山田照明/EIZO Z-LIGHT Z-80PRO ×2台 + Nikon 拡散板 SW-12 ×4枚

東方光画機
購入:2015/08 分類:照明器具/ディフューザー

 アマチュアにも手が届く価格帯で、LED照明では初となる色評価用ライトだぜ。色管理モニターのEIZOと、山田照明の共同開発だ。

 それとニコンの拡散板を合わせてクリップで固定し――

 布で覆い、手作り満載なライトバンク的っぽい運用。

 でも剥がして、色評価用蛍光灯やレフ板群を加え――

 最後はLEDだらけでまたライトバンクっぽく覆った話。

 Zライト208を購入し色評価蛍光灯を使い始めてびっくりしたぜ。博物館などで使われている色評価用蛍光灯は、デジカメで「色被り」しない。がぜんと色評価光源に興味を持つようになった。

 色評価用のライトは太陽光――自然光を再現するんだぜ。デジカメは屋外のそういう光に最適化しており、太陽光下でもっとも綺麗に写る。だから人工の光も太陽光を再現すればデジカメで鮮明に写ってくれる。それがLEDでも可能になってきた。

 これまでLEDの色評価用ライトはガチプロ用しかなく、最安価でも30万円くらいしてた。最近になって15万円まで下がったが、やはり高嶺の花だった。色評価用ほど厳密ではないが、超高演色をうたう自然光LEDライトでも1万円以上していた。そこに2014年初夏、いきなり実売2万円台の価格破壊が飛び込んできた。一般消費者もターゲットとした照明器具を販売している山田照明の Z-LIGHT Z-80PRO だぜ。商品名に「Z」とか「PRO」が入るものは、たいてい大衆向けだ。私みたいに半端に意識だけ高い横好きがこぞって買いたがるから、真実のプロ用品より数が売れる。おかげで価格を抑えられる。それでもノーブランドのスタンドやライトと比べ何倍も高いが、それだけの性能を誇っている。

 さてこれまでフィギュアレビューの光源は蛍光灯を使っていたが、いつも3灯以上で色情報を取得していた。理由は2灯以下だと光量変化の差が大きくなりすぎ、せっかくの補正がズレやすいからだ。通常の蛍光灯は人間の肉眼にはきれいに見えるが、自然光からズレてるため、人工光を苦手とするカメラには変な光に見える。理想なら構図ごとに色情報を取得しつづける必要があるが、撮影テンポが狂うので最初にしか取ってない。

 蛍光灯だとやや赤めに調色することが多い。肌色がズレてもなんとか瑞々しい色に見えてくれる。通販サイトをみれば、赤めな肌のサンプルがけっこうある。

 色情報を取得した条件よりライトが強くなると、補正不足によって色かぶりが浮き上がる。下は緑かぶりの例だ。いつもこういうブレに悩まされていたが、撮影テンポを守りたいのであくまでも色情報は一度か多くても三度くらいしかゲットしていなかった。

 私の場合は3灯という色偏差おおきめな条件でプリセット情報を取得してきた。これなら光量や構図の変化への耐性がやや余裕を持ち、極端なズレは起こりにくい。だがこれにも問題があって、光が多いため影の演出をしづらい。表現の幅に制限がある。通販サイトは妙に明るい写真が多いが、光量のブレをすこしでも減らす目的があると思う。

 デジカメがいかに人工光を苦手とするか見てみよう。まず無補正。すごい状態だ。人間の目にもこんなには見えないが、カメラにはこう見える。一般的な蛍光灯はあくまでも人間のための照明であって、デジカメの都合は考えてない。

 適性補正だぜ。一挙に鮮やかな色になるな。だけどファインダーの中ではこんな綺麗に見えてくれない。すこしくすんでる。

 光が強くなると全体がくすむ。蛍光灯下だと肉眼ではこんな感じに見えてるぜ。

 光が足りないと過剰に補正してしまう。赤いな。

 こういう変化にいつもアレだったので、色評価用照明に走ったわけだ。色温度は5000度で、ブツ撮りにほど良く、ちょうどいい。最近は映像からの流れで5600Kが主流らしいが補正でどうにでもなる。

 Zライトの特徴は自在な可動にある。こんな高くなったり。

 低くなったり。これはRIFAも驚きの自在さだぜ。

 さっそくテストだ。おいおい、まさかの色偏差−1! ほぼゼロだな。このマイナスは背景からの色かぶりを補正した成分だ。高演色を宣伝する蛍光灯やLEDでも、色評価モデル以外は色が偏ってる確率が高いので注意なんだぜ。

 ディフューザーを挟まず裸で写してるけど、ZライトのLEDは拡散光処理を施してあり、最初からあるていど柔らかい光を実現してくれている。裸の蛍光灯ではとても無理だ。

 へいっ、これが色評価用LEDの世界だぜ。Z-80PROは平均演色評価数Ra97(最高Ra100)を実現している。これまで使っていた蛍光灯はRa84止まりだ。蛍光灯にも色評価用があるが、残念ながら直管タイプしかなくてしかもオーバーサイズ。フィギュアを写すにはでかすぎる。いちおう撮影用ライトバンクも売られてるが業務用なので最安価でも20万円くらいする。

 一般蛍光灯との違いはこうだ。光量をずっと小さくしても、色のズレが起こらない。これが欲しかった! 何年も欲しかった安定だ。妥協しなくて済む。なお色温度4500は適性色温度相当へ持ち上げるためのカウンター補正。

 フォトラをレフ板とした状態でも、現像情報はまったくの不変。背景紙を変えないかぎり、最初の取得だけでさまざまな構図や光量を心おきなく試すことができる。むろん構図ごとに取得していけば蛍光灯でも一定の発色を得られるが、色々と面倒なことになる。

 ここで色評価用LEDと一般蛍光灯の適性状態の絵を見比べてみる。はっきり言えば劇的な向上があるわけでもない。昨今のデジタル補正はなかなか高度だ。ただし蛍光灯はどうしても赤を強めに補正してしまう傾向となる。緑にズレた肌は不健康な印象があるので、緑が強まっても健康的な肌に見えるよう、赤っぽくしてしまいがちだ。それは通販サイトのサンプルを見て回ればよく分かるぜ。蛍光灯のほうが色温度が低いのは、ディフューザーを通してさらに温度が低下してたため、補正値が大きくなった。

 LED照明の利便性として、光量調節がある。

 こんなに出力が違うと、まったくべつの光源だね。

 さてここでちょっとしたテストをしたい。光量100%、露出1/20秒で写したもの。

 こちらは光量10%、露出2秒のもの。まったく見分けがつかない。光の硬さもだ。じつはディフューザーの要不要を判断するためのものだ。蛍光灯だと長時間露光で光が柔らかくなったりするそうだが、直進性の高いLEDでは無理だった。発光原理がまったく異なるからね。

 というわけでLED用にもディフューザーを調達しようとして、RIFAのをちょっとテストしようとして、おかしなことに気付いたぜ。下の写真は2011年2月、購入直後のものだ。ディフューザー布は真っ白だな。

 ところが4年半経過後……なんだこのシルクみたいなちょっと黄色いかんじ。未使用ディフューザーと比べてもあきらかにアンバーよりだ。そうか、これのせいで色被りがさらに強調され、色作りにやたら手間と時間がかかるようになってたんだな。よくみればフォトラのほうも色が変わってたぜ。これはフォトラをレフ板がわりに使うのも控えたほうが良さそうだ。

 てなわけで「高演色光源」向けのディフューザーを注文した。「日焼け」したRIFAとフォトラは使用を停止した。肉眼に見えるくすみ色の原因はおそらく変色したディフューザーだ。はっきり言って発色の評価ができない。現像するまでどんな色になるか、蛍光灯だとまったく不明だ。それが色評価用LEDならそのまんまなので、じつにありがたい。

 ニコン純正の拡散板 SW-12 というアイテムを4枚購入した。

 ディフューズ環境の構築に際し、乳白色のスチレンボードやアクリルを試している。スチレンは熱でゆがみ、アクリルは透過した色が赤へズレた。ディフューザーを通せば「見た目の色」は必ず変わるが、それは光量低下による色温度の変化であって、適性露出と適性素材であれば色ズレは起こらない。結局はニコン純正の拡散板を選択した。さすが専用品というか、おなじ面積で価格は一挙に10倍近い。

 面光源にはトレーシングペーパーやただの布が変色も起こらず最強らしいのだが、薄すぎて透過率が高く拡散効果も弱いのがネックとなる。つまり満足いく性能を得るには光源からディフューズ面までの物理的な距離がかなり必要となり、布幕を使うRIFAだと数十センチ取っている。下の写真みたく光源一体型でコンパクトにまとめるには、どうしても厚みのある素材でなければいけなかった。

 ニコン拡散板SW-12は厚さ2ミリ近い硬質樹脂だ。本来はストロボ拡散に用いるツールで機動性優先のためかサイズはA5と小さめなので、2枚繋げてる。固定に使用したのはアストンのフリークリップLL。

 SW-12 は片面がザラザラしたマット面で、無数の細かい凹凸が表面にある。これは拡散のための構造らしい。

 もう片方はつるつるテカテカの光沢面だ。なぜこうなってるか、詳しい使い方など書いてなかった。おいおい、理由とか使い方くらい教えてくれよ。レフ使用時に反射光を防ぐため?

 仕方ないのでネットでいろいろ調べてみると、片方だけ拡散的な構造になってるのはそのほうが波長的なもののコントロールがしやすいからだそうだ。たとえば SW-12 の親戚、ストロボに直接つける SW-14H だと、光を受ける側だけ凹凸になってる。

 Z-80PROの発光面もそうだぜ。発光体より光を受ける側が複雑な模様構造になってて、光を放出する側はすべすべだ。ほかにも同系統の会社やメーカーのサイトで技術解説を読めば、似たようなこと書いてた。まあそういうの以外にも単純に写り込み防止とかいろいろ使い勝手があるんだろうな。

 さて、まずは Z-80PRO の直射だ。これはこれで良いと考える人も多いだろうが、発色はともかく写真道的には厳しい。

 拡散板を使用、ざらざらなマット面をフィギュアに向けたもの。けっこう変身し、RIFAやフォトラのようになったぜ。

 こちらは光沢面を向けたもの。あまり違いはないように見えるけど、じつは細部に生じてる。

 まずは直射と拡散板の比較だ。さすが専用品、値が張ったぶん色が変わらず安定している。高演色光源のディフューズにはストロボ用品が良さそうだぜ。なにせスピードライトの演色性はとても優秀で、軒並み蛍光灯やLEDの普及品を大きく上回る。それをニュートラルに調光するためのツールだから、色評価用LEDでも正しく機能してくれたぜ。
 直射でもあるていどの拡散光だけど、LED発光素子と拡散パーツが接近しすぎてるから、LEDの持つ高い直進性に由来する欠点(影のエッジなど)が出ている。人によってはこれはこれで良しとするだろう。個人的には燃え玩具には合いそうだ。でも私のおもな被写体は萌えのほうだ。閉じた目のハイライトが拡散板のほうは白飛びもなく収まっている。この拡散具合、じつはフォトラを上回る。フォトラはフィギュアの目に白飛びがハイライトとして浮かぶことがあり、けっこう苦労してた。

 つづけてマット面を表としたのと、光沢面を表とした奴の比較。マット面を表にすると光が遠くまで届き、背景が周辺まで明るくなる。ただし全体的には光が平坦化しすぎ、近距離の光量が不足しがちだ。光沢面を表にすれば背景が暗くなるかわりに被写体は明るく写る。ディフューザーとしての性能でなにを優先するかで、どちらを被写体へ向けるか好み次第。

 うちでは以前から背景軽視で被写体優先なので、迷わず光沢面を表とし、ざらざらな面を裏にした。だがこの状態、横が丸開きだな。漏れた光が暴れないか心配になる人も多そうだが、大丈夫だ、問題ない……かも。
※12月ごろ方針転換で光沢ざらざらを反転させた。

 フレーム内に入らなければ大丈夫だろうけど、バウンズで思わぬ色被りを拾ったら面倒だな。私の照明スタイルは被写体へどんどん光を寄せる。そのほうがメリハリが付く。同時にバウンズの影響も増す。

 サイド開きのこいつで気をつけなければいけないのはやはり、下の水色丸みたいな光条だ。

 サイド開きまくりな簡易ライトバンクもどきだが、撮影にさして支障はない。下のようにキレイに写せる。だが背景に光の急に変わる部分が写り込んではいけないという制約がつくのは確かだ。

 あまり時間を掛けるのもアレなので、単純に黒いタオルで囲ってライトバンク風にしてみた。

 へいっ、クリップで留めるだけで手作り感たっぷりだぜ。

 サイド開きに比べたらずっと信頼度は向上だぜ。漏れた光が余計なことしないから、逆光的な演出ができて、ようやくライトバンクっぽくなった。

 だけどこいつ、市販のライトバンクとまったく違ってて、内側もすべて真っ黒だ。ライト本体も黒いしな。通常は白か銀なんだよね。ブラックだと光を反射せずみんな吸収してしまうぜ。

 これには根拠もあって、Z-80PRO を共同開発したEIZO社が発売した色評価ブースが「まっくろくろすけ」だ。ほかの会社がリリースしてきた評価用ブースは灰色だったりツヤ消しホワイトだったりしたが、EIZOはさらに進んで黒、ブラック! 余計な環境光は一切許さないぜと強い意志だ。このメーカーの色管理モニターはアクセサリーも含めてみんな黒い。カメラの色が業務用途で黒しかないのに通じるものがある。

 ほかにも根拠が2つある。ひとつめはLED素子は熱に弱いので、メーカーが想定してない使い方で温度を上昇させすぎるのは禁物だってこと。内部で反射させて光量を稼ぐと、LEDが仕様外の高温に晒されるというわけだ。ふたつめは反射素材の問題。内側で反射させて光量を稼ぐにも、「正しい素材」じゃないと色評価用LEDの色味が確実にズレてしまう。つまり市販ライトバンクの布を転用するしかないのだが、LED対応品でこのスタンドを覆えるサイズって数万円するんだよね。安物もあるが色が転びそう。

 以上のようにライトバンク(灯火の倉庫)とは呼べないが、照明と拡散を機能レベルで一体化しておくメリットは大きい。なにしろアームがライトスタンドだから、撮影が三次元的にテンポ良くさくさく。光量が少ないのでRIFAほどの性能はないが、単位時間の機動性では大きく上回る。ネジを緩めて動かして締めて――などがない。取っ手を握ってダイレクトだ。真横から真上へ、わずか2〜3秒足らず。

※追記
 何回か使ってみて、どうも黒布が特定波長を強めに吸収? してるっぽくて、色合いが変化するのであっさり外した。あとはレフなどで対応。さらにZ208Bも色評価用蛍光灯ごと灯具の仲間入りを果たしたぜ。みんな撮影専用の灯具じゃないから、低下した性能を補うため自然とレフ板だらけだ。

 遮光はこのように黒レフで行く。

 以上、新しい光源の運用方法はこれまでの経験則などから、演出力より速度重視で片が付いた。照明をフィギュアへぐいっと寄せるやり方は以前から変わってない。フィギュアと光源を離すと光が均一になりすぎ、通販サイトやサンプル写真みたいになってしまうぜ。それは見本写真としては上質かもしれないし色被りのブレも起こりにくい利口な写し方だが、趣味の撮影としては緩急に欠け個人的にはモチベーションを保てそうにない。「主流」というだけで興味を失うおかしな傾向を持つ私は、あえて少数派の接近照明を行いつづけ、その荒波を制するツールとして色評価用LEDを選択した次第だ。

※追記
 机をふたつ並べ、離れたライティングも取りやすくした。プライズ系などはライトを寄せすぎると光沢が強めに出てしまう。やはり時と場合に寄るぜ。おかしな信念? は持たないほうが良さそうだ。

※追記
 撮影者の顔や服の色まで発色に影響してしまうほど光量が不足していたため、やはり再ライトバンク化した。今度は銀サテン布だ。変色しないのを確認済。

 内側が銀色なので1.7倍に増光した。シャッタースピードより計算。

 こんな感じで5灯態勢、Z-80PROは左右配置でほぼ役割が決まった。あとは不足したところへレフを足していく。ずいぶん光量を回復して良い感じ。


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