叛乱者 Those Who Revolt

艦隊戦
宇宙暦791年/帝国暦482年9月2~3日 模型1個=5隻 適当な数値や配置は推定
ラインハルト・フォン・ミューゼル少尉は、初陣でカプチェランカの同盟軍基地攻略に多大な貢献をし、同時に姉の失脚を目論むシュザンナ・フォン・ベーネミュンデ侯爵夫人の歯牙を退けた。武勲により中尉に昇進して待望の艦隊勤務に移ったラインハルトの新たな赴任先は、駆逐艦ハーメルンII(ツヴァイ)で役割は航海長。ジークフリード・キルヒアイスも准尉から少尉へ昇進して同艦の保安主任となった。ハーメルンIIは帝国暦482年8月27日、所属する第237駆逐隊の1隻として、イゼルローン回廊哨戒任務に出立した。

帝国軍 5隻
第237駆逐隊ハーメルンII(アデナウアー少佐 ベルトラム大尉 ミューゼル中尉 キルヒアイス少尉)
部隊長艦キッシンゲンIIIほか僚艦4 同盟軍 25隻
待伏10
伏兵15

アルトミュール恒星系に差し掛かったところで、第2237駆逐隊は小惑星帯に潜む同盟軍の待ち伏せ攻撃を受けた。奇襲してきた敵は少数であったが、規模は第237駆逐隊の倍はあり、しかも駆逐艦より強い巡航艦が中心だった。

奇襲
帝国軍第237駆逐隊5 VS 同盟軍待伏10

ハーメルンIIは初期攻撃で機関部に被弾を受け、機動力も4割落ちた。誘爆で艦長のアデナウアー少佐が負傷し、その場にいた最上位階級のラインハルト・フォン・ミューゼル中尉に指揮を委ねた。僚艦が面舵(右)を取って小惑星帯から離脱を図ろうとする中、ラインハルトは敵の伏兵を予期し、取り舵(左)を取らせた。

包囲
帝国軍第237駆逐隊5 VS 同盟軍25

副長のハルトマン・ベルトラム大尉が艦橋に来ると、すぐに僚艦を追わせようとした。しかしラインハルトは指揮権の委譲を拒む。口論になったとき、味方4艦の目前に同盟軍の伏兵が押し寄せてきた。その数10隻以上。奇襲部隊と合わせて戦力差は5倍以上である。ラインハルトの予見は当たった。僚艦がつぎつぎと撃沈される中、ハーメルンIIは機雷で自沈を装い、同盟軍が確認する隙に小惑星帯へと逃げ込んだ。

小惑星帯に隠れると、ラインハルトはベルトラムに指揮権を返した。ベルトラムは命令違反として、ミューゼル中尉を拘束した。同盟軍に空母がいることを知ったベルトラムは逃げ切れないと判断し、軍規に則りハーメルンIIを自沈させようとする。それは艦の乗員が全員自決して果てることを示していた。しかし100年以上に及ぶ戦乱によりその軍規はすでに形骸化しており、最近は遵守された例が少ない。多くは降伏を選んでいる。キルヒアイスの活躍で監禁から脱したラインハルトは、機関部員を味方につけて叛乱を起こした。生存するための蜂起である。

艦の指揮権を獲得したラインハルトは、シュミット一等兵の脱出案を採用した。シュミットは大学で天体物理を専攻しており、その案は恒星アルトミュールの表面爆発で発生する恒星風を利用して猛加速するものだった。シュミットは前もってベルトラムにも提案していたが、彼は一兵卒の戯れ言としてにべもなく却下していた。シュミットが専門家だということは階級の前に無視されていた。

ベルトラムは自沈の意志を知らない部下の協力で脱出し、指揮権の再奪取を図る。艦橋で銃口を向けたにらみ合いとなったが、キルヒアイスの機転で言い合いが艦内に流れ、全兵士がベルトラム大尉の本意を知ることになる。軍隊内の尺度しか持たないベルトラムにもはや味方はいなかった。激発したベルトラムの銃撃により、兵士が1名死亡するという悲劇も起きる。そこにようやく意識を回復したアデナウアー艦長が病室から出てきて、正式にラインハルトへ指揮権が委譲された。艦長が求めていたのは名誉を守る逃避ではなく、生き延びようとする挑戦だった。

脱出
ハーメルンII(アデナウアー少佐 ベルトラム大尉 ミューゼル中尉 キルヒアイス少尉) VS 同盟軍25

ハーメルンIIは機関部を修理しつつ、恒星アルトミュールへの接近を開始した。しかしいざというときになって外側から修理しないといけない箇所が出てくる。すでに恒星へだいぶ近づいており、外壁はかなりの高温になっている。ベルトラム大尉が危険な修理役を買って出た。修理中に同盟軍の1隻がハーメルンIIに気づき、長射程ミサイルを放った。土壇場で修理が終わって姿勢制御を行いハーメルンIIは危急を脱するが、ベルトラムは修理に参加した部下をかばって事故死する。シュミットの予測通りアルトミュールの表面爆発が起こり、恒星風に乗ったハーメルンIIは急加速して同盟の包囲網を突破した。

最後にアデナウアー艦長は言った。
「私の艦で叛乱など起こったことはないよ」
この一言でラインハルトの罪は不問となり、故ベルトラム大尉は二階級特進した。ラインハルトは内心馬鹿にしていた艦長の意外に深い識見を知り、彼を見直した。自分もまだまだ人を見る目がないと痛感したラインハルトは転属を志願した。できる限り多くの部署を経験し、もっと広い視野を得ようという意志の現れである。以後もラインハルトは昇進のたび所属先を変わり続けることになる。その傍らにはいつも、赤毛の親友がいたのは言うまでもない。
帝国軍 1/5隻
第237駆逐隊ハーメルンII(アデナウアー少佐 ×ベルトラム大尉 ミューゼル中尉 キルヒアイス少尉)
×部隊長艦キッシンゲンIIIほか僚艦0/4 同盟軍 25/25隻
待伏10/10
伏兵15/15

ハーメルンIIを帰還せしめ、敵の侵入を味方へと伝えた功績により、ラインハルトは大尉に昇進した。若干15歳であるから猛烈な出世速度である。新たな任務先は軍務省監察局内勤で、ラインハルトは軍内部の深い腐敗を知る。筋が通る世の中にすることを誓い、門閥貴族の不公平を是正したく思ったラインハルトは、シャフハウゼン子爵を助けるために決闘に出ることになった。

エルクスハイマー伯という強欲な貴族が、ラインハルトの姉アンネローゼ・フォン・グリューネワルト伯爵夫人と交友があるシャフハウゼン子爵に言いがかりをつけ、子爵家の領地で見つかった鉱脈の採掘権を奪おうとしていたのだ。決闘といっても形式化しており、命をやりとりするほどではない。古式ゆかしい火薬銃や剣で、相手の戦闘力を限定的に奪ったほうが勝利者となる。

火薬銃の訓練をしていたところで、ラインハルトは銃の名手コルネリアス・ルッツから有効なアドバイスを受ける。これはラインハルトが将来発掘する部下たちとの、はじめての会合であった。

決闘にベーネミュンデ侯爵夫人が介入し、決闘者でなく暗殺者を送り込む。ラインハルトはキルヒアイスの機転もあり軽傷を負うものの無事に暗殺者を退けた。やがて少佐に昇進したラインハルトは、ふたたび前線勤務へ戻っていった。

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