ダイヤルには誤回転防止用のストッパーや引っかかりがあるけど、ボタン類では押し込みの深さで予防する以外に対策は難しい。 オプションパーツの事情だが、ホコリ混入を防ぐためだぜ。前方はフードおよびフィルターアダプターとフィルターで防御、後方はファインダーへの混入原因と目される視度調整ダイヤル周りをテープでマスキングしガード。さらに専用ケースに収納し、使うときだけピンポイントに取り出す運用で日常的にホコリより遠ざける戦略。過保護になってるのは、前機種からいっきに10万円も値上がりしたせい。もはや高収入お大尽さまでないとラフに扱えるカメラじゃなくなった。私は背伸び小市民側。 それ以外の小物たち。みんな社外製という。純正より高性能だったり。 ところでフードの特徴的な後部スリットは、軽量化やデザインではなく、レンジファインダー用レンズの実用機能。すこしでも広い範囲を見たいというユーザーの希望に応えた工夫だぜ。 レンズへ付けるキャップは、いつもならニコンのものへ置き換えていたが、今回はフジフイルムのものを使用。ニコンZfと同時におなじ現場で使う気がないので。最初から別々の出動と相成る。 このたびX100VIを導入した最大の理由が、スマホ。下はX100VIで写したラーメン。 おなじものをスマホで写し、PCで時間をかけ現像したもの。PC用のおおきな画面だと、写りの差がはっきりわかると思う。端的にいえば、物足りない。RAW現像ですら物足りないんだから、JPG保存であればなおその開きは出てしまう。 チーズ牛丼での撮り比べ。X100VIは無難にきれい。 今度はレンズの格差が示されてしまった。スマホで見ると違いはわかりにくいだろうが、PC画面で2K表示すると、スマホのほうは四隅のボケが流れ、端近くはガチピン箇所すらブレてるように見える……ゆえに早々に最新スマホへの期待はなくなり、外出用カメラを求めてX100VIを選ぶに至ったと。 X100VIは4020万画素機。そのぶん大きくトリミングできる。 レビュー時点でうちの掲載サイズは長辺1920ピクセルの2Kサイズ。それが元データのわずか6%の領域で成立する。94%のエリアを捨てても拡大しなくて済む4000万画素。もっとも、X100VIの価格を大きくあげてしまったこの高画素センサーが生かされるシチュエーションは、あまりないけど。 実際の運用においては、レンズ固定のX100VIが苦手とする広角と望遠を、いつも持ち歩くスマホで代わって写す。RAW保存できるスマホとの連動で、画質格差を最小限に抑えて幅広い範囲のものをできるだけ高画質で確保する。 いちおう等倍トリミングでスマホの望遠端とほぼおなじ領域を得られるけど、情報量はスマホ望遠のほうが多いし、望遠レンズを内蔵するスマホがあるなら、遠方はそちらで写したほうがいいだろう。 X100VIはストロボも有する。Zfなら外付けでないと無理。暗所での発光機能の便利さはいうまでもないので撮影例はカットし、ここでは明るい場所でのストロボの意義を。太陽光下でストロボを炊いても意味は薄いが、演色性の低い屋内環境でストロボを補光すれば、陽光のもとで写したかのような発色になってくれる。ストロボは太陽光を高度に再現してて、人間の目でもっとも自然に見える色調および色乗りバランスで写る。 X100VIの逆光テスト。強い光線ではゴーストもフレアも生じやすいが、意図的に特徴として残している。 ニコンの高級レンズだと難しい虹色のゴーストが容易に得られる。虹色のアークがきれいに整っていることから、レンズ表現としてアリなものだ。プロの使用を想定したニコンの高級レンズでは、商業撮影の現場で許されないゴーストやフレアを徹底的に排除する。だがX100VIは最初から余暇的な趣味のツールであって、レンズの欠点が表現技法に転化される写し方にもってこいだ。 高感度にも強い。シリーズ初となる手ぶれ補正の採用により、暗所撮影での使い勝手が大きく伸びた。 高画素機だが暗所撮影は普通にこなせる。さすがに低画素&フルサイズのZfとは比較にならないが。 このカメラの普段の用途は、おもに映画メモと―― メシ。うむ、しっかりキレイに写ってるじゃないか。スマホは補助や緊急用に格下げだな。常用はわずか3ヶ月と、短い命だったぜ。 寄れるし近接距離の柔らか描写も旧機種群より大きく抑えられ、フィギュア野外撮影でさらに使いやすくなった。 Zfなどで写すのとあまり変わらない、しっかりしたフィギュア写真をコンデジで得られる。 コンデジといっても重さ500gオーバーあるけど。 ここより適当にサンプル延々と。 建物 アート 懐石もどき オブジェ のみもの 点描 ごちゃごちゃ 遺跡(古墳) 歌舞伎や演劇用の舞台。 おっきいバーガー。 等身大フィギュア 屏風絵(絵金) 本来の展示を再現。 スマホで写せばとてもここまでクリアなのは無理な暗さ。 すし うまそう 階段 たまねぎ なにかの花 オリンピックおつかれさま&ありがとう 産毛みたい ビルの屋上に一軒家。 ロボット マクロ てきとう かつおのたたき 彼岸花 精米 ゆり 日差し ドーナツ へちま 日本酒 盆石だったっけ。 模型の集合体。 ダンボー 橋 ハス れいんぼー発光 人通り皆無 謎の草。 キネマなんとか またもや彼岸花。 以上だぜ。ニコンZfは明確な撮影テーマのときに限る出動で、それ以外はだいたいX100VI+スマホでどうにかなる。いつもケースに収まってるX100VIは、思い立ってから準備完了まで10秒とかからない。