ペルーン Perun

全長1156m 全幅72m 全高358m 乗員1264名 ナンバー1201 同盟軍第12艦隊
1/5000ガレージキット(提供ウォルフ(Wolfgang))さま
第12艦隊の旗艦で、ヤンが良将と評したボロディン提督の船である。
ペルーンの特徴はアイアース級(パトロクロス級・アキレウス級)でも少数派の戦闘思想、長射程仕様にある。40門ある主砲はすべて高威力の長距離専用で、そのぶん長いジェネレーターは通常の艦首構造には収まり切らず、アイアース級の特徴となっている艦首のくびれを完全に均してなんとか実現させた。 通常艦首くびれ部にある短距離ミサイル格納庫および発射機構は、エネルギー集束装置に占拠されている。それ以外の差異はとくにない。本艦とおなじドクトリンを持つリオ・グランデは、艦首部を延長することで問題を解決していた。 埋没艦橋直上の銀色に光る情報収集センサー群はアイアース級に共通する露出部である。ペルーンはこの部位で前へと若干突出する四角形状の構造を持っており、銀色の面積がそのぶん広くなっている。センサーを通常より多めに搭載している理由がロングレンジ運用に関係しているかは不明だ。 ロングレンジを望んだのはペルーン建造当時の第12艦隊司令部であったというから、民主主義の軍隊にありながら、艦隊司令官ないし幕僚団が持っている権限の、意外な大きさを垣間見られるエピソードであろう。 同盟軍艦艇における砲戦の特色は中小口径を軸に、かつ中距離戦闘を中心として、手数の多さで勝負することにある。この戦術思想に反している帝国型なペルーンの主砲はしかし砲門数が標準のままでエネルギーを喰らいすぎるため、連射がまったく効かない。エネルギーをプールしておく蓄電装置もアイアース級標準仕様のままだったようだから、時間を置いて連射するにも限度があったようである。 ヴァンフリートやティアマトの戦いを無難にこなし、ヤンをしてウランフと並ぶ提督だと認識させた名将だっただけに、アムリッツァ前哨戦の大敗は目を覆わんばかりであった。ボルソルン星系でルッツ艦隊に急襲された第12艦隊は壊滅的な打撃を受け、ボロディンが気付くとペルーン周囲は護衛艦8隻にまで撃ち減らされていた。全滅してもすべての艦艇がことごとく沈むわけではないから、数千隻は降伏するか、逃げ散ったと予想できる。 常識外れの負けっぷりからか、ボロディン中将は自決を遂げた。発作的な自殺であったかも知れないが、死後敗戦の責を問われるわけでもなく元帥へ特進できたのは、アムリッツァを通した全体の負け方があまりにも激しかったことが影響しているのだろう。 中将が亡くなった直後、第12艦隊は指揮を引き継いだコナリー少将により降伏、ペルーンは帝国軍に接収された。研究資料として開発部局に送られたそうであるから、実弾演習の的として破壊される最悪の運命だけは免れている。 後に第一次ラグナロックで帝国が同盟を攻略した際、バラートの和約で帝国が同盟へ優先的に破棄を求めた旗艦級戦艦はもっぱら多砲門タイプであった。ペルーンを解析した結果、長射程タイプは帝国の驚異とはならないと判断したようである。
これによりペルーンは皮肉な殊勲をひとつあげた。長射程型が後回しとなったおかげで、その破壊順が巡る前に帝国と戦争状態に再突入し、リオ・グランデが再び戦場に立つ機会を得たからである。 艦名はスラヴ神話の主神にして雷神である。嵐を起こし、罪人の前にあらわれて武威を持って罰し、農作物の豊穣を約束する。キリスト教が広まると異教の邪神とされたが、後世聖人エリヤと結びつけられて復活した。景教圏でも地域レベルでは日本における神仏融合に似たようなことが割合普通に見られる。
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