COSINA Carl Zeiss Makro-Planar T* 2/100 ZF.2

東方光画機
購入:2016/02 分類:マクロレンズ

 以前から欲しかった光学特化の大本命マクロレンズだぜ。外装は総金属。

 スチル用マクロレンズとして万能を目指さず、特定条件範囲での光学性能に先鋭化したやつがこのマクロプラナー100mmだ。像面湾曲をはじめ、さまざまな収差を徹底的に抑えたスーパーレンズだぜ。おかげさまで値段は……フルサイズの現行中級機が新品で買える。マクロプラナー新型のミルバス100Mなんか20万円だ。だから中古だが、良い個体を探してるうちに予算があがっていき、結局13万円以上かかった。

 クラシカルな見た目を維持してるレンズだから、古い外観をもつニコンDfによく似合うぜ。2016年春にミルバスへと外装が更新される予定で、2015年秋に生産中止となったのが購入動機でもあった。外見が現代レンズ化するミルバスではおそらく所有感を満たせない。カメラがこんなだし。しかも光学設計も変わらない。新型といってもコーティング調整されるだけで光学性能はほぼ同じという話なので、ならばと重い腰をあげた。購入はマクロプラナー50mmと同時だ。

 マイクロ105mmとの大きさ比較。マイクロニッコール太くて重いぜ。なんでも搭載してるからね。

 ピントが近いとマクロプラナーは伸びる。全群繰り出しという方式で、原理的にはインナーフォーカス式より画質で有利だ。これはズームによるレンズの伸張とは違う。安価なズームレンズでもピント合わせではレンズ全長が変化しないものも多い。全群繰り出しは重心の変化が大きく鏡筒内へホコリが入りやすいので、最近のマクロでは全長不変のインナーフォーカスが主流になっている。

 絞りリングや測距目盛、絞りによる被写界深度目盛りまであるぜ。自分の目と手でピント合わせをおこなうマニュアルレンズだ。AFモーターなど存在しない。ヘリコイドを手でぐるぐる回すぜ。マニュアル仕様なのでヘリコイド機構にグリスが塗られている。AF前提となった最近のレンズがとっくに失ったもので、茶筒の蓋のようなスムーズさですーっと動く。現行レンズで手動によるピント合わせが快適なレンズ群はコシナツァイス&フォクトレンダーとAi-Sニッコールくらいだ。マクロ撮影はマニュアル操作が多く、マニュアルフォーカス専用レンズの意義もそこそこ出る。

 通常使用に合わせ、前蓋と裏蓋をニコンのものに揃える。ツァイス純正はずっと防湿庫で保管だ。レンズ交換が多いので、以前から他社製レンズでも蓋はニコンに替えている。そのままだったのは専用蓋のある魚眼や超広角くらいだな。

 マクロレンズが標準と中望遠で2セットできた。撮影でどちらを使うかは気分で適当。レンズの色味はメーカーや生産時期によって微妙に異なるので、おなじ撮影で使い分けるなら同社製・同時期のセットであるほうが望ましい。レンズを付け替えるたび色味の調整とか面倒だからね。相変わらずズームレンズが標準しかないが、こいつの出番はサイト掲載ベースで写真活動の一割未満にすぎないので、さほど困ってないのがトホホ。長野遠征でも標準ズーム一本で済んだ。いまのところ写せないものはすっぱり諦めるか、写し方・見せ方を工夫する。でも金ができればたぶん望遠とか広角を揃えるだろう。

 比較試写だぜ。以前なら色のレベルで差が出たのだろうが、いまはマクベスチャートとカメラプロファイルで色を揃えている。ただし差が大きいとレンズごとにカラーチェッカーを撮影する必要が生じるので、やはりメーカー揃えは大切だ。とりあえず色をマクベス単位で管理してる以上、比較すべきは解像感とかになるだろう。両方とも優秀な写りだ。一般的な評価としては、マクロプラナーのほうが色乗りが良いらしい。編集ソフトのスポイト機能で測ると、たしかに肌色が濃かった。マクロプラナーで写したレビューは、フィギュアが艶っぽくなる。

 絞り開放でさらに違いが生じる。マクロプラナーは開放F2、マイクロニッコールはF2.8だ。同一構図ならマクロプラナーのほうがボケ量を稼げる。ただしマクロプラナーの最大倍率は1/2で、ハーフマクロと呼ばれるジャンルになる。数センチくらいの小物になれば、等倍撮影が可能なマイクロニッコールに軍配があがる。

 最小絞りでもマクロプラナーは不利だ。F22は通常のレンズ並にすぎず、実効絞りF57が使えるマイクロ105mmほどではない。

 等倍マクロ所有前提であれば、マクロプラナーの真価は下のような開放寄りで発揮される。ボケも良し。ツァイスはレンズ設計においてボケ味をとくに追求したりはしないが、理想的な光学性能を求めてるうちにボケも美しくなったそうな。ボケそのものが収差の現象だから、収差の制御がきれいならボケもまた整然となる。

 ナノクリマイクロほど逆光に強くないが代わりに鏡筒内乱反射の「虹」が写せる。レンズの味か。

 野外で試し打ちだ。みてのとおり背景がさほど「煩く」ならない。ズームレンズなら大三元級でも二線ボケ確実な構図なのだが、マクロプラナーの収差抑制によりエッジ強調が起こらず、おかげで後ろがわりと大人しい。こういう部分に10万円オーバーの価値が隠れている。ただしマクロレンズの特性上、ボケ質に特化した高度な単焦点レンズほどのボケ味は無理だ。あくまでもマクロレンズとしては極上という話。

 ハーフマクロなので梅を最大に写そうとしてもこの辺が限界。トリミングしてしまえばいいんだけどね。

 100mmは主体と背景の色分けが簡単にできる。F8でもこうだ。

F2

F8

 怖いくらいボケ量が大きいな。ファンダーも明るい。

 ボケの質ではマイクロニッコールより格上といえるだろう。もう10年になるから、そろそろリニューアルして欲しいなマイクロ105mm。

 下の写真、右側に二線ボケの兆候が発生している。この辺がマクロレンズゆえ仕方ない部分か。なにで読んだか忘れたが、解像力とボケ質の両立はきわめて困難らしい。ボケ評価の高いレンズは絞り開放の解像がいまいちってモデルが多い。ごく一部にそういうのを無視できる超人レンズも存在しているが、お値段がご立派なことになってしまうぜ。キヤノンのアレとかツァイスのアレとか。

 遠景を絞って。こういうのはズームだろうとも大差ない。マクロだけど遠くもいけるよってだけ。

 絞り開放で格子むこうのアオバト。ボケ量で突破できる。

 曇天なのだが色乗り良し。

 F2の高速シャッターで水を止める。

 このレンズはほぼフィギュアレビュー専科と化し、野外撮影で使うことはほとんどないだろう。逆光という弱点もある。いまの撮影ブースは超高演色性LEDの使用で全体的に暗く(演色と輝度の両立は難しい)、逆光を苦手とするマクロプラナー2/100にとって活躍しやすい環境だ。というか値段的に落下させたら泣くので連れ出したくない。そのためのマクロプラナー2/50だ。