2年生編

よろずなホビー
春日歩のボケ日記/1年生編 2年生編 3年生編 番外編 アスキーアート編
時系列順
48 消えてもうた私(アニメ版10話1~3【原作2巻50・54~55P相当】)
85 経験したもん(創作+原作2巻64P)
50 教えてよみちゃん(原作2巻65P)
91 いつのまにか(原作2巻94~108P
51 満点(原作2巻113P)
黒大阪(創作+原作2巻50・120P)
52 にゃーん(原作2巻126P)
54 大冒険(原作2巻132P)
56 初志貫徹(アニメ版12話5【原作2巻133P相当】)
17 支離滅裂(原作1巻84・2巻146~150P)
18 えろえろ?(創作+原作1巻87・2巻158~160P)
89 かなわへん(原作2巻158~161P)
40 いちごとバナナ(アニメ版3話4【原作3巻16P時系列】)
26 パーセント(原作3巻22P)
55 ちゃうねん(原作3巻28P)
27 あらへん(原作3巻41~43・45~46・49・52P)
58 黒大阪2(原作3巻42~43P)
59 4つ目族(アニメ版16話2~3【原作3巻49P相当】)
60 保母さん(アニメ版16話5【原作3巻54P時系列】)
63 さんたーあんだぎー(原作3巻68~69・72P)
14 よばれたー(SF+原作3巻76~82P)
(美浜ちよの黒日記38と連動)
67 げっと(原作3巻91P+2ちゃんねる)
84 理由(原作3巻104~105P+ボケ日記5のサクラと連動)
70 跳ね返す?(原作3巻108P)

48 消えてもうた私 (アニメ版10話1~3【原作2巻50・54~55P相当】)

 不安です。2年生になって私、またみんなと一緒のクラスになれるんやろか。あー、不安や。ちよちゃん保障してくれるんか? 命かけてくれるかー?

 え? 天の声? 心配しなくてええて、ゆかり先生それ本当ですかー? わーい、うれしーなー。ちよちゃんも弾けとる。うれしーんやなー……ちよちゃんは狙ってるて、私はー??

 春休みが明けて、いよいよクラス替えの瞬間や。みんなと一緒になれたらええなー。
 ……あれ?

 あらへん。

 私、あらへん。どして……?
 戦力外通告? ともちゃんはあるのに、私だけないてどういうことやー! あーん、涙が出てきてもうた。

「あのさー、この大阪って、あんたのことじゃない?」

 へー、よみちゃーん。大阪て、私のことー? 私、春日歩やでー。
 とりあえず教室に入った。先生が持ってきた出席簿をおそるおそる覗いてみると……

『大阪』

 あのー、ゆかり先生ー?

2年生編

85 経験したもん (創作+原作2巻64P)

 ……やってしもた。
 踏んでしまいました。アレを。人類史上、もっとも踏まれたアレにちがいないねん。
 今は登校中や、周囲を確認する。誰か知り合いはおらへんやろか。ふむ、誰もおらへんねん。よし、証拠隠滅や。靴をこう、アスファルトにこすりつけながら歩くねん。
 取れろ~~、取れるんや~~。
 うんこ~~、犬のウンコ君落ちなさい~~。
 あ、あの辺ちょっと水たまりあるねん。庭の水やりが濡らしたんや。これで完全にウンコは取れるにちがいないねん。
「おはようございまーす」
 うわああ、ちよちゃんの声やー。
「お、おはよー」
「どうしたんですか靴をこすりつけて」
「ええ? なんでもないねんよ」
 なんとか誤魔化した。よかった、智ちゃんやったら絶対突っ込んでくるもんなー。

 学校に着いてまた困った。下駄箱に靴入れなあかんねん。
「どうして靴箱にちり紙敷いているんですか?」
「…………ちょっと汚れてるんや」
 うわあからさまに反応が遅かったねん。ウソついたてバレとる。きっと。
「そうなんですか」
 良かった、相手がちよちゃんで良かった。

 英語の授業でゆかり先生がテキストを訳しとった。なにかの物語の一部らしいんやけど……土足のままで部屋に入っとるやん。そういや聞いたことあるねんけど、アメリカて家の中に靴で入るんて――本当やったんか。
 気になる……
 今日の私みたいにできへんやん。外で犬のウンコ踏んでもうて、それで建物の中とかどうやって入るのん? アメリカ人の私やったらどうするやろか。ティッシュを靴の下に貼って、建物とかに入るんやろか。友達の家に行く途中とかでウンコ踏んでもうたら、そんなんで入れへんねん。彼氏の家なんてもっての他やん! ウンコ踏んだ靴で汚染なんかしてもたら、フラれる事確実やで! 血見るかも知れへん。秘かに犬のウンコが原因で戦争とか起きとるかも。

 ……うわ、考えが止まらへんねん。うんこ、犬のウンコ。
 授業が終わった。私はゆかり先生のとこに走り寄って、質問したんよ。
「先生――しつもんが……」
「な、なに?」
「アメリカのうちって土足で入れるんやろ?」
「らしいね」
「ほんなら……も、もし道で犬のウンコなんか踏んだら。それにもし気付かへんかったら」

 ばこ。
 ……グーで殴られてもうた。

2年生編

50 教えてよみちゃん (原作2巻65P)

 ホームランて何点やろ。
「なあなあよみちゃん、ホームランて何点?」
 3点くらいやろか。
「……いや、走者プラス打者だが」
「走者て?」
「塁に出ている人だ」
「塁て?」
「ダイヤモンドのそれぞれの――」
「宝石なんかどこにもないでー」
「おまえは黙ってろ!」

2年生編

91 いつのまにか (原作2巻94~108P)

 まったくひどいねん。
 暦ちゃんが劇辛コロッケお弁当で持ってきてはってな? 私騙されて食わされてもーたんよ。そいでな、辛いのはあかんのに、食わされてもーたせいで、舌と胃がびっくりしてしゃっくりが止まらへんよーになってもうた。ひどいで暦ちゃん。

 私はちよちゃんと洗面台に行って、なんとか辛いのを舌から追い出した。
 おおきになちよちゃん。
「あ、私、ハンカチ忘れてきたねん」
「私の貸してあげますよー」
「ありがとー」

 それからがひどかったちゅーねん。
 しゃっくりが起こって、なにかそれを止めるためっていろんなことやらされて、止まらんで、何時間もずーっと。ひっく、ひっく。

 ついにはなあ、榊ちゃんが「脳が」って、なんやー? 私の頭に、なにか問題でも? そないなことあらへん。あらへんでー?

 ――おぉ! しゃっくりなおったー! なおった。うれしいわー。なおっとる! めでたしめでたしやー。

「ひっく」

 ……あ! ちよちゃんにうつってたんんや。
 ごめんなー、もしかしてあれや、ハンカチかなあ。
 ちよちゃん、待っててな! 私がちよちゃんを治したる!

 まさか救急車呼ぶなんて、思いもせーへんかった。
 わざとやないで、むしゃくしゃしてやった今は反省しとる、とゆーんでもないで信じてやゆかり先生。

2年生編

51 満点 (原作2巻113P)

 木村先生が下だけブルマに着替えてええよ言うて、男子と共に出ていった。あー、ありがとな先生、今日みたいな7月の暑い日は、そういう楽な恰好やったら嬉しいでー。

 着替え出すと、みんなが変な顔して私を見てきたねん。
「な、なんやともちゃんもよみちゃんも。着替えたらええやん」
「いや……おまえがそれでいいのなら別に止めはしないが」
「男子に色気でアピールしようだなんて、この智ちゃんが許さないぞー」
 ともちゃんがつきおうてくれました。わーい。
「と思ったけど、恥ずかしいからやーめたっと」
 えー。そないな薄情なー。有言実行やで、ともちゃん。

「もういいかー、入るぞ――」
 え? 待ってやー! まだブルマ穿いてないねん。あかん、扉が開いた。慌てて座るしかなかったんよ。ふう、まにおうたわ。

「ちょ、ちょっと待ってくれ! ……ど、どういう事?」
 木村先生は無念そうに力落ちてもうた。すまんなー先生、先生のせっかくの好意、果たんかったわ。ここは残りの時間、いっしょうけんめい聞きますんであんじょう頑張ってなー。

 授業が再開したけど、妙にざわざわしとるなー。なんでやろ。
「とても暑いですね。窓を開けますね」
 先生が開けた窓から風が入って、教室内の蒸し暑い空気を流してくれます。あああ、気持ちええねん。あれ? なんか青いもんがふわふわと飛んでるねん。布やな――スカートやろか。誰やろ、スカートなんか脱ぎ捨てて……って、それって。

「私やんかー!!」

 すくっと立った瞬間、木村先生が鼻血の海に倒れました。いややなあ先生、それじゃあ私がまるで丸出しやったみたいやん。私、ちゃんと純白のパンツ穿いとったでー。正面のリボンのワンポイント、かわいかったやろ?

 期末テスト、なぜか古文は満点やった。

2年生編

黒大阪 (創作+原作2巻50・120P)

 ちよちゃんとおると、ぼーっとしとる自分がふがいないです。2年生にあがるとき、ちよちゃんはゆかり先生に欲しいていわれました。私はおまけでした。夏のバイトのときも、ちよちゃんだけ時給50円アップでした。私はなにもあらへんでした。

 でも私は平気です。ぼーっとしとるから。ほんま、ちよちゃんを恨んでなんかないねんよ? たまにちよちゃん苛めるんは、きっとちゃうねん。

2年生編

52 にゃーん (原作2巻126P)

 私には目を開けたまま眠るという芸があります。瞬きもせーへんので、次第に瞳が乾いてくるねん。眼球苦しくなっとるんやけど、寝てるあいだはなぜか平気やねん。なんでやろーなー。

 テレビを見とったら、ドキュメンタリー番組でおもろいイモリちゃんが紹介されたんよ。砂漠に住むイモリちゃんは、瞬きができへんので自分で目を舐めとるらしい。へー、賢いな君。そうか、私も舐めとったんかもしれへん。え、私って両生類なん? いやや、それだけはイヤや。嫁さんに行けへんねん。これは、これは絶対に検証せなあかん。

 さっそく榊ちゃんに頼んだ。
「私つぎの授業寝るから、目を舐めてるか見てー」
「え?」
「見てー」
「あ、うん。いいけど……」
 よし、授業開始やねん。木村先生の授業やったら寝とっても怒られへんので大丈夫やねん。寝るでー。寝ろー、寝るんやー……

 ――はっ! サイ、サイレンやろか?
「寝てへんよ? ちゃんと勉強してました……」
 キーンコーンカーンコーン。
 なんや、授業終了の鐘やったんか。よく寝たわー。そうやった、けんしょおや。
「榊ちゃーん、どうどう、どうやった?」
「……うん。目を開けて寝てた」
「それで? 目、舐めとった?」
「いや――あの」
「なにー? なんやのん?」
「猫みたいに」
「猫ー?」
「手を舌で濡らし……目を」

 私、どうやら猫みたいな手つきで目を湿らしとったようや。そうやんなー、イモリみたいに舌が届くわけあらへんもんなー。だいたいそれ両生類以前に妖怪やで。

「ほっ、これで安心して嫁に行けるー」
「嫁?」
「そうやー。私、妖怪やなかったんやでー」
 私は榊ちゃんに事件のすべてを話したんよ。そしたら榊ちゃん、ぽつり。

「でも……猫又だ」

2年生編

54 大冒険 (原作2巻132P)

 今日も掃除の時間や。私掃除は好きやねん。ただ最後に取るんが苦手やけどな。どうしても後ろに下がってしまうねん。今日こそちゃんと取るでー。おいしょっ、おいしょっ、おいしょっ……――

 ――私、なんで富士山の山頂におるん?

2年生編

56 初志貫徹 (アニメ版12話5【原作2巻133P相当】)

 あるながーいやつが気になったー。関西と比べてどこかちゃうところあるんやろか、よしあれを探すんや! て決心して母ちゃんに断って公園探してたらな、買い物帰りのよみちゃんと智ちゃんに会いました。

 3人で世間話しながら歩いとったら、公園を見つけて喜び勇んで入ったんよ。そしたら夕焼けを背に、榊ちゃんとちよちゃんがなわとびで遊んとった。私たちも混じって日が暮れるまで遊んだんよー。子供のころを思いだした。あー、楽しかった。

 みんな、ばいばいなー。よし、私も帰ろーっと。

「ただいまー」
「歩ー、東京のミミズはどうやった? ついでの豆腐は?」
「え?」
 すっかり忘れとった。両方とも。
「あかん、またやってもーたー。忘れ物大王やー」
「それ以前にあんた、スコップも持っていかへんかったやん」
「あうー。また行くー。豆腐も買ってくるー」
「もう遅いやろ。暗いし、やめとき」
「あかんねん。ここで引いたら、私一生忘れ物大王やと思うん」
「あんたにしちゃずいぶんとやる気のようやな。よっし、行ってこい!」
「はい、いってきまーす」
 今度こそ、東京のミミズをちゃんと見つけてくるねん!
「ちょい待ちやー、歩」
「なんやー?」
「スコップと懐中電灯、忘れとるで」

2年生編

17 支離滅裂 (原作1巻84・2巻146~150P)

 夏休み最大のイベントやー!
 ちよちゃん家の別荘で遊ぶでー! 私の夏が来たでー。どういう私かよくわからへんけどな、なんとなく私が活躍するねん。決めた。私が決めたので大丈夫。うんうん、そういうことや。別荘に来たとたん智ちゃんのいたずらで鍵無くしたんやけんど、鍵見つかってよかったなー。なんや鍵が見つかった場所、私がいっぱい探したような気もするけど、まあええねん。私は目がええけど、見つける能力は別や。漢字が読めへんけど見えるんのとおなじやよ? ごめんなさい、私が下手でした。見つけたちよちゃんやっぱすごいわ。どうやって探しとるんやろう。

 泳ぐでー。でも私ほとんど泳げへんねん。沈んでまう漬け物石や。去年は浜で榊ちゃんと痔の話しかできへんかった。榊ちゃんようつき合うてくれたなー。でも大丈夫、今年は万全や。浮き輪の出番やでー。楽しいでー。

 海に浮かんで、どんぶらこっこ、どんぶらこっこや。まるでこれなー、桃太郎やな。桃の気分や。おばあさんに拾われへんで、間違って海まで流れてしもうた桃や。あ、暦ちゃーん、私オレンジー! そんでな、この桃大変やで。塩辛うなってもはや誰も拾わへんねん。そんな塩漬けの桃太郎、いったいどうなるんやろう。桃の中で成長しても、塩で水気抜かれてよぼよぼやねん。おじいさんや。おじいさんやのに太郎ておかしいで。太郎ておじいさん昔話に出てきいへんやん。ということはやな、太郎て人、おじいさんになったら名前変わるんやろか――あれ? なんや岸が遠いわ。

 流されとる。やばいんちゃうやろか。このまま私、太平洋の藻になるんやろか。マンボウさんが近寄ってきて、つつくかも知れへん。鳥さんが舞い降りてきて、休憩するかも知れへん。うわー、楽しみやな。でもその前に、暦ちゃんのオレンジジュースもらわな。オレンジ1本あったら、塩水飲まんで済むねん。それで大丈夫や。旅に出ても。

 あ、暦ちゃん帰ってきた。米粒みたいやなー。私に気付くやろか。こっちやでー。こっちやー。来てくれへんかー。私なあ、旅に出るねん。アメリカまで流されて、マンボウと海鳥さんと仲良くなるんや。でも水がないねん。オレンジちょうだいー。

 届かへんのやろか。そうやなあ、届くわけあらへんなあ。遠いなあ――んー、なんやろ。頭がなんかくらくらするねん。頭が熱い……これって、日射病みたいなのやろか? ああ、髪が黒いからおてんとさまの光をぎらぎらぎんぎんに吸収するねん。だめやん黒いの。なんで日本人みんな髪が黒いんやろか。黒山の人だかりて、あれ日本人にしか通じん表現やねん。あかん! これには重大な欠陥がある。髪が黒いの、日本人だけやない。中国の人とか、韓国の人も黒いねん。アメリカの原住民も黒いなあ。すごい発見や、日本な中国な韓国なアメリカ原住民な山の人だかりてのが正解や。ノーベル文学賞もんやで。

 あれ? 岸が近うなってきたな。このままやと戻ってまうでー。暦ちゃんにオレンジ貰えそうや。やった、オレンジ貰って、それで……なにする気やったっけ? 思い出せへんねん。そうや、マンボウの黒山やねん。なんやちがうみたい? もうどうでもええわ。おお、波に乗ってどんどん近づくでー! サーファーみたいやなー。榊ちゃんにターゲットロックオーン。ただいまー!

 ごめんな、なんや知らんけど壊してしもたみたいやな。あー、暦ちゃん発見や。ロックオン変更、オレンジちょうだいオレンジー。

2年生編

18 えろえろ? (創作+原作1巻87・2巻158~160P)

 ちよちゃん家の別荘で、酔ったみなも先生が暴走したんよ。いきなりすごい話しだした。うわあ、男の人とのラブラブな話や。さすがは先生や。すごいでー、鼻血ものや。あう、最後はふられたか、ショックやったんやなあ。がんばりやみなも先生――悪いんは先生のええところをわからへんかったボンクラ男やで。

 先生? うわあ! いきなり前に戻って本番の話です? いやや、私まだキスもしたことないねんで。でも耳が、耳がな、みなも先生の一言一言をすべて漏らさず聞いとるねん。授業中は聞いても眠くなるだけですぐ忘れるのに、どんどん頭に入って行くんよ? おりこうさんになってもうた。うわーっ、頭が赤くなってきた。知恵熱やろか。ふんふん、それで手が? 指が? うわー、そんなとこ触ったら気持ちええんか? え、えええ! 口で? いやそれはええねんよ。おおお! すごすぎます。

「え? あの……どういうイミ……?」
 ああん、邪魔せえへんといで。うわ、ああんて、私の頭までなまめかしくなっとる。
「しっ! 黙って聞いとき! 大人になればわかる!」

 お子さまなちよちゃん黙らせて、またつづきや。ごくっ。のどが唾を飲んだよ? こういうシチュエーションて、男の人がエロいこと考えたときの行動? 私、エロエロやねん。来た、来ました。入ります入ります。えー! 痛いの? 痛いんですか。そんなのイヤやわー。先生社会人になってからはじめてやったんやなー。けっこう身が固いんやね、尊敬します。で、だんだん血が? 血ですか。うわー18禁の世界や。私まだ1年あるやん。禁止条例で警察にしょっぴかれんやろか。あの人ら鋭いし。困ったー。

 え、叫んだ。なんて叫んだんや。その男の人テクニシャンやったってー、どういうことやねん。最初で叫ぶてそないに珍しいことやって、わからん。わからんよ先生? ここに経験者てみなも先生しかおらへんやん。あ、もう一人先生が――え? ない? 私らの仲間やのゆかり先生。えらい秘密を聞いてもうた。大人はみなも先生だけなんやー! ゆかり先生怒らへんねー。すっかり酔っとる。

 ふええ――実演? いやいやそれはええねんよ。私、それは好きな人といつかやるねんよ。うん。大人になるんは後でええよ。なあ先生、大人てわかりました尊敬してます。だから寝てな? 榊ちゃん逃げて、ああ、脱がされとる――猫ぱんつかわえーなー。いやそれは他に置いといてな、みんなー、榊ちゃん救出やー。え、神楽ちゃんなんで智ちゃん脱がしとる? 虎になるんだーってなにそれ。智ちゃん上も下も今日の下着はトラジマなんやね。ちよちゃんに対抗してアンチ巨人の阪神なん? 私は残念ながら近鉄ファンやで。学祭で阪神人形売れへんかったもん。

 あー、暦ちゃんが神楽ちゃんに掴みかかっとる。智ちゃん救出やー。私も加勢するでー。いたっ。跳ねとばされてもうた。助けたるで智ちゃーん。いたっ。またや。でもめげんでー。いたっ。痛いねん。私だめや、戦略的撤退や、逃げるんちゃうで。え、神楽ちゃんなんでこっちに来るん? 智ちゃんあきらめたん? 智ちゃんまだ泣いてるやん――ああ、暦ちゃんが脱がしとる。暦ちゃんもすでに裸! どオレンジって派手なパンツやなー。まるでみかん星人やんあかんで。

 神楽ちゃんやめてやー、私なんて美味しくないでー。ああん、脱がされとる。神楽ちゃんもう半裸や。スポーツブラが揺れてるねん。かっこええな、半分ちょうだい。私なんて今日は白なんよ、なんの飾りもない下着でかわいくないねん。そうやった、下はな、前に小さなリボンついてるねん。ワンポイントや。ってそないな事いってもイミないやん。なあなあ、勘弁してな勘弁やー。あ、脱がされてもうた。いやや、パンツは勘弁や、上はまだええねんけど、女の子同士でそれはないでー、タンマや。

 榊ちゃんがあえぎ声あげはじめたんよ。大丈夫やろか、ええっ! ちよちゃんまでが。ゆかり先生に襲われとる! あー、ちよちゃんグンゼや。いくら天才でもここはお子さまやなあ。私もちよちゃんくらいはグンゼやったでー。お仲間やなあ。って、人様のこと心配してる暇なんかないねん。ブラジャーも外されて、大大大ピンチや! 春日歩貞操の危機ー。ここは王子様の出番やでー。さっさと助けに来てくれへんかー……私、王子おらへんやん。ここで入ってきた王子おったら、それってただの痴漢やで、ノゾキやで。神楽ちゃんやめてーな――うわー、最後の一枚が……

 …………あれ? 朝や。ここは布団?
 もしかして今の、夢やったんか。あー、よかった。助かってもうた。でもみなも先生がなにか言ってたのはたしかやんー。どこまでが夢で、どこまでが本当やろ。わあ、珍しく私が一番やったんか。みんな寝相悪いなあ。寝間着ちゃんと着とるやん、後半は夢やな。さてと、起きよっ。
 なんや? ずいぶんとスースーするやん。

 って、なんで私だけパンツ一丁やのん!!

 そんときや、むくりと智ちゃんが起きた。
「ああ、おはよ大阪」
 なあなあ智ちゃん、私これどないなってんの?
「ごめん! 先に1人だけ寝るから……みんなでいろいろ触っちゃった♪ かわいい声でみんな興奮してたよ。てへ」

 今日の大阪予報。呆然自失、のち、

 なーーーーーーーーーーーーーーーー!

2年生編

89 かなわへん (原作2巻158~161P)

 合宿で酒に酔ったにゃもちゃんが、えらいエッチな話をした。
「……すごい、尊敬すんねん」
 彼氏が手に入らなかったあの頃、あまりに寂しかったにゃもちゃんがゆかり先生を……
 す、すごい世界やねん。私も誰かと――そうや、ちよちゃんがええねん。他の人らやったら私がイッポーテキに犯されてお嫁に行けなくなってまう。
 うっ、ちょっと布団の中で興奮してもーた。
 鼻血が……

 …………んー?
 冷やいー。
 誰やのん、私の顔を拭くんは。
「――大阪さーん、大阪さん」
「んー? ちよちゃーん?」
 目を開けたら、ちよちゃんがおった。
「ちよちゃん……もう朝なん?」
「昼近くですよー。もうみんな御飯も食べ終わってます」
「あかん、寝坊しすぎてもーた」
「みなさん起こそうとしたんですよー。そしたら大阪さんったら鼻血の海に倒れていて、大笑いして放置しておけって――でも私、そんなのダメだって言ったんですけど……智ちゃんとかに止められて、やっと1人になれたので」
 そーなんか、たしかにちょっと布団が赤いなー。気にならへんけど。流石はちよちゃん、めっちゃ真面目で、可愛えーなー。
「あんなあちよちゃん、ちょっとこっちおいで」
 手招き手招き。
「は、はい……」
 ちょこちょことやってくるちよちゃん。
「あの、なんですか?」
 もじもじしとる。私の緊張が伝わったんやろか?
「ちよちゃん、キモチイイことせーへん?」
「はい!」
 即答や!
「え? へ?」
「頂きます!」
 ちよちゃん、いきなり唇を……
「うう……!!!! ひ、ひあ(舌)ー!」
 舌が! 舌がー!
 私が混乱しとるとこに、さらにちよちゃんの攻撃や。
 寝間着のズボンにさっと小さい手が伸びてきて、下着と服の上からあそこに手をかけたん。いきなりの感覚に、頭が真っ白になってもーた。
「――――!!」

「……はあはあ」
 気が付くと、2人して真っ裸やった。ちよちゃんもう胸が膨らみはじめとる、さすがは天才や。私の年になったらきっと榊さんや神楽さんくらい成長しとるやろーな、やっぱ裏切り者や。
「大阪さん……どうでした?」
「めっちゃええねん――自分でするより」
「へえ。大阪さん、けっこうエッチですねー」
「ちよちゃん、いつからこんなてくにしゃんやったん? なんやこう、雲の上におったよーな心地よさやった。生まれて初めてやで、多分」
 するとちよちゃん、当然と言わんばかりにえっへんと胸を張って、
「今朝みなも先生に聞いて教えてくれなかったので、智ちゃんや暦さんで研究してましたー」

 ……さすがは天才や。

2年生編

40 いちごとバナナ (アニメ版3話4【原作3巻16P時系列】)

 テレビで茶道の心はいちごいちえて言っとった。

 散歩に出てから無性に「いちごいちえ」が気になった。いちごいちえってなんやー? いちごの親戚やろか。茶道いうたらお菓子も出てくるけど、そのときいちご食べるんやろか。私はバナナのほうがええねんけど。緑茶の苦いの、和らげるんにバナナのほうがええと思う。でも足のしびれはどうしよ。それもバナナやったらなんとかなりそうや。

 よし、散歩は中止や。本屋にいって調べよっ。いちごいちえやねん。いちごとバナナと茶道の関係を調べるんや。えらい辞書をぱらぱらめくりました。あったあった。「一期一会」ていうんやな。一生涯に一度の大切な巡り合いやねん。親しい人でもその瞬間の出会い2度とないから、大切にしましょいうんやな。うん、大切にしよっ。思ったより難しい語源なんやな、いちごを食べるんやないんか。残念やなあ。私はバナナのほうがええねんけど。

 本屋を出ると、智ちゃんと暦ちゃんに声をかけられた。偶然やなあ。この瞬間は2度とないんや、大切にせなあかんねんて教えたる。一期一会やねん。お、暦ちゃんすぐ理解してくれた。さすが頭ええなー、助かるわ。でもいちごやないねんで。私はバナナのほうがええねんけど。

 いちごいちえー。いちごいちえー。いちごいちえー。いちごいちえー。智ちゃんと合唱や。あー、ええ出会いやなあ。明日もきっと学校で会うんやけど、この瞬間の出会いはここでしか経験できない大切な一会やねんで。でもくだもののいちごやないねん。私はバナナのほうがええねんけど……

 なぜかバナナが気になる。そうや! 私はバナナの皮で転んでみたかったんや! そうやそうや、いちごいちえー。いちごいちえー。しびれた足やったら、バナナで転んでもわざとらしくないねん! 自然や! 自然に転べるんや! これはえらいことを発見した、明日ちよちゃんに教えたらなあかん。いちごいちえー!

2年生編

26 パーセント (原作3巻22P)

 今日は哲学したんよ。人間ってな、みんなちがう尺度もっとるんやなー。
 私な、松茸食べたことないねんよ。でもな、椎茸食べたことあるん。それで食べたことある榊ちゃんに椎茸の何パーセントアップか聞きたかったんやけど、差でいわれてもうた。なるほどー、足し算やのうて、引き算やったんか。これは大きな発見や。とにかく椎茸100やったら、松茸0くらいちゃうみたいや。椎茸100で松茸200やないねん。引き算でまったく違ってて、別ものやねん。

 認識を変えなあかん。松茸は椎茸の発展やのうて、おなじキノコいうだけで別物やねん。そうや、ここはどのくらいちゃうか聞かな。茶色のどろどろ食べ物で、カレーがあるねんけど、おなじ見かけでハヤシライスがあるねん。でも味はちがうんよ。このくらいの差やろか。なあどうなん? わからへんて? うーん。パーセントじゃわからへんやろか。おもろいなあ。私の尺度と榊ちゃんのはちがうんや。どうやって修正しよ。そうや、じゃあ茶色ドロドロの、シチューやったらどうやろ。これやったらどうやろ。なあなあ榊ちゃん? あれ、榊ちゃんどこいったん?

 ――あ、ちよちゃんや。
 なあなあちよちゃーん、松茸ってなー……

2年生編

55 ちゃうねん (原作3巻28P)

 障害物競走や! これな、もうわくわくやったんでー。これのために私は生まれてきたにちがいないんや。粉の中に顔を入れて飴を探すんや! 楽しいんやで、大変なんやでー。
 あー、あー。このネット、からまって抜け出せへんねん。邪魔せーへんといてんか。つぎはいよいよあれや、粉なんやで。アメなんや! こんじょおで抜けるねん。

 よっしゃ、抜けたでー。私最下位やん。でも挽回できるでー。粉のとこでみんな苦戦しとる。誰も抜けとらへん。私がここでアメをさっと取って、トップでゴールするんや。あ、1人アメを取った。それ以上誰も先に行かさへんでー。いくでー。

「た――――!」
 粉の感触が気持ちええねん。ひやひやして、まったりと肌に付いてきて幸せやー。生きててよかったー。

 ぼふっ、ぼふっ。

「あはは! あはははは!」
 最高や。もう死んでもええねん。お? こいつか、この感触かー! 取ったるで、その首もろたー! アメちゃん覚悟やで――!!

 まったり。

「ほえぅ?」
 あー、口に覆ってきたこの感触、アメちゃうで? えーと、なめくじや蛙に貼り付かれたよーな、ぬめぬめ感や。しかもねばねばしとる……
「はぁん」

 顔を粉から出して、両手を口元に持ってった。
 こ、これは……
「もひ(もち)ーー!!」
 なんでやねん! なんでアメやないねん。
 もうパニックや、怖くなって一目散に走る走る走る走る走る走る……

 ――1等賞の旗持っとった。

「すごいね君、外れを引いたのに大逆転しちゃうなんて」
 旗係の人に言われた……いややー。は、話がちゃうねん!

2年生編

27 あらへん (原作3巻41~43・45~46・49・52P)

 文化祭で去年とおなじぬいぐるみ使うことになりました。でもな、今年は喫茶店らしいねん。せっかく私が逆転ホームランしたのに、みんな却下されてもうた。おばけ使ったらおもろかったやろうになー。そうや、着るんでお化けしよっ。榊ちゃんと相談してな、コスチュームの一部で帽子作るねん。怖い帽子にしよ。デザインは榊ちゃんや。榊ちゃんの絵ってな、いつもいびつでゆがんでて、怖くておもろいんやでー。きっとホラー映画とかのマニアなんやろうな。

 おお! 猫みたいな頭の帽子か。これはええ! 目がある帽子を被ったら、もうお化け一直線や。なにせ目が4つもあるんやでー。これはもう怖いに決まっとる。お化けやーでー。え、可愛い? ゆかり先生それちゃうねん。これはお父さん帽子やねん。ファンシーなように見えてな、実は榊ちゃんのお父さんの顔や。スプラッターやねん。

 文化祭がはじまった。なかなかええ繁盛ぶりや。みんな怖いのがええんやろな。榊ちゃんのお父さん大活躍や。お、にゃも先生も来てくれたか。入ってやー。かわいいですよー。帽子以外はな。なに用心しとるん? 大丈夫やでー、猫の死体なんかあらへんでー。死んでるんは榊ちゃんのお父さんやもん。

2年生編

58 黒大阪2 (原作3巻42~43P)

 おばけ喫茶を考えてみる。ちよちゃんにヌリカベやらせたらきっと可愛いやろなー。ねえちよちゃーん、ヌリカベやってー。ぬりかべ。バランス悪いんできっとよう転ぶやろーけど、それはそれでおもろいからええねん。

 それでな、私はカラカサやるねん……あかん、カラカサは1本足立ちや、これは転んでまう。痛いやろな――うう、膝を当てて血が出たら、もう泣いてまう。きっと泣いてまうでー。あ、あかん、おばけ喫茶には構造的欠陥があるで。

 私が痛いからダメやねん。ちよちゃん? ちよちゃんが痛いんはええねん。あ、そや、逆転ホームラン!

2年生編

59 4つ目族 (アニメ版16話2~3【原作3巻49P相当】)

 文化祭の準備で榊ちゃんが描いた帽子の落書きが妙に可愛くてなー、気が付いたら採用されてたくさん作っとった。この「お父さん帽子」被ったらな、目が4つに増えて強くなった気がするねん。もちろん気のせいやろうけど。ちよちゃんの特別コスチュームも目があってな、4つになるんよ。4つ目族や。ちよちゃんが酋長な。

 それでお父さん帽子、残念ながら予算不足でちょっと数が足りへんねん。数人ほど帽子なしでやらなあかんけど、4つ目族やのうなってまうねん。困るわ、どないする? そしたら、榊ちゃんがねここねこを持ってきた。なるほどー、それ目があるやん。よっしゃ、それで行こっ! 4つ目族は不滅やでー。

 え? 榊ちゃんねここねこ2匹重ねで行くん? だめやー、それあかん。だってそないなことしたら目が6つになって、4つ目族やのうなってまう。もっとなにか、別の神様みたいなものやでそれ! せやからあきらめて大人しく1匹だけにしなさい!

2年生編

60 保母さん (アニメ版16話5【原作3巻54P時系列】)

 文化祭で休憩をもらったんよ。ペンギンなちよちゃんと一緒に校内を巡ることにした。あちこち展示もええねんけど、食い倒れの関西から来たからやろか、私は文化祭の華はやはり食うことやと思うんよ。

 まずは、たこやきや。素人がどこまでがんばれるか、それがおもろいねん。私は味にうるさいんやでー。東京のたこやきはあまりおいしくないねん。あーん。あ、これ意外といけてるでー。素人にしちゃよくやっとるほうやなー。タレがな――

 あれ? ちよちゃんどうしたん、届かないんか。しょーがないなあー。ほらー、あーん。おいしーか?

 さて、つぎはたいやきやねん。これは型がしっかりしとるき、見た目は素人でもあるていどは行くねんよ。問題は中身や。ちゃんと焼けるかがポイントやねん。よし、いただきます! ――けっこういけるちゃうかー? みんな頑張ってるなー。私は大満足やで。味にうるさい関西人のお墨付きやー。

 なんやちよちゃん、また食べられないんか。しょーがないなー。ほらー、これでええかー。おいしーで。よーさん食べてなー。

 ペンギンちよちゃん可愛いなあー。私がついてやらんと、ちよちゃんなにも食べられずに飢え死にしてまうねん。私が守ったるでー。ほら、手を伸ばしー。あんよ繋いたるで。ゆっくり行こなー、ちよちゃーん。

2年生編

63 さんたーあんだぎー (原作3巻68~69・72P)

 ともちゃんと神楽ちゃんがサンタさんの話をしとった。えー、サンタさんておらへんのー。そないなあほなー。私はサンタさん知ってるでー。毎年来てくれるねん。それにトナカイもおるやん。それにしてもなして喧嘩口調なん? あかん、ここは言ったらあかん雰囲気や。黙ってよ。うわともちゃんトナカイおるの知らへんかったんか。おるんやで、赤い鼻のトナカイがちゃんと。

 12月25日の朝が来ました。昨夜から枕元にくつ下吊って寝とった。わーい、今年もサンタさんがプレゼントくれたー。なんやろう。沖縄のさーたーあんだぎーや♪ 父ちゃんにしか食べてみたい言ってへんのに、なんでサンタさんわかるんやろー。

2年生編

14 よばれたー (SF+原作3巻76~82P)
(美浜ちよの黒日記38と連動)

 富士山てほんまにおおきいなあ。両手には鷹となすびやでー。鷹ってええなあ。なんや丸々しとるし。なすびもええなー。こないなきれいなの見たことあらへん。
 縁起物揃いやなあ。

 あらー? ちよちゃん飛んどる。久しぶりやー。
「ちよちゃーん。なんで飛ぶのーん?」
 ちよちゃん、ぱたぱたと降りてきた。
「11歳ですけどー」
「おなじやー。ちよちゃんかわいーなあ」
「じつはお願いがあります」
「なんやのん?」
「榊さんのおうちを訪問しましょう」
「ええでー」
 ちよちゃんに手繋がれて、榊ちゃん家まで飛んでいったんよ。なんや知らんけど、うしろから富士山がごごごてついてくる。鷹も私の頭でくつろいどるねん。縁起が私を必要としとる! 私は福の神や! まいどや! なんや知らんけどええわ! そういやなすびは? あった、空いた手でしっかり持っとるで。離さへんで。

 榊ちゃん家についた。ちよちゃんいつのまにか消えてもうた。どこいったんやろ。とにかく私は福の神や。福の神の挨拶はなんやろ。まいどやまいど!
「まいどー」
「まいど」
 なんや奇妙な動物が出迎えた。あ、ちよちゃんの誕生日にあげた猫さん人形やん。あいかわらず変でおもろいなあ。ちよちゃんと榊さんが中におった。
「榊ちゃん、起こしにきたでー」
 ありゃ? なんやしらんけど勝手に口から言葉が出た。まあええわ。福の神の本領発揮やでー!
「たかー、なすびー、めざめよー」

 ごごごごご~~!!
 おおお、富士山ええ感じや! 榊ちゃんにも幸運を分けるんやー! 私は福の神やでー!

 ……あれ? ベッド? まさか夢やったん。なんやったんやろう。とにかく、ええ1年になりそうや。

2年生編

67 げっと (原作3巻91P+2ちゃんねる)

 雪が積もったー! ちよちゃん雪合戦や。いくでー。

 わーい。
 つるっ。

 ……痛いねん。
 そのときや、どこからともなく声が聞こえた。

『いまだー、100番げっとー』

 え? ――あああ、体が勝手に走りだしてもうたー! ちよちゃんもかー?
 つるっ。

 ……痛いねん。

『いまだー、200番ゲットやでー』

 うわあ、またやー。なんでやねんー?

2年生編

84 理由 (原作3巻104~105P+ボケ日記5のサクラと連動)

「……あー、14日明日やん」
 高校2年生の2月や。来年は受験とかで忙しいやろうし、あげるんなら今年やろな。
 なにをあげるって? もちろんチョコレートや。屋上でたまに一緒になるあの子にあげるんやで。べべべ別に好きなわけやないねんよ? もちろんあれや、日頃の感謝を示す、義理ちうわけなんや、本当やで。
 家事なんか全滅な私やけど、たまには頑張るねん。既製品やのうて、手作りや。湯煎して買ってきたチョコ板を……ああん、なんで焦げてまうんや! やはり作り方の本を見ながらやないとあかん。でも私のことやから、本を汚してまいそうで怖いわ。そうや、書き写したらええねん。

 えーと、えーと。

 紙がないなー。ちょっと鞄の中でも見てみよっと――よっしゃ、このプリントの裏に書こっと。後で表見たらええし。

 ――――。

 わーい、やっとできたわ。台所がすっかり茶色になってもうたけど……さて。私は腕まくりをした。いっちょ、片さなあかんねん。なんやこの紙? あ、メモか。すっかり甘い香りに染まってもうたなー。もう字も読めへんねん。捨てよっと。

 つぎのバレンタイン当日、屋上にいつもの子を呼んだ。
「先輩……いいんですか?」
「なんやー? べべべ、別にあれやで、君のこと好きとか、本気とか、そういうことやないねんで。うん、義理や、ギリギリの義理なんよ」
 あー、顔が火照っとるん、自覚しとる。
「そうですか……」
 うわあ、残念そうな顔しとる。私なんかが男の子に期待をさせられるんか? 自信持ってええんやろか私――
「いやあの嫌いとかそういうわけでものうてなあ――」
 視線が合った。逸らせることが出来なかった。なんでや、なんでそないな熱い目を。
「ああん、開けて。なあ開けて」
「……は、はい」
 緊張しとるのか、ぎこちなく開けたそのなかには、ちょっと崩れた(うん、これはきっと『ちょっと』と表現してええねん)ハート型のチョコレートが。
「翼の形なんですね。きれいです」
「え?」
「あ……もしかして別のものだったんですか。あの、すいません」
 素で慌てているのがわかる。
「いや、ええねん。ええねんで。不器用な私が悪いんよ、君のせいやない」
 泣きたくなったけど――
「美味しいです。先輩の手作り、うん」
 私の前で、元気に食べてくれたんよ。ほんま、フォローが上手やねんな君。だから私、君が――ちゃうねん。別に君が本気で好きなわけないねん。うんそうや、恋とか、そういうのとはちゃうねんよきっと。うん……

 幸せな気持ちで胸が充たされました。あー、あの子私みたいにぼけーっとしとるけど、ほんまにええ子やなあ。この気分、誰にも邪魔されとうない。だからずっと誰にも秘密にしてるねん。一番仲良しなちよちゃんにすら教えてへんのやで。
 教室に戻ると、暦ちゃんがなにか集めとった。智ちゃんが「あ、忘れてた」と言うと、ため息して一言。
「おまえはすぐ忘れるなぁー」
 なんやってー。これは私の出番やねん。
「おっと忘れ物やったら負けへんでー」
「大阪もか! やるな!」
「ちょっと待ったー!」
 おお、神楽ちゃんも忘れたか。こうして3人で誰が忘れ物の王者か決定することに自然なったみたいやけど……

 プリントてなんのこと? それって何のプリント?

 ……そないなの、あったやろか。うーん……バレンタインで忙しかったし……うーん……
「さすが忘れ物大王の名を欲しいままにする女だ!!」
 ほめてくれてありがとー。

2年生編

70 跳ね返す? (原作3巻108P)

 榊ちゃんが、ちよちゃんが誘拐されてもお父さんが弾を跳ね返して救出するて言いました。しかも空を飛んで。どういうお父さんなんやろう。ちょっと気になるねん。うん、銀弾鉄砲でひそかに襲ってみよっ。

 ちよちゃんのお父さんを待ち伏せするねん。電柱の影に隠れて、サングラスをかけてスパイみたいにばしって格好決めてな――うーん、ぜんぜん帰ってきいへんなー。そういえば私、ちよちゃんのお父さんがなにしてるか知らへんねん。帰ってくる時間もわからへん。あー、しもたやろーか。

「きみ」
 あー、なんやのん? 邪魔せーへんといてんかー。
「おいきみ」
「なんですー? 私はちょっと忙しいんや」
「ちょっと職務質問していいかな?」
 警察官――!

2年生編

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