FUJIFILM X100T

東方光画機
購入:2015/05 分類:コンパクトデジタルカメラ

 光学式にして電子式なレンジファインダー・スタイルだぜ。コンデジだけどAPS-Cゆえ素晴らしい高画質だ。換算35mmの単焦点だけで勝負する。ヤマノススメで登場したX100の2世代後継。


 レビューが購入ちょうど1年後なので、箱は見ての通りすでにボロい。

 2013年秋にDfを購入し、2014年8月に初代X100を追加してから、クラシックカメラな外見の懐古趣味態勢でカメラシステムを組んでいる。サブカメラとなるX100系の役割はもっぱらニコンDfに足りない部分のフォローだ。X100から2世代進んだX100Tへ置き換えたのが2015年5月。DfとX100Tは2台とも1600万画素だぜ。Nikon Dfは1970年代、FUJIFILM X100Tは1960年代テイストだ。

 X100系の特徴は光学式ファインダーだ。電源を切っていてもむこうの魔理沙が見える。

 なぜオールド&光学式にこだわるのかというと、個人的に大ファンな東方プロジェクトの射命丸文がそういうカメラを使うからだ。光学式ファインダー機のニコンDfを購入したきっかけが射命丸文なので、サブカメも追従している。システムを維持するうえでサブはコンデジのほうが都合が良く、現実的な選択肢はX100シリーズだ。むろん利便性・必然性など度外視だ。あくまでも「形が先」にあって、使い方のほうを後付けで合わせている。幸いなことに撮影対象の99%が静物なので、AF機能や撮影テンポなどの弱点は気にならない。おかげさまで写しててわりと楽しい。

 X100Tの覗き穴はただの素通しではない。レンジファインダーの特徴であるパララックス補正(視差補正)を自動で行ってくれる。

 X100Tのファインダーにはビューモードによってファインダーの一部に覆いが生じる。

 電子式レンジファインダーといい、光学式の一部に電子式のピント合わせを表示する賢いやつだぜ。このX100Tが世界初搭載となる。使用頻度はこの1年で50枚分くらいかな。野外で使ってると電子式レンジファインダーを使うべきシーンが直感で分かるようになる。

 マクロ撮影のような至近距離では視差が大きすぎるので、おもに電子ビューファインダーを使う。ファインダー窓も塞がるぜ。電子と光学のハイブリッドもフジフイルム機のみが実装する。

 X100Tの外見はX100とほぼ同じだ。レンズもコアな層から好評なので継承している。

 上から見れば、シンプルな構成が分かる。絞りリングの「A」に合わせると絞り優先オート、シャッタースピードを「A」に合わせるとシャッター優先オートになる。両方とも「A」ならプログラムオート。「A」を外れれば普通にマニュアルだ。コンデジにお馴染みの撮影モードなど存在しないので、初心者には厳しい。

 背面はレンズ交換式カメラと同等量のボタンやダイヤル。機能割り当て可能なファンクションボタンは7つもあり、カスタマイズ性はきわめて高い。ただし実際に使ってるのは真上にあるFnボタンをストロボモードにしてるだけ。ほかは誤操作防止で無反応だ。設定変更はおもにQボタンを使い、項目をわずか数種に厳選している。基本RAW撮りなのでオートにしてる部分が多い。画質に影響する要素は自分でコントロールする。

 ストラップはニコン巻き(プロスト結び・報道結び)にしている。格好いい、気がする。

 実際の写りを見ていこう。レビュー時点でマクベスチャート補正が色作りのメインとなっている。だいたい赤と青が鮮やかになる。

 フジフイルムXシリーズが持ってるフィルムシミュレーションも被写体によっては使う。左はビビッドなベルビア、右はシックなクラシッククローム。メリハリあるが黒潰れしやすい。

 X100Tのレンズは初代X100より逆光耐性が向上している。太陽をフレーム内に入れてもこんな感じ。フレーム外、斜めからの光には弱い。

 太陽を入れて絞り開放にすると、シャッタースピードが一挙に1/32000秒となる。物理シャッターではない電子シャッター併用で実現できた機能だ。物理しかないニコンDfは1/4000止まりなので、表現の幅という意味ではFUJIFILM X100Tに軍配があがる。

 つづけてX100Tの得意分野はストロボ発光。シャッターがレンズ内にあるレンズシャッター機構の副産物として、光を当てた周辺まで明るく写る「スローシンクロ」を常用できる。ニコンDfには内蔵ストロボがないので、野外撮影で発光撮影が必要なときX100Tの登板となる。

 X100シリーズのレンズはマクロ領域&絞り開放近くでオールドレンズのようなソフトレンズと化す。ふんわりしている。F4以上になれば普通に解像する。

 さらに絞れば四隅までしっかり解像。

 1/32000秒シャッターのおかげで、風景レベルで背景のボケた写真を容易に写せる。ピントはほぼ中央一点で固定し、ピント合わせののちにフレーミングして構図を決める写し方がメイン。下の写真だと最初は街灯の頭を中央に入れて親指AFでピントを合わせ、右に流してからシャッターボタンを押した。水平垂直は現像時ソフトウェアに任せる。

 撮影時、水平や歪みなどは気にしない。現像時に水平へ直す。そもそもレンジファインダースタイルで厳密な構図は取りづらく、適当に決めて短時間で写す。そのためスナップカメラといえばかつてはレンジファインダー式だった。

 ローパスレス&単焦点なのでボケ質は良好だ。一般的なコンデジのようなプラレンズ特有の「擦ったような滲みボケ」など生じず、個人的にニコンDfへ安価な標準ズームを付けてるときより高画質。いくらフルサイズ機でもレンズが凡玉なら逆転も許す。

 ニコンDfと併用する野外撮影では、カメラプロファイル機能で発色傾向を合わせている。見分けは簡単には付かない。

 イメージセンサーはAPS-Cサイズで、一般的な一眼レフ機のフォーマットと同サイズ。

 X100Tの写真は街中スナップが多い。ストリートなカメラだ。

 ストックを探すと、今回のレビューで採用されたのはやはり街歩きスナップが多いね。

平面

 レンジファインダー・スタイルのカメラはなんでもないものを写したくなる。

風景以外

 シャッター音ほぼ無音で食事撮りなどが楽。高感度も初代X100とは段違いだ。

 ところでレビュー撮影だとライカ式のスリット入りレンズフードを付けてるが――

 じつは2015年10月以降、こんな感じの裸で使ってる。パンケーキ型レンズでコンパクトなうえ、逆光耐性もこちらのほうが良いという、なんともアレなことになったんで。レンズ面積が小さく、表面が汚れようがメンテは楽勝だ。
 2015/05〜2016/04の使用頻度は17回に留まっている。ニコンDfは実動195回だった。なにせ「欲しい」を優先する偏ったシステムだから、どうしても格差が生じる。解決案として2016年4月にワイコン&テレコンを購入した。

 テレコンにより標準画角を得て、レビュー撮影へも実戦投入可能となった。ColorChecker Passport のマクベスチャート色調補正により、カメラ混在でのレビューも容易だ。解像度ではさすがに本格マクロレンズに譲る。

 幾度かテスト撮影を経て、レビュー用撮影でのレギュラー使用を決めた。X100Tのレンズはそれほど逆光に強いわけではないが、高演色性LEDの影響により撮影ブースが暗い(レンズに優しい)のでとくに困らない。ニコンDfより伝統のケーブルレリーズや物理水準器(ドイツメーカー製)を継承。

 こんな感じ。こんもりビッグサイズになるが、これでも重さはニコンDf+100mm級マクロの半分以下だ。ライカ型レンズフードはほぼ飾りだが、事故対策の実益もある。

 X100Tの絞り開放が萌えフィギュアのレビュー撮影に使える。残存球面収差によってソフトレンズ的にふんわり写るから、女性キャラの雰囲気演出にいい感じだぜ。デジタル処理やフィルタによるソフト化と違い、光学的な物理現象が引き起こす「真性のハロ現象」だ。むろんこれをデジタル計算で完全に再現するのは困難だ。

 こちらはフジフイルムXシリーズ機が2014年に実装したクラシッククロームのフィルムシミュレーション。カメラメーカーとして日本で唯一、継続してフィルムカメラ用のフィルムを生産している富士フイルム。下のような独特の色調に見覚えある人も多いだろう。米国のコダック社が1935年から2012年まで生産していたコダックロームを再現したものといわれる。フィルム調の再現ではニコンやキヤノンでもフジフイルムには勝てないとされる。フジフイルムには「色専門」の部署があって膨大なノウハウを蓄積しており、他メーカーの追従を許さない。つまりDfで写して私ごときの腕で作ろうとしてもお手上げな色だ。近いものは可能だが、とても同等にはできない。つまり雰囲気や表現の拡大という一点でも、フジフイルム機を置いておく意味は大きい。

 実際の撮影風景。足下にニコンDf+100mm級マクロが控える。2台態勢が久しぶりに戻ってきた。これもメーカーやレンズの色合いを気にせずにすむ ColorChecker Passport の恩恵だ。マクベスチャートによる色コントロールはハリウッド映画で発達してきた由緒ある補正方法だ。人間の目に合わせ、色覚的に重要な色ばかりが選ばれている。それら「すべて」を理想値へと修正しようとする。具体的には、空想上にしか存在しない「理想の太陽光」で照らした状態だ。色の世界ではそういった理論上にしかないものを基準として様々なものが数値化されている。

※2016/09/19追記
 三脚や雲台の充実でX100Tの出番がまた激減したので、新カメラバッグをトート型とし、ほぼ毎日のように持ち歩くようになった。

 ちょっとした飯も単焦点&APS-Cの高画質で写せる。スマホでこのボケは無理。

 しっとり瑞々しい懐石料理の質感。APS-Cセンサーサイズをコンデジとして所有する楽しみ。

 出掛けた先で思わぬものを発見してもRAWで記録し、整形などしてきっちり表示。

 単焦点なのでこういうとき構図が限定されるのが玉に瑕。もっと近寄りたいぜ。

 映画を見に行ったら記録撮影はX100T。RAW+マクベスチャート補正で劣悪LED光もそこそこの発色に。

 出番こそ減ったがレビュー撮影用ブースのX100T用撮影環境は健在。ニコンDfと変わらぬ色。解像感はちょっと足りない。

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