Nikon Capture NX-D

東方光画機
無料:2014/10 分類:画像処理ソフト

 最新の画像処理エンジンをいつでも再現してくれると聞き、ニコン純正の現像ソフトを導入した。ずっと使ってるシルキーピックスが大元なので使いやすい。ただしすこしピーキーな処理を行おうとすれば、私の古いPCではすぐソフトがフリーズないし強制終了してしまう。正式版リリースよりまだ三ヶ月で残留バグ(表示系・出力系で色々と挙動不審。私が見つけただけでも5つくらい)も多いようでシルキーピックスは手放せないし、これまで通り最終調整や出力はフォトショップで行うぜ。

 純正ソフトなのでニコン機が写したデータの「あらゆる数値」を自由自在に操れる。しかもニコン独自の用語や設定ないし定義のままで。ゆえにレビュー撮影時はカメラ側の設定をすべてフラット(なにもしない)にした。おかげでソースデータは下のように「なにこれ」な感じだ。撮影時間短縮を優先してブツ撮りのセオリーを色々と無視しまくってるので、色被りなど派手に起きている。コンデジ&jpgで写せば頭を抱えるような条件だし、ナノクリレンズでなければフレアが豪快に発生する。ハレ切りなど一切していない。カメラやレンズの性能で押し切ってる。カットごとにまともに調光してると「時間があまりにも掛かりすぎる」のと、フィギュアにレフ板・遮光板が引っかかり「破損するリスクが常につきまとう」ので、機材性能に頼る今のスタイルになった。

 それを現像ソフトで強引に補正してこうなる。くっきりはっきり、発色もすっきり。この手の濃い調整はコンデジや一眼の入門機みたいで「素人受け」する料理方法らしく、フルサイズ機が勿体ないという意見も聞く。もっとも私自身が好んでるから仕方ないぜ。なにしろフルサイズ機への移行自体がノリだった。D600などにも乗らなかったくせに、Dfが出たとたん割高と知りつつ発売日に買ったような適当な人間だ。

 下のようにみんなマニュアル調整。カメラ側の手助けはピクチャーコントロールのポートレートモードをベースにするくらいか。ポートレートモードはデフォルトだとフィギュアにはメリハリがまだ弱い気がするので、トーンカーブをアンダーややシャドウ寄りに振った状態で登録している。そこからフィギュアごとに微調整する。

 それでも周辺減光著しい絞り開放近くはニコンのデジタル機能を使う。アクティブDライティングという、HDR(ハイダイナミックレンジ)系の処理だ。これを使えば背景の発色が絞ったときに近づく。ただ減光を補正したくらいではバックは明るくならない。ただし輪郭周辺が暗くなりがちという欠点を有するので、出来るだけ露出補正やトーンカーブで持ち上げたいところ。

 NX-Dは無料で利用できるうえ、ニコンデジタルの画像処理エンジン、EXPEEDの最新モジュールを再現する。このレビュー時点ではEXPEED4だ。DfはEXPEED3で、すでに一世代前となっている。ピクチャーコントロールやノイズリダクションでほかの現像ソフトを使うよりもニコン仕様を利用できる。明瞭度といった数値はNX-Dでしか調整できない。最近はシャープネスや輪郭強調をゼロにしている。低感度ノイズを減らして階調を維持し、かつボケ味をすこしでも高める効果を狙うためだ。こういったアプローチはjpgでは不可能で、RAW現像でしかできない。
 確実に眠い絵になるので、等倍で観賞する人は悲鳴をあげるだろうが、フィギュアをおもな被写体とする私が解像を求めても仕方ない。そもそもF8以上に絞れば回折現象で解像度が落ちるから、マクロ領域で解像力など優先度の低い事項であろう。
 シャープ処理はもっぱらjpgとして最終出力するときに行う。

 ISO感度100で現像時のシャープ処理がボケに与える影響。等倍では思い切りノイズが乗る。低感度ノイズの少なからずが輪郭強調によって生じる。シャープネスが欲しいときは現像後に画像加工ソフトでしきい値を管理すれば、ボケ部分を滑らかなままに出来るぜ。
 追記:現像時シャープゼロ、現像後にシャープマスクの流れはプロにもやってる人がいた(しかも複数)ので安心。

 二週間ほどさまざまな場面で試行錯誤を繰り返し、すくなくともニコンDfでは下の感じになった。良く分からないがエッジノイズなんたらとアストロなんたらを両方ともオンにする。ほかの現像ソフトが自動的に消してくれるホットピクセルは、NX-Dではアストロノイズをチェックしておかないと消えにくい。
 レビューはISO感度100固定、野外撮影はISO100〜12800共通。シルキーピックスのときはISO感度区分ごとに何通りもノイズ処理調整を用意してたが、けっこう管理が面倒なので今回の調整値を探した。低感度と超高感度をいっしょにするなど頭のおかしい調整だけど、じつはシャープ処理をしないからこそ可能な芸当。シャープネスに数値を入れると高感度ほどノイズがぐんと増える。

 いろいろチェックを入れたNX-Dはとたんに動作が重くなるので、写真の取捨選択用として軽量なPhotoStageProを採用したんだぜ。これで捨てて減らしてから、NX-Dで読み込む。

 さて、野外撮影用の共通ノイズ消しの状態を見る。まず高感度で、EXPEED4相当とEXPEED3相当の比較。EXPEED3はカメラ側が自動判定した設定値だ。輪郭強調処理をカットしてるのですっかり眠くなっている。一方、高画質2013(EXPEED4相当)はシャープを入れずとも輪郭のディテールがしっかり残っている。EXPEED3からEXPEED4は露出一段ぶんの向上があるとされている。

 このふざけた広範囲設定はフルサイズ機にしか使えない。APS-C機では「?」となる。ISO感度100からノイズが出ているから。

 フルサイズ機で低感度。ISO感度12800でしっかりノイズを消してくれるおなじ数字設定でありながら、ディテールの損失が見られない。そういう設定をギリギリまで追ったぜ。

 EXPEED3相当でISO12800の調整値を放り込むと、ディテールが一挙に失われる。高感度2013モードはノイズをしっかり判断し、ディテールを高精度で保つ。

 五重塔、ISO感度100。しっかり写ってる。

 プロ用のセンサーを積むフルサイズ機ニコンDfは高感度にかなり強いのでいきなりISO感度12800で。EXPEED3相当とEXPEED4相当、どちらもぱっと見では大きな差はないかも。こういう掲載サイズでの使用が多いので、ボケを堅くするシャープ処理を重視してない。二線ボケや年輪ボケが強調されちゃう。

 おまけでISO感度25600。さすがにEXPEED3相当は厳しくなってきたか。これまで使ってきたシルキーピックス4だったらノイズが浮き上がって使えたものではない。技術の進歩だね。なおこういうノイズ消し技術はキヤノンのDIGICがすごいらしい。Dfでは800ピクセル掲載ならISO51200まで行けそうだ。低感度も拡張ISO50から。つまりISO感度50から51200まで、フルサイズ機&シャープなしという条件で、まったくおなじ調整値でいけちゃう。すごいな。こういう写真を出力されると、シルキーからあっさり乗り換えるのもご理解いただけると思うぜ。
 写真に凝るならフォトショップの何万もする奴だろうけど、使わない機能が99%。普段はフィギュアのぱんつしか写してないのに、いるのか? って疑問が出てきて、純正のフリーソフトへ走った。ステップアップしたくなればそのうちほかのソフトを探すだろう。

※OSをWindows10にして要求スペックが高まったようで、不安程度が増し強制終了が頻発、ストレスが大きすぎてほとんど使わなくなっている。とりあえず安定するまでインストール状態と忘れた頃に試用するパターンで。色々調べてみると、カメラメーカー純正の現像ソフトが安定版まで進化するには、数年くらい普通にかかるらしい。気の長い話だぜ。